【映画レビュー】NOPE ノープ
めちゃくちゃ面白い映画だ。同じ監督作の『ゲット・アウト』はやたら評価が高いけどハマらなかったんだよなぁ……と思っているのだけど、この映画はめちゃくちゃ面白い。地球外生命体と戦う系の話の映画で、私が見た中では一番だと太鼓判を押せる。
UFOモノ、みたいなジャンルってあるんだろうか?めちゃくちゃ単純に言うと、この映画はUFOと戦う話だ。小さな牧場で、限られた人たちが戦う話で、地球規模で政府を挙げて派手にドンパチする系の戦いではない。
まずこのUFOの発見というか、正体の表し方みたいなところがめちゃくちゃ上手い。ものすごく遠回りというか、一歩一歩近付いてきて遭遇してギャー!みたいな感じではなく、一見関係のなさそうな情報が断片的に入ってきて、それがUFOに繋がっている、みたいな感じなのだ。そういう手法を取ると、何をしているのか、何のための情報なのかわからず退屈に感じてしまうリスクがあるが、めちゃくちゃ面白くて飽きない。どう繋がるのかわからなくても、そのシーン自体が面白くて引き込まれる。
そういう面白いシーンの断片が、あぁこのシーンがここに繋がるのか、みたいになっていく。ただ、繋がりすぎない。たくさん伏線を引いてたくさん伏線を回収すると作りが完璧過ぎると感じる事があるが(なので私は個人的にミステリーをさほど好まない)、言い過ぎないで映像で示唆する程度だったり、繋がっていると解釈できるなという程度にとどめてあるのが良い。鑑賞者が自分で考察したと感じられるような余地を、わざと作ってあるように感じた。
それとやはり一番すごいのは、UFOという荒唐無稽なものに、ちゃんと臨場感があって興ざめしてしまわないところだろう。漠然とではあるけど、UFOは乗り物という意識だった。地球の科学で追いつかない、先進技術で作られた乗り物だろうと。そこが覆されるのが、意外だけどめちゃくちゃ納得できる。そこで回想として出てきていた猿が、何を示唆しているのか繋がるのが気持ち良い。
それと、戦っている人間側の仕掛けを戦いの中で理解していく作りが上手い。
個人的に、いいヤツだなと思える、好きになれるキャラがいたのも良かった。『ウォーキング・デッド』で言う、グレンみたいな感情移入できるキャラだ。そう、この映画にはグレンを演じたスティーブン・ユァンが出演している。ただし、この映画での私のお気に入りキャラを演じているのはスティーブン・ユアンではない。
『NOPE ノープ』 4.0