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【映画レビュー】トランス・ワールド

森の中に迷い込んだ男女が、脱出を試みているうちに思わぬ展開を見せる物語。予想できた部分もあったけど、よく練られていて面白い映画だった。

場所は変わらないのに、時間が進んでいくに従っていろんな面が現れるのが上手い。この映画のほとんどは、森の中で起こる。まず、森に迷い込んだ男女がお互いの素性がわからず警戒し探り合う、ミステリーやホラー風味の緊張感のあるパート。次に、お互いの素性や自分たちがいる森について、情報が次々と明らかになっていく謎解きのようなパート。そして、ある程度情報が出揃い、行動を起こすクライマックス。飽きることなく、ダレずに最後まで次々に色んな事が起こって駆け抜けるようなストーリーだった。

きっと低予算なのだろう。登場人物も少ないし、ほとんどの場面が森の中とそこにある小屋だけだ。それなのに、お金が掛かってない感じがしない。コストを抑えたチープ感がないのは、その場面に必然性があると思わせるようなストーリーになているからだろう。CGだけはチープさを隠しきれていなかったけど、本当にそこだけだった。お金のない事を逆手に取ったおもしろB級映画ではなく、『SAW』1作目のようなお金をかけずに作れる作品をちゃんと計算して作ったような優秀さを感じる。

最後に森に迷い込んだトリガーが示唆されているような描写もあって、なかなか抜かりない。地味だけど面白い映画だった。

『トランス・ワールド』 3.0

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