客単価はどうしたら上がるのか

めまぐるしく日々が過ぎていく。最近は提案営業の仕事でとにかく提案が重なっているのだけど、そんな中、仕事仲間2人から一昨日も言われたのは「大型案件獲得ならのじーさん」という言葉だった。最近特に、客単価を上げるという部分で期待をいただくことが多いので、今日はそこを題材にして、自分でも考察を深めてみたいと思う。

客単価で言うと、アパレル時代、店長として店を移った時に店の状況を見て、客数は減らしても客単価をガンと上げる戦略を取り、フロアで客単価No.1の店となり、ずっと予算未達成だった店舗を数ヶ月で予算達成店舗に変えられたことは、今にもつながる大きな自信となった。

この時にやったことはシンプルだった。日々の状況を観察しながら「自ブランドにドンピシャの顧客」のための店づくりをし、そうでない人にまで媚びるように「1点でもいいから」と売るのはやめたのだ。具体的に言うと、スカートを全部なくして(元々型番が少なかったのもあるけど)、ブランドの特徴であり、百貨店内の他競合店が追随できない、かつ需要は確認できていた「マニッシュさ」を徹底的に打ち出した。「あれ?ここはメンズですか?」と言われるくらいに。一見、フェミニンなお客様が多い館だったから、もとからその店にいたスタッフには最初止められたけど、3ヶ月だけ試させてとお願いして。しかしそれだけ特色を打ち出すと、「自ブランドにドンピシャの顧客」の方々は私達の店だけを目指すようになり、一式を揃えてくださるので、客単価は大幅に上がった。

ここではもうひとつポイントがあったと思う。それは、どんどん上がる客単価に対して、スタッフが勝手にビビって、お客様の購買意欲を制限しないことだ。

販売でも営業でも、とても重要だと思うのは、「お客様の限界を、提供者側で勝手に決めないこと」なのだ。もちろん、支払いが厳しいと言っている人に、無理矢理勧めていくなんていうのはもっての他だけど、自分の金銭感覚の限界値でお客様を勝手に判断しないというのはとても大切だ。自分とお客様は違うのだ。同じ金額の洋服に対して感じる価値も違えば、持っているお金も、事情も、みんな違う。

これは、toBで、無形商材の営業になっても同様で、勝手に「人事部は予算も少ないし、ひとつで精一杯のはず」とか「こんな金額で今まで売ったことがないから怖い」というのは、きちんとヒアリングした上での話でなければ、全部自分のエゴでしかない。そんなことより、お客様が相応の価値を感じられるか、が一番大事なのだ。もちろんお客様に価値を感じてもらうためには、提供者側が、心底その商品なりサービスの価値を実感して、説明できなければいけないけれど。「うちの研修は高いと言われる」のは、価値を伝えられていないから。やるべきことをやらず、自分のメガネで勝手に思い込んでお客様にコミュニケーションするのは、自戒も込めてかえって失礼だと思っている。

その価値の出し方としては、研修であれば、単体の研修そのものの価値を伝えるのはもちろん、それがどんな風に、その会社が目指す「なりたい姿」の実現に寄与するのかというストーリーも描き、立体的に提案することにより高まることも多い。なので、そこを毎度描くと提案作業には時間がかかるわけだけど、でもそれこそがクライアントさんへの愛でもあるので、どうしても手は抜けないのだ。

と、偉そうに考察してみたものの、私もまだまだ勉強中なので、日々の出会いを大切にしながら、もっともっとお客様に寄り添えるようにがんばろうと思う。今後行う、地域企業への提案には、こうした経験も活かしていきたい。


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