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開き続ける力

2012年5月の禁酒令に端を発して始まった「明日晴れるかな」福岡市のこれからを語るオフサイトミーティングは,8年の歳月を経てすでに開催回数は200回を超えています。
「どうしてそんなに長く続けられるのですか」という質問をよく受けますので。今日はその秘訣をご紹介しましょう(笑)

以前投稿した「すべての人が適任者」では,職種や職責,年齢や性別も問われず,誰もが周りを気にすることなく自由に自分の立ち位置を定めることができ,そのことをお互いに認め,尊重できる場であるというグラウンドルールがあるおかげだと書きましたが,これは参加者の居心地を高めることで「また参加したい」という気持ちを持ってもらうことにつながっています。

加えてもう一つ,参加者側から見て「参加したい」と思い続けてもらうために心がけていること,それは「開き続ける」ということです。
長くオフサイトミーティングをやっていると,初めての参加者がふらりと表れて「ずっと前から掲示板で見て気になっていたんですが,やっと来れました」と言われることがよくあります。
これは,私たちがあえて心がけている二つの「開き続ける」ことの成果です。

一つは「定例的に開き続ける」ことです。
職員の自主研究グループ活動では,企画内容や参加人数にこだわって,開催のインターバルが開いてしまうことがよくあります。
企画に応じた準備期間や参加者が多く集まれる日程での開催を調整することで結果的に間隔があくと,その間に活動自体への親近感が薄れて足が遠のいてしまうということが起こりがちですし,仮に月に1回しか開かないとすると,参加したい人は1ヶ月も前から予定を調整して気合十分でその場に臨むことになり,都合が合わなければまた1ヶ月待つことになります。
私たちのオフサイトミーティングの場合,これだと「自由に気軽に対話を楽しむ」と言っている場の趣旨からはちょっと変な話になりますよね。

私たちは次の開催までの間隔をあまり開けない定例的開催を心がけています。
現在は,特定の曜日に周期的に用件が入っている方でも参加しやすいように,曜日は固定しないで月3回程度会場を確保し,これを前月末までに職員専用掲示板で告知しています。
「いつも開かれている場所」というイメージを持ってもらうことで,自分が都合のいいときに参加すればいい,今日参加できなくてもまたの機会がある,いつかきっと参加しよう,そう思ってもらえるようにしているのです。

もう一つの取り組みは「終わった後も開き続ける」,つまり開催後にそのことを掲示板やfacebookに投稿することです。
自分は参加できなかったけど開催されたんだろうか,どんな話題があったんだろうか,盛り上がったんだろうか,そんな気持ちに応えるために,大まかな話題については参加していない方とも雰囲気やノリが共有できるよう,さわりだけ投稿するようにしています。

もちろん参加者の心理的安全を確保するため,誰がどんな話をしたということはあまり具体的には書かないようにして,結局は参加しないとわからない,そのギリギリのもどかしさを感じてもらえるように工夫しています。
こうすることで参加していない人との距離を一定程度に保ち,まだ参加したことがない方や,しばらく参加していない方にも「いつか(また)参加したい」という気持ちを持ち続けてもらいたいと思っています。

こう書くと,運営側って大変ですよね,会議室の確保とか告知とか鍵開けとか開催後の報告とかよく毎回続けられますよね,という話になります。
まあ,これは好きだから続けているとしか言いようがないのですが,あえてその秘訣を語るなら「仕事じゃない」「なるべく楽に」ということに尽きます。

「職員同士の対話の場づくり」は私やその仲間たちが職務として特命を帯びているわけではありません。
また,社会のお役に立ちたいと高邁な使命感と奉仕精神で自らの労力をささげているわけでもありません。
私たちはただ,職場や立場を超えて自由に気楽に何でも話せる場って居心地がいいよね,と思ってその場を作っているだけなのです。

なので,達成すべき目標も明確な成果指標もありませんし,集まる人数が多かろうと少なかろうと,そこで何か明確な活動成果が出ようと出まいと,私たちがその責任を誰かから問われることはありません。
そこに誰も来なくなれば,それはそれでみんなほかに居心地のいい場所を見つけたのだと思えばいいだけのこと。
参加者の人数に一喜一憂して「もっと参加者を集めよう」とか「もっと参加者満足の高まる企画をしよう」と考えることもありません。

あとはとにかく負担を減らして楽にすることです。
会場確保と日程決定は,事前に参加希望を募ったり,参加者が多く見込めそうな日に設定したりはせず,職員自主研究グループ活動の支援を所管する担当課の割り振りに委ねていますので,割と機械的に決まります。
企画内容をあまり決めないので準備すべきものも準備期間も必要ありません。
告知や報告のチラシは作らず,参加者の事前申し込みも不要です。

当日の鍵開けはこの活動に賛同してくれている「明日晴れるかな」応援団の皆さんに「今日,鍵開けできる人いる?」と問いかけるだけ。
誰も鍵開けできなければ中止の告知を行い,鍵を開けてもしばらく誰も来なければ鍵開け人の判断で鍵を閉めて帰ることもお約束です。
当然,私自身が必ず参加しなければいけないという責任感もありません(笑)。
このくらい肩の力を抜いているからこそ,仕事や家庭での責任も果たし,個人の楽しみもしっかり実現しながら8年も続けていられるのです。

それでも若干はやることがありますので,負担ゼロというわけにはいきませんが,そこを乗り越えるエネルギーは自分を含めた参加者の満足気な笑顔。
続いているということは,常に誰かがその場に魅力を感じて参加してくれているということであり,参加者のニーズに応え続けている証でもあります。
また,続いていることそのものが,「いつも開いている,いつでも行ける場所」「いつも誰かがいる魅力的な場所」というイメージを抱かせ,参加する人に「いつか(また)参加したい」と思わせることになります。

続けることで得られる参加者の皆さんの満足や期待の手応えこそが,8年もの間この対話の場を開き続ける力になっているのだと思っています。
これは,私のSNS投稿や出前講座も含め,すべての行動について言えることかもしれませんね。

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