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『デカローグ』 1〜4

写真は新宿で早お昼をいただいたベルク。

マチネはBプログラム、デカローグの2と4。
4を観終わってポロポロッと涙が溢れ、今もまだ心に細波の余韻が。

優しいやさしい、愛の物語たち。
単純に「ハッピーエンド」とは、とてもとても言えないのだけれど。
でも、観終わって心に残っているのは「愛」なんだなぁ。

念の為、まだ観てなくて、ネタバレが嫌いなお方は、ここで回れ右でお願いしますね。大した事は書かないと思いますけども。

2「ある選択に関する物語」

アンジェイの咳が、もうホントに嫌な咳で、これヤバいヤツでしょ!と感じさせる。凄い。医長のイビキも見事だった。

BGMのピアノ曲、これ絶対知ってる曲!と思うのに曲名は思い出せない、てか、知らない。うー気になる。音がまた、良いんだなぁ。

とてもシャープでモダンな舞台美術も、衣装も照明も映像もそりゃ素敵なのですが、この作品ではSEが気になった。あの雨漏りの様な音は、何を意味していたのだろう。

家のあった場所が、家族が居た場所が、やっと辿り着いたらクレーターになっていたと言う描写が2024年のガザを思い起こさせる。プラマイ0で現れたものが収容所と言うのは酷すぎないか。

医長はプラマイ0にする為にドロタの中絶を止めたと思っているのだけれど、結果1+1=2になった事をどう思ったのだろう。そして彼の神は。

最後のアンジェイの問いに、少し間をおいて答える医長の姿に涙が溢れた。

4「ある父と娘に関する物語」

イケてない父に、若く魅力的な娘。
いやナンデ??と思いつつも、なんとも美しい愛の物語だなぁと、
「愛」は「愛」なんだよね、親子とか男女とか関係なく、と思えた。

重い話だと思うんだけど、絶妙に笑いの要素が差し込まれていて、つい笑ってしまう。その笑いは作品を観ている我々観客だけではなく、作品中の当事者たちの心も軽くしている様に思えた。

こちらの作品もSEが印象的。
4のSEはカチャンカチャンとガラスが触れ合う様な音。
あれはミルク瓶の音だったのかな。

個人的には、あのゴミ箱にこの作品のMVPを送りたい。


ソワレはAプログラム、デカローグの1と3。
1がかなり辛い。後半は歯を噛み締めながら観てて、終演後しばらく席を立てなかった。

1「ある運命に関する物語」

誰も悪くない。良い人しか出て来ない。それなのに。
でも知ってる。それを「神」と呼ぶべきなのか「運命」と呼ぶべきなのか知らないけれど、それは無慈悲なものなのだと。と言うか我々の想像の範囲の慈悲とか無慈悲とかで選んだりしてないんだと。

所詮我々の命は長くて100年程度。それが12年でも30年でも80年でも、宇宙全体から見たら瑣末な事なのでしょう。それでも我々は生きてるし、誰かが死ぬ事は悲しい。悲しくても生きていく。そう言う事なのかな、と。

3「あるクリスマス・イヴに関する物語」

結構ハチャメチャ感のあるお話し。ミステリー仕立てなところも。
嘘吐きばっかり出て来る。

でも悪人じゃない。
その嘘は、寂しさからだったり、優しさからだったり、諦めからだったり。

4もそうだったけれど、フツーじゃない「愛」が描かれていた。ヤヌシュは愛のキャパがめちゃデカい人なんだと思う。そう言えば2のドロタも愛のキャパがデカい人だったな。

どの話の登場人物も、ほんの少しズレたら道から外れそうな、でも絶妙なバランスで「生きて」る。デカローグ、凄いな。ほんと凄い。

残り6作品も楽しみ。


デカローグ1~4 [プログラムA・B交互上演]
会場:新国立劇場 小劇場
上演期間:2024/04/13(土)~05/06(月休)
上演時間:第2話50分、休憩20分、第4話60分
     第1話50分、休憩20分、第3話50分
公式サイト:https://www.nntt.jac.go.jp/play/dekalog-ab/



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