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財政課に配属された皆さんへ

「先輩,何の本読んでるんですか」
「ああ,これ?財政課に異動した人が必ず読む本」
「え,そんなのあるんですか?私も読みたいなあ
財政の“ざ”の字もわからないので」
#ジブリで学ぶ自治体財政

春は自治体職員の人事異動の季節です。
毎年のことですが,SNS等で全国の自治体職員さんから「財政課に異動になりました。わからないことばかりです。何から勉強したらいいかアドバイスいただければ幸いです。」とか「業務で参考になる書籍などあれば教えてください」という問い合わせをいただくことがあります。
そんな時は迷わず拙著「自治体の“台所”事情“財政が厳しい”ってどういうこと?」をご紹介するのですが(笑),正直,自分自身が勉強嫌いであまり本を読んだりコツコツ勉強したりしないので,なかなかお勧めできる勉強法をご教示できなくて申し訳ありません。
財政課に配属されると,地方交付税や公債といった財源の担当か,各事業部局の予算編成や執行管理の担当かに分かれます。
私は財源の担当をしたことがないのでそちらのほうはうまく助言ができないのですが,今日は,財政課に異動し,事業部局の予算編成・執行管理担当になった場合に必ず取り組んでほしいことをアドバイスしたいと思います。

まず,財政の勉強する前に確認しておくべきことがあります。
それは,財政課という組織の存在意義。
財政課で各部局の予算編成や執行管理を所管することの意味をきちんと考え,理解しておくということです。
なぜ,現場が財政課に予算要求を行い,財政課の査定を受けるのか。
なぜ,予算執行する際に財政課に協議や合議をしなければいけないのか。
なぜ,我々地方自治体は予算に基づいて行動するのか。
なぜ,予算は財政課が一括して管理しているのか。

財政課は想像以上に多忙でストレスフルな職場です。
この問いに対してきちんと答えを持っていないと,これから始まる怒涛の忙しさの中で「なんでこんなに忙しいのか」「そもそもこの作業にどんな意味があるのか」という疑念を乗り越えることができません。
ご存じのとおり,忙しいというだけでなく,財政課の職員は他の部署の職員から嫌われる傾向にあります。
どうして財政課は嫌われるのか。
それは財政課が予算を一括して管理している理由と大きな関わりがあります。
また,財政課職員として現場とどう向き合うか,どう寄り添うか,どんな姿勢,立ち位置で対峙し,対話や議論を重ねるか,というスタンスを決める重要な基礎となります。
この答えは,拙著「自治体の“台所”事情“財政が厳しい”ってどういうこと?」の第1章「財政課職員はなぜ嫌われる?!」に書いてありますので,お手元にある方はよく読んでおいてください(笑)

次に知っておいてほしいのは自治体財政の厳しさ。
予算編成や執行管理の具体的な業務において,財政が厳しい,お金がないという理由で予算を執行する現場に物申す場面が何度も訪れます。
しかし「財政が厳しい」という言葉の真の意味を知らずにこの言葉を振りかざすのは現場との意識の乖離を生み危険です。
自治体の財政構造や現状,将来見通しなどを客観的に分析し,なぜ財政が厳しいのか,どこにどれだけお金を使っていることが原因で,どの部分のお金が足りなくなっているのか,をきちんと理解し,現場と共有することが,財政課職員として現場からの協議や合議を受ける際にきっと役に立ちます。
この答えは,拙著「自治体の“台所”事情“財政が厳しい”ってどういうこと?」の第2章「自治体は「お金がない」?」に書いてありますので,お手元にある方はよく読んでおいてください(笑)
また,自分の自治体の中期財政見通しや財政健全化のための計画などを先輩から教えてもらい,しっかり読み解くことをお勧めします。

以上の二つのことを学んでいくと,財政課という職場は,財政課が担っている「予算」という仕組みや現下の財政状況について予算執行の現場に嫌われながらも理解を求め,限られた財源をどう有効に活用していくかを一緒に考えていく職場ということがわかると思います。
その使命遂行のために何よりも必要なのが,担当部局の事業を知る努力です。
担当部局が決まったら真っ先にその部局の所管事業がわかる資料(事業概要,パンフレット,内部向けに作成された事業説明書など)をもらって読み込み,必要に応じて施設や事業実施の現場を見学させてもらってください。
今はコロナ禍で難しいですが,本当は担当部署のお膳立てで施策事業の勉強会や施設見学会を実施し,そのまま懇親会で親睦を深めるというのが私の常とう手段で,これが大変重宝したものです。

現場のことを知ることは当然に予算の最適化,効率化を図るうえで必要なことですが,それ以上に大事なのは現場のことを知り,一緒に物事を考えていく仲間だと現場の方々に認識してもらい,信頼関係を築くことです。
予算編成や執行において,様々な制約条件から財政課と現場で意見が対立することは日常茶飯事。
その時に,人間として嫌われているのと好かれているのではまったく仕事の進み方もアウトプットも違ってきます。
よりよい予算を組み,よりよい予算執行を実現し,よりよい成果を市民にもたらすために,まずは現場とのより良い関係を構築すること。
そこで現場から示される,財政に関する不安や疑問,提案,要望などに真摯に応えようとする中で,自然と財政に関する専門的な用語や知識について勉強せざるを得ない時が来ます。
そうなったときにいわゆるバイブルとして全国の自治体に配架されている「地方財務実務提要」や「歳入歳出科目解説」を開いても遅くはないと思いますよ。

まずは拙著「自治体の“台所”事情“財政が厳しい”ってどういうこと?」をご一読いただき,何かわからないことがあれば,私に尋ねていただければと思います(笑)

★2021年6月10日出版予定の拙著『「対話」で変える公務員の仕事~自治体職員の「対話力」が未来を拓く』Amazonでweb予約受付中。
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★2018年12月に「自治体の“台所”事情“財政が厳しい”ってどういうこと?」という本を出版しました。ご興味のある方はどうぞ。
https://shop.gyosei.jp/products/detail/9885
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