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【映画レビュー】シャイロックの子供たち

これも池井戸潤原作の銀行モノ。少し前に見た『アキラとあきら』は人間の汚さやカネの恐ろしさをあまり描いていなかったが、この作品は人間の汚さやカネの恐ろしさをメインに描いているような作品。

この作品には銀行という巨額のカネのすぐ側にいる環境のせいで道を外した銀行員がたくさん出てくる。いくら映画だからってそんなに犯罪者ばかり登場させる事ないだろうに……と思わせる一方、銀行という環境が簡単に一線を踏み越えてしまいやすい誘惑の多い場所なんだなと思わせる。もちろん、現実の銀行にはそれなりの対策はあるのだろうが。
すぐそばに大金がある環境でマヒしていって、少しのミスが自分の立場を大きく変える厳しい競争にさらされ、追い込まれた目の前にそれさえあれば助かるのに絶対に手を付けてはいけないカネがある。理性が試されるシチュエーションだ。

銀行モノの中では割とこじんまりとした、ほぼ一支店の範囲内での事件にとどまり、他の池井戸原作の作品よりも身近な感覚がある作品だ。どちらかと言うと銀行の中の犯罪をメインに描いているので、クライムもののドキドキワクワク感があって、それが親しみやすさを感じるのかもしれない。
ちょっと古い時代の、私たちが思い描く銀行の話という雰囲気もあった。

『シャイロックの子供たち』 2.5

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