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個人と会社のパーパスは一致すべきか

「御社が第一希望です!」

「御社の理念に心から共感します!」

就職や転職の場面において、日本人なら誰しも聞き覚えがあるこのセリフ。本当に心からそう思ってるの?と疑ってしまうのは私だけでしょうか。その商品やそのサービス、本当に心から売りたいと思いますか?熱狂的なファンですか?

何が言いたいかというと、個人のパーパスと会社のパーパスは完全に一致することはないということです。実は私自身もこのことに悩む1人であり、キャリア支援をする者としても気になります。今日はパーパスについて、自分の考えを書いてみようと思います。

【個人パーパスとは何か】

正直今まで「個人パーパスとは何か?」なんて考えたことはありませんでした。考えるようになったきっかけは、SNSでの投稿です。私が発信する内容について、同じような社会課題を感じている女性が多いということに気づき、個人のパーパスを意識するようになりました。その社会課題は何かというと「日本の女性のキャリア自律、経済的自立」です。つまり女性が結婚して子どもを産むと、精神的にも経済的にも不利になってしまうことが多いということです。例えば結婚をきっかけに専業主婦になりキャリアが途切れることや、仕事を続けてもマミートラックにはまったりして、女性のキャリア自律や経済的な自立が阻害されるという事象を指します。私はそれらの問題についてSNSでの発信を続けた結果、広告に出演する、取材を受けて記事にしていただくなど、主にLinkedInで沢山の貴重な機会を頂くことになりました。これらの活動は自分自身の経験やバックグラウンドと重なり、「日本の女性のキャリア自律、経済的自立」は私が生きているうちに解決したい課題であると自分自身が認識するようになり、私個人のパーパスとなりました。

【じゃあ会社のパーパスは?】

私は今、会社員として会社に所属し、人材紹介事業部にいますが、会社のパーパスと私個人のパーパスは違います。女性活躍を支援している会社にいるわけではありません。個人のパーパスと会社のパーパスが一致しなければ、働いてはいけないのかというと、そういうわけではないと思います。個人と会社の利害が一致していれば、それで良いと思っています。働く個人は、プロフェッショナルとしてスキルを活かして労働力を提供する、会社はその労働力に対して対価を支払う、そんな単純な仕組みで良いと思うのです。

【個人のパーパスと会社のパーパスをどうするか?】

個人のパーパスと会社のパーパスの関係をどのように考えたらよいのか?私はそもそもパーパスは一致しないものだと割り切ることから始まると思っています。個人のパーパスと会社のパーパスが完全一致することはあり得ないので、折り合いを付けるのです。私は会社員として働く以上は、基本的に代替可能な労働力だと思っています。まずは今の会社で目の前の仕事を成し遂げ、給与に見合うパフォーマンスを出すということが、会社員としてやるべきことではないでしょうか。それが個人のキャリア形成に繋がり、会社にとって戦力とみなされることによって初めて、その人に意思決定権が与えられたり、新しい仕事を任されたりするのです。そこから少しずつ会社のパーパスへと浸出できるような気がします。そうでなければ経営者は会社のパーパスを実現できそうな人を探し、それ相応の報酬を出して採用するのではないでしょうか。

【仕事と自分をつなぐパーパスとは?】


私個人は「日本の女性のキャリア自律、経済的自立についての課題を解決したい」というパーパスを持っていますが、このパーパスが仕事に直結しているわけではありません。今自分がするべき仕事をリモートワーク下でこなし、個人のパーパスと会社のパーパスが一致しない中で、モチベーションをどう保つか。私の場合、人のキャリアに関する問題を常にウォッチしていたいし、さまざまな人の人生を垣間見たい。そしてそこにあるドラマを擬似体験できることはこの上なく楽しいから、人材紹介業の現場に立っていたい。いつか日本の女性のキャリア自律、経済的自立についての課題を解決する糸口が掴めるのではないかという期待を持ちながら、今は自分の実力と信用を積み上げていくことに集中しています。私自身の実績を上げることでしか説得力は生まれない。なぜなら私自身がブランク7年の元専業主婦だからです。

加えて一緒に働く社員間の心理的な結びつきも、働くモチベーションを保つ上では重要だと考えています。会社で働くことは生活するためのお金を稼ぐことでもあります。良い時もあれば、悪い時もあり、必ずしも個人と会社のパーパスが一致するわけではありません。モチベーションを保つのが難しい状況で、この人たちと働いていると楽しい、前向きになれるなど、気持ちの結びつきが重要な要素だと感じます。それはリモート環境下になり、より強く意識されたような気がします。個人と会社の関係性が物理的に簡単に切り離すことができるリモート環境下では、心理的につなぎ止めるものが実は重要な気がします。社員は簡単に辞められるし、信頼関係のない上司とは簡単に関係性が切れます。リモートワークで露呈したのは、実は目に見えない心理的な結びつきが、社員を繋ぎ止めていたという事実なのではないでしょうか。

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