(仮)会を求めて2

「愛宕が丘弓道場」ー
 
 高校生の時そう呼んでいた施設は老朽化のため取り壊されてしまったが、屋内プールや柔剣道場などを備えた「愛宕が丘スポーツセンター」の中に改めて弓道場が作られた。
 2射場12的立てられるので大規模な大会はいつもここで開催されるし、普段の稽古で弓道場のない近隣高校と社会人の会員たちが同時利用してもスペース的にかなり余裕がある大型道場が私のホームグラウンドだ。

 私こと長野美織の特技というか趣味は弓道である。高校から大学を経てかれこれ10年続けており、段位は参段だ。社会人になってからは稽古量の激減に合わせ的中も半矢、つまり5割前後を行ったり来たりの体たらくである。


 
 「丘」がつく地名はこの町の至る所にあるが、愛宕が丘はターミナル駅に最も近い丘だ。とはいえ徒歩15分の道のりは全て上り坂なので道場に着くころには汗だくになっていることだろう。

 「バス使えばよかった・・・」

 ホワイトにピンクの帯を巻いたバスが颯爽と私を追い抜いていく。県下ナンバーワンのバス会社はお年寄りや車を持たない学生の需要を見込み、駅からの直行便を出しているのだ。いつも混んでいるので敬遠してしまったが、今日は荷物が多かったことをすっかり忘れていた。

 「こんにちはー」
 
 以前は引き戸だった道場の玄関も自動ドアになり素っ気ない。私は靴箱にスニーカーをしまいながら挨拶をする。

 「あら、長野さん。仕事帰りにご苦労様です。」

 出迎えた初老のご婦人こそわが師匠である浅生(あそう)先生その人である。

 「今日は先生の当番日でしたか。ご指導お疲れ様です。」
 
 「新人ちゃんもいよいよ試合が近づいてきましたからねえ。きちっと教えないと私たちも面目が立たないですから。」

 そういうと先生は射場へと姿を消した。

面白いアニメ聖地があれば教えてください。読者様がお望みでしたら、どこでも駆けつけ取材したいと思います。