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弓張月の御息所

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大人のためのお伽話、こころの奥底にしまっていた胸のトキメキを美しい言葉で綴ります❤️
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2020年9月の記事一覧

プアゾン

プアゾン

それは「毒」という名がついた香水、詩人 ポール ヴァレリーは「香りは心の毒である」と詠った

プラム、バニラ、コリアンダー、アニス、ジャスミン、白檀、紫檀、月下香、、シナモン etc・・・様々な成分を絶妙にブレンドさせたというこの香水は元のそれぞれの香りを想わせる気配は微塵もない。

爽やかなバニラが似合う恋もした。耐え忍ぶ月下香のような別れも味わった。白檀の香りが似合う淫靡な火遊びもしてみた。

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揺さぶりの極意

揺さぶりの極意

心配性のあなたの前ではどこまでも
気ままでわがままな私でいるのです
「お気楽だなぁ」と呆れ果てている背中に
確信犯のようにぴったりと張り付くのです

染み渡る体温で心も少しずつほぐれていくのか
仕方がないと諦めて
私のおねだりに耳を傾けてくれる

なかなかタガを外せないあなただから
多少の揺さぶりでは
身を崩せないこと知ってるの

感情より理性を優先して生きてきた
それが正しいと信じてた
でも時折

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フレンチキス

フレンチキス

負けず嫌いの私は すぐに男と女の戦いに火花を散らしてしまう
もちろんその駆け引きを楽しんでいる節もあるわけですが
それは単純に相手に勝ちたいから、でもないのです

自分のあらん限りの主張を見せつつも
それと同時に私が絶対的に敵うことなく
最終的にはあなたの前で完全降伏してしまう
そんな私をどこかで求めていると言ったら
あなたは信じてくれるでしょうか

追われれば逃げ

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羽二重餅

羽二重餅

「ねえ、これもいいでしょ」

そういって両の腕を
あなたの顔の前で心持ち掲げてみた
洋ナシの少しだけ瑞々しさが失われた時の様な
私の柔肌はすぐにリバウンドすることなく
ゆっくりとあなたがつけた指の跡を残していた

あなたは、いたずらがばれた子どものように
バツの悪そうな表情を浮かべ
私からほんの少し距離をおいた

「もう あなたの意地悪な言葉にすぐに反応したり
 強引なお誘いに 汗を弾かせたりはし

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