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「いちから始める、いちから始まる」、自分の幸せと社会調和、さとのば大学

認定NPO法人全国こども食堂支援センターむすびえ&NPO法人ETICが開催してきた「居場所づくりは地域づくり」の登壇者が一同に秋田に集まりました。3日間五城目町の居場所や地域づくりの実践を見ながら議論しながら過ごしました。前回の記事はこちらから。

2日目訪問した①まどいの家②ただの遊び場③ハイラボ④ものかたり⑤いちカフェ⑥おうみや⑦吉田邸⑧森山ビレッジ(再)のうち、⑤いちカフェ⑥おうみや⑦吉田邸までこの記事で取り上げたいと思います。

いちカフェ

いちカフェは地元出身でもともと地元の銀行で働いていた坂谷さん(2児の母)が開いたカフェ。なんとお店オープンしたとたん2人目出産もあり、お店と産後育児と両立されながら経営を何年も続けてこられています。いちカフェの名前は、『何でもない“いち”主婦が、朝“いち”通りで、何もないところから”いち”から始めたカフェ』というのが由来で、「いちから始める、いちから始まる」がキャッチフレーズだそうです。素敵な由来とキャッチフレーズ!!!坂谷さんについての詳しい記事はこちらから。


1階の様子。入口入るとカウンター。2階へとあがる階段からのショット。

カフェができるまで


一番左で高い椅子に座っているのが坂谷さん

坂谷さんがカフェを開くに至った経緯は上記記事にも書いてありました。抜粋以下。

都会から人が来て、何か始め出しだぞというのが、ほとんどの町の人たちの感想だったと思います。私も最初はそう思っていました。でも、移住の人たちが旗振り役となって結成された「五城目朝市わくわく盛り上げ隊」というのに参加する機会があり、実際に関わってみると、皆さん面白いんです。前向きだし、発想が豊かだし。その集まりに、自分の手料理を持参していったのですが、「お店、出した方がいいよ!!」とそそのかされて…。その気になって出してしまったようなところもありますね。

https://awoman.jp/article/23443

自分も何かやりたい!何かできるかも!」という思いが沸いてきて、思い切って始めたカフェ経営です。

https://awoman.jp/article/23443

出店をするには相当なご苦労があったそうです。経験がない中で物件を借りることも、融資を受けることも。聞いていて、そうそうそうなんだよね、そうですよね、そうそうそう、・・・と共感の嵐でした。移住してきた面白い人たちと話をしながらいろいろとわくわくする作戦を考えているうちに楽しくなりすぎてしまい、これが仕事にならないかなという想いになったこと。面白い!わくわくする!のプラスのエネルギーが生み出す渦はすごいですね。

拠点があれば地元に住んでいる人と移住してきた人たち、朝市にきた人たちなどが出会える。出会って交差すれば何か科学反応が生まれるかもしれない。という発想。地元に続く伝統を続けるためにも・・・という想いも強く伝わってきました。


2階の様子。ここでワークショップやイベントもできます。

朝市は、名前の通り、市場で野菜やおやきやおつけもの等たくさんの方が通りにダンボールや箱を並べたりしながら販売しているのですが、その朝市は一種の「小商い」のトライアルの場にもなっているとのこと。100-200円の出店料で小さな商売をし、物件をみつけてお店を開く。そういうステップを踏む場所があることは、とっても大事だよなぁ・・・と改めて思いました。商店会の事務局をやらせていただいている私たちもいろいろと参考にしてみたいと思いました。

ハロウィンであれば全力で仮装をし(進撃の巨人やジョジョ等)ているそうです。楽しく面白がるところから、街の活性化の未来を描いていることもいいですね。https://www.instagram.com/ichicafe.gojome/ こちらのインスタに全力仮装の様子がうつっているので、是非インスタもフォローしてみてください。


外観写真撮り忘れてしまったので、こちらの写真はhttps://gojome.net/map_post/%E3%81%84%E3%81%A1%E3%82%AB%E3%83%95%E3%82%A7/  から拝借しました。


途中ICHICAFE2階で今回のメンバーでアウトプットの時間もありました。途中頭がパンクしそうになっていたので助かりました・・・


おうみや

おうみやは、「集落支援員」の八嶋美恵子さん(社会福祉士)と地域の病院で内科医として働いている漆畑宗介(総合診療医・コミュニティドクター)の夫婦が運営する場。なんとこまちぷらすの理事でもあるぐるんとびー菅原さんのところにも漆畑さんは少しの期間関わっていたとのこと。美恵子さんとは私も共通の知人も多くお互いびっくりでした。


赤ちゃん抱っこしているのが八嶋さん、その隣で話しているのが漆畑さん

この場は、80-90年前くらいから運営していた自転車屋さんを改装してつくった場。貸し棚(1箱1000円で、本や雑貨等を置くことができる)が壁面にあり、真ん中には大きな机が一つ。そこでひとが集まっていろんなお話をしているそうです。めざしているのは「まちのなかのリビング」。医療や福祉をバックグランドとしている漆畑さん、八嶋さんが健康や幸せに生きることを、患者としてではなく人として向き合いたいと考え実践してきた先につくった場が、こうした「リビング」のような場になったという話がとても興味深かったです。

雲の形の棚

自分が幸せになるためにも全員が幸せに暮らしている必要がある

他にも八嶋さん、漆畑さんの言葉にはたくさんの大切な言葉がたくさん含まれてました。一部以下抜粋します。

・血縁の中だけで暮らすのは限界。まちの中で自分の居場所をどうつくれるか。出会えるか。
・人々がいかに好きな事得意な事でつながることができるか。
・町はいろんなことが起き始めもりあがってきたが、同時に高齢化もすすんでいる。老いた時にもニコニコ毎日しながら幸せに生きていけるようにしていきたい。そのためには、余白と出番が必要。
・集落支援員としての仕事もいかにチームでできるかを考えている。人っていろんな好き嫌いはある。あの人が合わなくてもこの人だったら合う・話せるというのはある。そのためにチームが大事。
・今はおじいちゃんおばあちゃんたちの「仕事」づくりにも挑戦している。
・自分が出産をしてまわりに本当に助けてもらった。そうした中でより助け助けられの関係の中で「自分が幸せに暮らすためにも、全員が幸せに暮らしている必要がある」という実感になっていった。
社会の調和が結果、自分に帰ってくる。

というようなお話をお聞き出来ました。

      社会調和  → 自分  →社会調和

という感じでしょうか。それが助ける側だけにいたときより助けを必要とするようになったときに実感するようになる。引き継いだ自転車屋さんの元オーナーの姿や意思をひきついで町中でお話しができる空間を残し、それぞれの仕事の本業をしつつ自然体でこの街中の場をつくっているお二人の姿はとても清々しく見えました。


空間の奥に畳スペースがあり、さとのば生2人が座って聞いているのが印象的でした。

吉田邸 W/さとのば大学生

最後に訪問したのは、吉田邸。さとのば大学生3人がここに1年住んでいて、それ以外は一般に向けてAddressの仕組みを使い貸し出しています。

さとのば大学とは

さとのば生たちが3人五城目にきての想いや経験をプレゼンしてくれました。さとのば大学というのは、日本全国に「キャンパス」があって、学生の皆さんは1年ずつ場所を移動しながら地域に溶け込みながら地域の方とと共に学び合うという大学です。五城目はその一つのキャンパス(受け入れ地域)とのこと。

受け入れ地域先。https://satonova.org/archives/campus  より

カリキュラムも「プロジェクト学習をカリキュラムの主軸とし、自分を活かしながら小さくやりたいことをカタチにしていく」を学び方のベースとしているそうです。

カリキュラム

3人のうち1人は「ギャップイヤー」のコースで1年間だけ通っていて、それ以外の2人は4年間の学びをここからスタートしていました。この街の暮らしにいかに溶け込みつつ、自分の生き方に向き合っているかが伝わってくる3人3様のお話しでした。

吉田邸は、外から見ると、一見何の場所かわからず、中に入ると木工職人の工房。その更に奥に、家屋がありその中にさとのば生たちがすんでいました。住まいなので、写真はなしにしておきますが、「誰かのおうち」にお邪魔している感覚でその場に滞在しました。

人口減少地域における「人口」の考え方について

最後に、この吉田邸で、「スイスのとある村について」今回の旅をコーディネートをしてくださっている一般社団法人ドチャベンジャーズ柳澤龍さんが話してくれましたので、その紹介をしたいと思います。柳澤さんはこの写真の左側の方。

左がドチャベンジャーズの柳澤さん。右がハバタク丑田さん 今回このお二人のコーディネートのもの3日間過ごしました。

人口が少ないとある村にいくと、腰が曲がったおじいちゃんがおいでおいでといって丘の上に連れていかれる。その丘の上でワイングラスを渡され、ワインを注がれ、そのワインブドウ畑やそのワインができるまでの自然の恵みについて丘の上からその箇所を眺めながら教えてもらい、最後はまた来年同じ日にまた集まって乾杯しようといって解散する。

お話しいただいた内容の私の手元メモ。ちょっと違っていたらごめんなさい。

そういう人口が年間約10万人いるとのこと。この街を大切にしたいと思い、何かそこに関わり、ともにつくっていく人口が、それだけいる。果たしてこの街の人口は何人なのだろうか、と。

消費だけして帰っていくのではなく、愛着をもって関わる関係人口とその一部移住する人たちと一緒につくりたいと思う地元の人たちがまだら模様に関わり合いながら街をつくっていく景色は、この街で数日過ごすと何かイメージできるようになります。

その柳澤さんの人柄や想いについての記事。ETICさんが柳澤さんに取材した記事のようなのですが、とってもいい記事なのでおすすめです。以下一言は、そこからの抜粋。

『真に重要なのは、自分がどういう人間で本当は何がしたいのかという心の声に耳を傾けることです。』

最初に児童館というアイデアを出したのは農家であって、児童館の経営者ではないのです。僕は教育には、誰もが関わることができると考えています。専門家になる道もあれば、そうではない道もある。何より農家が自分の家族のためにやったというのが、僕的にはしっくりきています。事業化することを念頭におくのではなく、誰のためにやるのかに立ち返ることの方が大事なのではないかと思います。』

https://note.com/play_etic/n/n46c01be01318

この日は、この後、森山ビレッジに再度戻りこのビレッジにお住まいの皆さんや、ここまでお会いしてきた関係者の皆さんと一緒にBBQ。聞ききれなかったことなどを更にお聞きしました。右側に焚火が見えますが、もともあったのではなく、BBQ開始とともに土をほりはじめみんなで焚火コーナーをこどもたちと大人たちがつくりはじめていました。こうした場において端っこに「居れる場所」が自然とできていくこと、「居れる場所ができるように人がただ居ること」、その価値についても最終日は参加者で語り合いあいました。



そこに偶然滞在をしていた「あいうえお村」の皆さんとも交流しながら過ごしました。あいうえお村の皆さんたちも面白い活動をされていました。

2018年から毎年、1日1組貸切で宿泊できる学校を見つけて、約20組 総勢50名の仲間が集結するイベントを開催。 気の合う仲間が家族ぐるみで集まり、体育館を貸し切って遊んだり、BBQやキャンプファイヤーをしたりと、好きなこと・やりたいことをする場づくりがとても楽しかったので、もっとみんなが気軽に集まり、つながり、好きなことにチャレンジできるコミュニティがあったら良いなと思い「あいうえお村」をつくりました。

https://sharevillage.co/villages/aiueo/landingPage

こういう思いがけない出会いが生まれるコミュニティのつくりかたが素敵ですね。

ようやく2日目のレポートが終わりました。訪問してからほぼ1週間たってしまった・・・もう日々の仕事の中であの日々の記憶を呼び起こすのが大変になってきています。笑