砂の城
浜辺にストンと腰を落として
足元に波が忍び寄ってくるのも構わず
海の上に浮かぶ下弦の月をじっと見つめていました
月夜の中で一人、感じるのは
湿り気を帯びた下着の感触と共に
足先で砂地を踏みしめれば踏みしめる程
重さで固められたはずの砂が
あっけないほどに崩れていく危うさ
人間の脆さと同じね
人は幸せになりたいと願いながら
時に不幸の自分が愛おしくて
不幸せのカードを好んで引いてしまう
そんな愚かさがあると知りました
幼い頃夢中で作った砂の城も
いつかは壊れることが分かっているから
その儚さがあればこそ
あれだけ夢中になって作っていたのだと思います
寄せては返す波に洗われ砕かれ
月の引力に引っ張られながら
破壊と再生を繰り返す海
安定を願い未来永劫続くことを目指して
毎日を精一杯生きていたいと願うのに
一旦その夢がかなうと
また、それを一から壊してみたくなるのです
それが身体の中に海を持つ人間の性なのでしょうか
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