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第35回 自律神経失調症

2024年8月26日

健康と美容、栄養、ウェルエイジングを専門としている内科美容皮膚科医 中島由美です。

めまい、肩こり、頭痛、頭が重い、手足のしびれや痛み、手足が冷える、顔がほてる、 動悸、下痢、便秘、胃がおかしい、眠れない…。

これらは日常よくみられる症状です。

ですが、病院でいろんな検査をしても原因が見つからない場合があります。

このようなとき「自律神経失調症」の可能性が考えられます。

自律神経失調症という病名は、医学的には正式な病名ではありません。

自律神経の乱れは検査値で表せず、症状の部分のみをまとめて表現している用語となります。

そもそも自律神経とは何でしょうか?

自律神経とは、交感神経と副交感神経のことであり、それそれがonとなったりoffとなったりして身体を最適な状態に保ちます。

朝起きると交感神経が働き日中は活動的に過ごし、夜になると副交感神経にスイッチして休息モードに切り替える、といった具合です。

交感神経、副交感神経の発達は原始時代から見られ、交感神経は獲物を捉える時よく見るために瞳孔が開き、脈拍が高まる「戦う」モード、副交感神経は獲物も光も極力みなくても良いので瞳孔は小さくなり、脈も落ち着いて体を休める「休息」モードがあったと考えると腑に落ちますね。

実は最近、副交感神経には2種類あると考えられています。

一つは腹腔神経叢から発生した古典的な副交感神経で「怖くて足がすくむ、動けない」というもの。

もう一つは新しい概念でエラから発生した副交感神経で「リラックス」させるもの。

確かにどちらも交感神経とは真逆ですが、種類が違いますね。
発生から考えるとまた違った見方ができて面白いものです。

自律神経失調症は、文字どおり自律神経が失調した(バランスが崩れた)状態です。

自律神経のバランスが乱れると、安静にしていても心臓の鼓動が激しい、胃腸がよくない、突然からだがほてるといった、多くの不快な症状が引き起こされます。

原因はストレスや生活習慣の乱れが考えられますが、私は自律神経失調症の多くは血糖の乱れが大きく関与していると考えています。

小麦やご飯をたくさん食べたり甘い物ばかり食べていると血糖が乱高下します。

血糖が急激に上がり、その後血糖が急降下する時に交感神経が興奮しますので、このような食事を続けると体は交感神経になるタイミングが多すぎてとても疲れやすくなり、いわゆる自律神経失調症と呼ばれる症状が複数オンパレードして出てくることになります。

もちろん更年期症候群などホルモンバランスが崩れても自律神経失調症の症状は出てきますが、基本は血糖をあまりあげない食事をすることが大事です。

血糖をあまりあげない食事とは、主食(白米、麺、芋類)を極力減らし、タンパク質(肉、魚、豆類)や野菜をよく摂取することです。

また、夜には副交感神経にしておきたいのでゆっくり湯船に浸かって1日の緊張をほぐすこと(シャワーで済ませている方が実に多い!)、寝る1時間前には携帯を見ない(直前まで見ている方も多いです)、間接照明を利用して良い眠りを導く、といった工夫が必要です。

ちなみにコーヒー・紅茶・緑茶・ジャスミンティ、覚醒飲料などのカフェインは朝飲んでも夜まで交感神経興奮しますのでご注意を!

自律神経はご自分の生活を整えるだけでも安定してきます。

心地よい毎日を送れますように。


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