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【映画レビュー】ファイナル・プラン

スケールは小さいながら、アクション映画に期待しているものがちゃんと見れる良作。2020年公開ながら、昔の名作みたいなシンプルで基本に忠実な、こういうのがいいんだよという感じの仕上がりだ。

リーアム・ニーソン演じる凄腕の銀行強盗が、過去の行動を悔いて自首をしようとするが思わぬトラブルに巻き込まれる話だ。ストーリーがシンプルで、昔の因縁とか国家間の紛争とかのややこしいものが絡んでこないのが良い(そういうややこしい設定を上手く描けば素晴らしい映画になるのだけど)。主人公はとにかく愛、悪役はとにかくカネ、大変シンプルだ。

主人公が改心するきっかけとなった、恋人の人柄やその関係性が良い。こういう映画を見ると、なんか日本の映画やドラマって、年配の人同士の恋愛を描くのが下手だなとつい嘆いてしまう。欧米の映画はおっさんとおばさんがちゃんと魅力的に、素敵だなぁと思えるような年相応の恋愛をしているように見える。
主人公と彼女が出会った時の会話から、これから付き合うようになるのもわかるなと思える。主人公が銀行強盗から足を洗おうと決意できるほどに彼女が魅力的な事が、有事の振る舞いや言動から感じられる。主人公が銀行強盗という悪事を働きながら、決して悪人ではない事がストーリーの中で自然に理解できる。二人の関係を素晴らしいと感じられる、ちゃんと主人公を応援できる構図になっているのが良い。

アクション映画って、大掛かりでお金の掛かった派手なアクションや、イケメンやマッチョの肉弾戦などの方向につい走ってしまいがちだけど、結局いかにハラハラドキドキできるかが肝だよなぁと、そういう要素が無いこの映画を見て思った。特に、善良なのにちょっと欲をかいてズルズルと悪事を働いてしまうFBIの捜査官の、良心の呵責やどんどん悪くなっていく事態に感情が引っ掻き回されている感じとか、良かった。こういう葛藤って最近の派手なアクション映画でちょっと蔑ろにされているけど、昔の映画はこういう人がキーパーソンだったよなぁみたいな懐かしさを感じた。

スケールが小さいとか地味とか言っても、さすがハリウッドというガンアクションもカーアクションも爆破もある。アクション映画らしい駆け引きや騙し合いも、シンプルながらちゃんと面白い。無駄のない基本を押さえた面白いアクション映画に、魅力的な人間ドラマが加わった、良い映画だと思う。

『ファイナル・プラン』 3.0

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