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佐久間裕美子のMyLittleNewYorkTimes

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書籍化したMy Little New York Timesから1年前の今日の日記と今年の日記を対にして不定期にお届けします。
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#BlackLivesMatter

7月31日 共和党のアンチ科学陣営・スポーツ再開など

共和党のアンチ科学陣営/右派のカルト的健康ビジネス/未来投資会議のヤバさ/NHL再開とBLM/NBAとBLM/NBAと香港、そして中国問題/フェイスブックのジェンダー標的広告と映画Miss Representation/17歳のハッカー逮捕/マードックの息子がFOXを辞任 昨晩、寝る前に、ヴァニティ・フェアのスクープで、ホワイトハウスが、4月には全米を統一するコロナウィルス対策を検討したけれど、その時点で感染地域が民主党の支持基盤である都市部だったことから、責任を州に押し付

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7月6日 カニエ問題

カニエ、、、ああ、カニエ。 独立記念日、今年は、黒人やネイティブ・アメリカンに対する警察の暴力や、アジア人に対する嫌がらせの話が目に入ってくる中、アメリカ独立の日をお祝いする気にもなれず、それでもまあ天気の良い土曜日、それなりにお酒も呑んで、いい気分で夜を終えようとしたときに、ニュースの速報を見てしまった。げ。 口に出すのも面倒なので黙っていたが、しばらくしたらそのニュースを同居人が見つけてしまい、家の空気が一気に悪くなった。カニエ、、、勘弁してくれよ。 カニエ、勘弁し

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7月3日 BLMからのネイティブ・アメリカン問題

BLMからの流れで、植民地主義時代からの歴史上人物の銅像や、彼らの名前を冠したビジネスや建物の名前が、再考される中、ワシントン・レッドスキンズとクリーブランド・インディアンズの名前が、問題になっている。 もちろん、この2チームの名前が問題になったのは初めてではないし、正直、「なんでこんな名前が許されているのだろう?」と思ってきた。なんで?の理由は、そこに固執するパワーが根強く存在していたから、ということにほかならない。 レッドスキンズのオーナーのダン・スナイダーは、201

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7月1日 NYPDをめぐる攻防

ニューヨークでは1週間強前から、直後に予定されていた市の予算の討議で、警察予算を削減することを求めて、市庁舎前の公園を、#OccupyCityHall のアクティビストたちが占拠を始めていた。 このギャラリー、ぜひ見てほしい。 ビル・デブラシオ市長は、一度は、警察の予算を削減することに否定的な市政を示したが、市民からのプレッシャーを受け、予算削減にコミットしていた。そして、実際、警察の予算を10億ドル削減した予算案を提出した。 やればできるじゃん!って、思いそうになるで

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6月23日 黒人女性たちのこと

今日はニューヨークとケンタッキーで準備選が行われた。大統領選の候補選びはほとんど結論が出てしまっているが、ケンタッキーの民主党準備選に注目が集まっていた。 ケンタッキーは、上院院内総務で、アメリカの裁判所の保守化を成功させたミッチ・マコノルの州である。打倒マコノルに民主党が用意したのは、エイミー・マクグラスという元軍人でレズビアンの白人女性であるが、ブリアナ・テイラーが殺される事件が起き、BLMが活発化したにもかかわらずマクグラスが運動と距離をおいて批判を受けていたところに

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6月22日 キャンセル・カルチャー 2020年

また最近、CancelCulture系の言葉がトレンドに登場してくるようになった。週末には、#CancelYaleがトレンドしていた。 私が人生の2年弱を過ごしたイエール大学は、レイシスト大学である。ということは、これまでみんなこっそり口にしてきたことであるが、今、それが公言されるようになった。 これまでもマイノリティ学生が他のアイビーリーグに比べて少ないという批判は常にあったし、地元の黒人コミュニティを搾取しているという声もあった。アンチ・アジア人バイアスで教育省の捜査

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6月19日 Juneteenthと奴隷制の歴史

6月19日はJuneteenthである。ニューヨークでは大規模のマーチが行われ、各地でもお祝いやデモが行われる様子がソーシャルに流れてきた。奴隷の解放や自由を象徴するイベントとはいえ、奴隷の解放や自由を象徴するこの日がこれだけ盛り上がるのは、現代史上初めてのことだろう。 日本との意識のギャップにおののく日々ではあるが、日本語でも、早速ジューンティーンスを説明するコンテンツが出ていて、ちょっぴり心強い。 ジューンティーンスは、奴隷だった黒人が自由になった歴史事実を祝う日だけ

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6月18日 レイシズムと差別について考える

なぜ、日本人が#blacklivesmatter について知る必要があるのか、なぜレイシズムについて考えるべきなのか、ということを伝えたい、伝えないといけないと思うことと、自分がそれを伝えることができる能力というものの間にはやっぱりギャップがあって、日々、葛藤している。 差別はない、日本には関係ない、という声を見るにつけ、心が重くなる。日本で暮らしながら、差別を体験している人がたくさんいることを知っているから。そしてときどき、意識のギャップを前に、無力感に押しつぶされそうに

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6月17日 レイシズムと資本主義

BLM2020年バージョンが進行しているからこそ、新しく見える世界がある。今、できつつあるナレティブにはいくつもの線があるが、そのひとつは「資本主義は人種差別でできている」という考え方だ。 差別、というと、特定の人種を下に見たり、特定の人種の権利が、マジョリティの権利より小さいことだけかといえば、そうではない。たとえば、ある大企業の役員の顔ぶれを見に行ったときに、白人男性しかいない、ということがよくある。白人の男性たちが牛耳っているのだから、それ以外の人間も、白人男性が決め

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6月12日 警察改革とシアトルの自治区

警察改革が、思わぬ速度で進んでいる。 ニューヨークは、警官のチョークホールド(喉輪攻め)を禁止し、これまで不祥事の情報開示を妨げていた悪法を撤廃した。 サンフランシスコも警察改革を発表した。 軽犯罪への対応を逮捕のかわりに違反チケットにするとか、危険の少ないケースには対応しないとか、警察と市民の軋轢を減らす対策、警察の予算を削減して、病院にまわすなどの対策などが、幅広い地域でどんどん採用されていく。このスピード感、なかなかである。

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6月11日 BLMとコーポレート・アメリカ

今回のBLMは、いつもと違う。毎日、自分の目の前で、バリバリと音を立てて社会が変わっていく。もちろん反対側からは必至の抵抗が続いている。 こういうときには、コーポレート・アメリカの反応を注視するようにしている。この手の運動が起きるとすぐに連帯するプログレ系の会社は、今回はさらに踏み込んでいる。Nikeは、黒人以外の人口に「背を向けるな」というメッセージを出しているし、ベン&ジェリーにいたっては、白人至上主義撲滅のイニシアチブを取っている。そのメッセージは「Silence i

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6月10日 Defund the police

ここのところ、blacklivesmatterから始まった闘いは、defund the policeという具体的な要求に形を変えている。 警察から資金を取り上げるーーおそらく日本から見たら、ずいぶんラディカルな考えに聞こえるだろう。 そもそも警察というものは、自治体や州がそれぞれ運営するものなので、予算もそれぞれの税金から捻出される。早速、こちらも暴力的な警察が名高いLAでもLAPDの予算大幅削減カットが決まり、ニューヨークでも市長が予算削減に応じる意向を示している。先日

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6月9日 1919年と2020年 疫病とBLMのパラレル

追記:ポスト時に配信先のマガジンを間違えましたので、Daily Sakumagに追加します。失礼しました。 アメリカのデモを見て「コロナウィルスが起きているのに?」と思う人は多いと思うのだが、実は「コロナウィルスが起きているから」という説明のほうが正しいような気がしている。パンデミックの負担が黒人コミュニティに偏りすぎていた、という現実があるのだから。 コロナウィルスがこの世に到来してから、1918〜19年と2020年が比べられることが多い理由は、これまでスペイン風邪のせ

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6月8日 警察改革は起きるのか

先日のデモで、NYPDの警官が、デモに参加した女性を「Stupid bitch」と罵りながら道路に押し倒したビデオが拡散されて、これが大事件に発展している。 なぜ、警察が急に暴力的になったかには理由がある。デモに乗じて略奪行為が起きたときに、クオモ知事がNYPDがコミュニティを守る義務を履行しなかったと非難したからだ。そして翌日NYPDがライオットギア(暴動仕様)でストリートに出たときには、略奪は終わっていた。けれど警察は、デモを制圧する気まんまんできている。結果、そこにい

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