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【1,649】祝日の前日の人混み&ロアルド・ダールの短編

年がら日照りの続くロサンゼルス近郊の街でも、最近は日中最高でも華氏70F(21℃)、最低気温は40F(4℃)と、随分と肌寒い日が続いている。

特に朝の方が、やばい。起床直後は体温が低い状態だと聞いた事があるが、それを本当に実感する。仕事始めの時間は早いが、9amぐらいまでは毛布かぶりながらキーボードを打ったりしてるほど。

まあ東京では24日の木曜は、雪が早朝から降ったと聞くので(それも11月は54年ぶりだとか)、それと比べりゃ大したことはないが、カリフォルニアで長年生活をしているとその辺の抵抗がとても弱くなるもの。

とりあえず午前中でやることを片付けて、午後からはショッピング。

例年通り、1pmちょっとにも関わらず、近場のプラザは大混雑で、近隣の道路も渋滞。

サンクスギビングの日に店を開けるなんて、日中韓のアジア系マーケットやアジア系レストランだけだと言われている通り、この日は家族等と共に過ごすのをアメリカ社会全体が強要してくるというか、店の大半が閉まってどこもゴーストタウンと化す。

なので、前日の水曜は、サンクスギビング当日に向けて最後の買い物を終えるべく、家族があらゆるお店に大挙するのだ。

たまたま卵1ダースのパックや野菜を切らしたので、日本人旅行者にも人気のチェーンのトレーダー・ジョーズ(Trader Joe's)の最寄りの店舗まで向かったら、平日の午後とは思えない混みっぷり。

水曜の夕方から、運転を開始したり、空港へ向かったりする一家も目立つが、親も子も、目の前に4連休が迫っている事で、テンションが上がるのだろう。

知人のアメリカ人一家は、親戚やお客も含めると例年30人ぐらいが家に押し寄せるとのことなので、お母さんが朝の5時から食事の支度をすると言っていたが、支度する側も年に一度のイベントなので、それ自体が楽しいとも言っていた。

そういえば早朝に、郵便物の確認を兼ねて庭まで出たら、手前の歩道を小学生ぐらいの金髪の女の子が「Mommy, daddy!」と言いながら走っていて、それを後ろで観ていた両親が「Hey sweetie, you better not run!」と軽く注意している、どっかのアメリカン・ホームドラマの一幕みたいな風景を目の当たりにし、つくづく連休手前の日という現実感を覚えたものだ。

ただその一家のお父さんの顔がどことなくマーク・ウォルバーグ似だったので、良質の社会派サスペンス長編をここ数年で連発しているピーター・バーグ監督作を何本か観ていたのもあって、あの子供の向かう先で大事件が起こる、みたいな不吉な光景も想像してしまう辺り、よっぽどバーグ監督の作品がリアルに映ったのかとも思ってしまう。

しかもこの監督作で来年初頭に公開=アカデミー候補狙いな作品が、ボストン・マラソンのテロを題材にしたものだから、単にベタなアメリカ人一家を観ただけで、いらん想像力が余計に働いてしまう。勿論パトリオッツ・デイは、普通に観たい作品だけど。

帰宅後、そういえば近所の学生さんが、グレムリンを戦時中からネタにしていたりチョコレート工場を生み出したりもしたロアルド・ダールに言及していたのを思い出し、短編の名作と誉れ高い「Man from the South(南から来た男)」を読みたくなる。

この手の古典文学は、原題にpdfを付ければ簡単に見つかる上に「Classic Short Stories」のように文字起こしをしているウェブサイトもあるので、読もうと思えばいつでもアクセス可能なのが大きい。インターネットの恩恵を強く感じる瞬間だ。

4,600単語ほどなので、30分もあれば一読できる。

確かにこの短編、面白かった。英語のシンプルなセンテンスが中盤の急転と最後の強烈なオチに、真っすぐ活きていると思うし、逆にこれを日本語に訳すとニュアンスが伝わり辛いような気がしないでもない。

日本人的な視点であちこちで語られてはいるので、一読してからそれらの批評や分析を読んでおくと、これまた良い時間潰しになるだろう。

明日のサンクスギビングだが、今年は妻の親族に呼ばれているので、お昼にそちらへ向かう事に。夕方から仕事が一件、入っているので、どのみち長居はせず、夜は夫婦で静かに過ごすだろう。