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ジュエリーアイス

十勝川の厳冬期だけ見る事ができる
ジュエリーアイス

河口付近で凍った川の水が
割れて海を漂流した時に
波によってぶつかり揉まれ
次第に大きなダイヤを研ぐように
光り輝いてくるといいます

思えば川と海の境界線
真水と海水はどこから別れていくのでしょう
区別なく人として生きていけばいいのでしょうが
女にもなりきれず母にもなりきれない
女性のその立ち位置の曖昧さに
どこか通じるせつなさを感じます

割り切れない思いも
互いにぶつかりあったり、研磨しあって
いつかは穏やかで滑らかな
女性の輝きを見せてくれるのでしょうか

光の当て方で、時には深く碧く
時には光を浴びてキラキラと輝き
時には夕日を浴びながら琥珀色に映り
ひとつには納められない自分を思い知るのでしょうか

静かにこぼれた涙すら
跡を残しながら凍る北海道の北の地で
決して冷める事のない女としての慟哭を
春になれば何もかもが溶けるのよと
ジュエリーアイスの中に
その呟きをどこか見てしまうのです

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