(仮)会を求めて3

 更衣室の扉を開くと2人の女子高生の姿。二人とも上は体操服、下はスカートという少しいびつな格好だ。

「こんにちは!」

 マスク越しでもはっきりと聞こえる挨拶に応えながら、私は1年生と思しき二人の初々しさに目を細める。先生の話では来週辺りには弓具店のオーナーが道具一式を納品しに来るらしい。この子たちが袴姿に心躍らせる様子が目に浮かぶ。

 「もう引いて10年経つんやな・・・」

 感慨にふけりつつリュックから白Tシャツを引っ張り出し、着替える。上衣が白なので目立たぬように白Tにするのが私の流儀というか、一般弓道では常識化しているところだ。上衣を羽織り帯を締める。きつく締めすぎ、昼に食べた熊本ラーメンが出そうになるのを堪えると袴を履く。靴下をロッカーに入れ白足袋に履き替える。着けていたネックレスと時計を取りポーチにしまう。シュシュをほどき、用意しておいた黒いヘアゴムでほどいた髪を縛りなおした。

 「ホント、めんどくさい競技よね・・・」

 姿見に映る自分を眺め独り言つ。武道ゆえの悩みだが弓道においてアクセサリー類はご法度だ。感染症の影響で競技中でもマスクを着用できるようになったのはここ数年のことだ。とはいえシンプル故の美しさは当然あるわけで、私のような普通の女でも普段着に比べれば凛々しく見える。

 「よし、引こうか。」

 弓具一式片手に私は更衣室を扉を開いた。

面白いアニメ聖地があれば教えてください。読者様がお望みでしたら、どこでも駆けつけ取材したいと思います。