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弓張月の御息所

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大人のためのお伽話、こころの奥底にしまっていた胸のトキメキを美しい言葉で綴ります❤️
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2021年1月の記事一覧

ジュエリーアイス

ジュエリーアイス

十勝川の厳冬期だけ見る事ができる
ジュエリーアイス

河口付近で凍った川の水が
割れて海を漂流した時に
波によってぶつかり揉まれ
次第に大きなダイヤを研ぐように
光り輝いてくるといいます

思えば川と海の境界線
真水と海水はどこから別れていくのでしょう
区別なく人として生きていけばいいのでしょうが
女にもなりきれず母にもなりきれない
女性のその立ち位置の曖昧さに
どこか通じるせつなさを感じます

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砂の城

浜辺にストンと腰を落として
足元に波が忍び寄ってくるのも構わず
海の上に浮かぶ下弦の月をじっと見つめていました

月夜の中で一人、感じるのは
湿り気を帯びた下着の感触と共に
足先で砂地を踏みしめれば踏みしめる程
重さで固められたはずの砂が
あっけないほどに崩れていく危うさ

人間の脆さと同じね
人は幸せになりたいと願いながら
時に不幸の自分が愛おしくて
不幸せのカードを好んで引いてしまう
そんな愚

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「気まま」と「我儘」の違い

「気まま」と「我儘」の違い

先日、打ち合わせで出会った若い男性の言葉
「僕はね~弓さん女性の『ワガママ』は好きなんですけど『気儘』は許せないんです」...

似ているようで確かに違う
ワガママにはその女性(ひと)なりのポリシーを感じるが
気儘は単なる思いつきしか汲み取れない

気儘は例えて言うなら予測のつかない竜巻と同じ
どこに巻き上げられて着陸するか本人にも分からない
落ちたところで自爆するのがオチである

上手にワ

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情慟

オノヨーコ
いつからなのか
オノ・ヨーコを意識してしまう私がいます。

もちろん話したことも
お逢いしたこともない彼女だけど
厚かましくも、彼女と自分のなかのどこかに同質のものを感じてしまう

それは情動というもの。
できれば動を「慟」に置き換えたいくらいのもの。

普段はそんなに感情を露わにしないつもりだけど、時としてどうしようもなく心が揺れ動くことがあるのです。

蓋をしていたはずなのに
その

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