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旅しながら働く「海外×フルリモート」という選択肢【インタビュー】

地域の魅力インタビュー
2023.5.22

“日本では、好かれようと周りが望むことばかりをやっていた。海外では、人の目を気にするよりも自分がやりたいようにのびのびと過ごせています。ここでは、うまくいかなかったことに対しても「いいじゃん」「Good job!」って行ってくれる人がたくさん。世界は思っているよりも優しいです。”

現在、海外で生活をしている荻野祐里香さん(以下、祐里香さん)。彼女は海外赴任や海外駐在で移り住んだわけではなく、海外にいながら日本の顧客とリモートワークで仕事をしている。海外ノマドというライフスタイルだ。会社員を辞めて2021年の10月に日本を飛び出した祐里香さんは、海外で暮らすことの魅力を「自然体でいられること」と明るく語ります。 

海外でフルリモートワークをしている祐里香さん。
現在滞在中のマレーシアとZOOMをつなぎ、お話を伺った。

心地よい環境を求めて。想定外もあった拠点探し

−海外でノマド生活をされているとのことですが、どれくらいの期間で移動しているのでしょうか。

「数日前までバリ島にいたのですが、ビザを延長するためにマレーシアに来ていて、2週間滞在したらまたバリ島に戻ろうと思っています。観光ビザの範囲で動いていて、マレーシアが最大3ヶ月、バリ島は30日で延長すると60日いられます。

拠点は、今は1ヶ月から3ヶ月くらいで変更していますね。7月にはタイに行って、8月はまたバリに戻って、その時には長期ビザを取ろうかなと考えています。それでバリ島を拠点にしながら、9月には知り合いとベトナムのダナンでワーケーションに行く予定です。以前いたジョージアにも行けたらいいなと漠然と考えています。その先は気分で決めたいですね。」

−東南アジアの国にいることが多いのですね。

「お酒が好きで、特に焼酎が一番のお気に入りなんです。東南アジアの国は焼酎が豊富で、私は頑張った時に「食」でのご褒美があるのが嬉しいので、東南アジアの国にいることが多いです。

以前はジョージアに10ヶ月いたのですが、東欧のトルコとロシアの間にある国なので、日本食も少ないし、お酒もビールかワインが多いので、焼酎が恋しくなってしまって。」

−やっぱり、実際に移り住んでみて分かることもあるんですね。

「そうですね。思ってたのと違ったことでいうと、私は行ったことのない国に行きたい、まだ見たことのない景色を自分の目で確かめたいっていう想いが強かったので、次から次に新しい国へ行くんだろうなと想像していたんです。でも、今は自分が没頭できる仕事に出会えたので、仕事が楽しくて移動する時間が惜しいなと感じることもあって。新しい場所に移ると、作業場所のカフェを探す時間なんかが結構もったいないんですよね。そういうところも楽しいのですが、実際にやってみて初めて分かったことですね。

「キラキラノマド」を想像していたけど、私は「おこもり系」です。何回も同じカフェに行っていると、カフェの店員さんと仲良くなることもあって。人間関係を作っていくのも楽しいですね。」

カフェを一度離れて再訪したところ、戻ってきてくれたからとフルーツをいただいたそう

新しい働き方の中で、自分に合ったことを模索してきた。

−現地の方とお仕事をされることもあるのでしょうか。

「日中はほぼカフェにこもって仕事をしているのですが、向き合っているのはパソコンとその先にいる人。主に仕事で関わっている日本人です。日本でもできる仕事をわざわざ海外でしているんですよね。コロナがあって、仕事をする方法の1つにオンラインが加わったことで、私も働き方を変えることができました。初めは慣れなくて大変でしたが、今はこの働き方があっていると思っています。

今は、コミュニティマネージャーという仕事もしているのですが、この2〜3年でこういう新しい職種も出てきて、働き方や職種も多様になってきていると感じます。」

バリ島のカフェで、仕事のお供はココナッツジュース

−コミュニティマネージャーとはまだあまり聞き馴染みのない仕事ですが、どんなことをされているんですか。

「コミュニティはなにかの目的のために人が集まる団体なので、人が集まることでいろんな事柄が起こるんですよね。なので、そこで発生する「人と接する細々したこと」をやっています。人と人を繋げたり、イベントを企画したり、コミュニケーションを取って「目的を叶えるためのサポートをなんでもします!」っていうのがコミュニティマネージャーです。あとは、コミュニティに入る人を整理するところにも関わっています。コミュニティの規模や目的、そこに集まる人の層によって求められる役割は少しずつ変わります。」

−人と関わることが昔から得意だったのでしょうか。

「妹が2人いるんですけど、おそらく妹のケンカの仲裁から始まってるんですよ。家族間のやりとりを取り繕ったり。中学生の時も、100人以上部員がいる部活で、部員同士や部員と顧問が揉めた時の緩衝役でした。「ごめんなさい」って言えない子が謝りに行くのに一緒について行ったり、誰かと誰かの間に立つということをよくやっていて。会社員時代も、話を聞く役割になることが多かったです。それで悩むこともあったんですけどね。

でも、これって誰にでもできることじゃないんだって気づいたのは、今の生活をするようになってからですね。会社員を辞めてからです。人と人の間で、どちらの要望も聞いてうまいことやる。誰にでもできることじゃないんだって気づいてから、人の気持ちが分かることって強みだなと思えて。それでコミュニティマネージャーやコーチングの仕事で強みを活かせるなと。コンプレックスだったことが仕事に変わっていきました。」

−最初からコミュニケーションを主な仕事をしていたわけではないんですね。

「日本を離れた時、ノマドニアという1ヶ月で10の職種を体験できるプログラムに参加したんです。そこで動画編集、デザイン、マーケティングなどクリエイティブ職種を10個試したんですけど、私はその中で1個もできなかったんですよ。WEBデザインをやってみたいと思っていたのに、いざやってみたら向いていなかった。分からなすぎてイライラしちゃって。でも、できないなりに考えてみたら、動画編集しようとしている人に対してヒアリングをするとか、相手が何を求めているか要望を聞き出すということは結構できる。私はこっちだな……と。

それからコミュニケーションを取ることを仕事にするならどんな方法があるのかを調べ始めて。周りに聞いてみたり、コミュニティーマネージャーの講座を聞きに行ったりして仕事に結びつけていきました。活かせるのはコミュニケーション力。人を気にしすぎて、あれこれ考えすぎてしまっていたけれど、一回この強みを本気で磨いてみようと思って行動したんです。」

今ではコーチングの講師をすることも

−今は、コミュニティマネージャーを初め、複数の仕事をしているとお聞きしました。

「日本の友達と月に1回くらいの頻度で近況報告会をするんですが、毎回やっていることが変わっているので驚かれます。どういう1ヶ月を過ごしているの?って(笑)アップデートが甚しくて、自分が1年後にどこで何をしてるか全然想像できないです。でも、そういうのも楽しいかなって思っています。

私は1つのことをずっと続けていると、だんだん好奇心が薄れていって、単純作業のように感じてしまうんです。いくつか仕事を持っていると、常に次のことを考えないといけないし、1つの仕事で学んだことを他の仕事でも掛け合わせることができて、面白いことが次々にあるんですよね。だから仕事って1つじゃなくてもいい、こういう生き方もあり!と結構強く思っています。会社員として働いていた時は、すごく視野が狭かったなと思うんです。」

「Life is Journey」人生は長い旅である

「人生は旅のようなものだ」という言葉を発信している祐里香さん

−やりたいことに踏み出せないという人に、何かメッセージはありますか。

「私は、合わないこともやってみて、自分にはこれが向いているという判断ができました。だから、何事もまずはやってみる。それから考えても良いと思います。それが自分が心地よく生きられる道に近づく方法だと思います。まずは挑戦してみないと分からない。失敗が怖くて躊躇してしまうけど、それは失敗ではなく、自分にとって合わない方法が1つ分かっただけにすぎないんです。私の周りでも、楽しい人生を送っている人はトライしている数が圧倒的に多い印象です。自分がいいなと思ったものに食いついて、嫌だったらやめる。よかったら続けるということをしています。

怖いのは最初の一瞬だけ。旅って自由なもので、どこに行くにも自分次第。舵を切るのも自分自身。辞めようと思えば旅は終わるし、続けようと思えばどこまでも続く。だから、できるかわからなくてもまずはやってみる。好きなことをして生きていけるんです。

好きなことをやっていると、好きなことをやっている自分を好きになってくれる人が集まってきて、人間関係も良くなります。今は本当に毎日が楽しくて、快適。みなさんも、もっとわがままに生きましょう。」

2021年9月。海外移住を決め、会社を辞めた祐里香さんのブログにはこう記してあった。

「ついに会社を辞めました。
長い長いトンネルからようやく抜け出した気持ち。まだスタートラインに立ったばかりだけど、長い迷路から抜け出した気持ち。私の心にまとわりついていたたくさんの網がなくなって、解き放たれた感覚。とっても息がしやすい。キレイな空気を吸ってはけてる。新しい旅路のスタート地点に立ててる。今までよく頑張った!これからは、私の夢を叶えるために存分に努力できるね。」

そこから日本を離れ2年弱、住む場所も働き方も常にアップデートを続ける祐里香さんの笑顔は、カラフルな南国の花のように彩りにあふれていた。

荻野 祐里香おぎの ゆりか
大学卒業後、人材企業2社で営業を経験。2021年10月にフリーランスに転身し東欧ジョージアでノマド生活をスタート。現在はコーチング、コミュニティマネージャー、採用支援の仕事など複業しながら活動中。

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