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エッセイ等

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柔らかめの散文
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2020年9月の記事一覧

エッセイ+短歌「風立ちぬ」

 高校生の頃、女子高校の文芸部で憧れの先輩がいつも読んでいた堀辰雄。どちらかというと英米文学の翻訳物が好きで日本文学は敬遠しがちだった私も、読んでみようと手に取った『風立ちぬ』にたちまちひきこまれたのは、修学旅行に発つ前の日でした。そこで、文庫本を荷物に詰め込み、行きの列車のなかで読みふけっていました。本来なら、クラスメートとおしゃべりをして親睦を深める時間だったでしょうに……。変わり者でした。(

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エッセイ+短歌「北の薔薇」

エッセイ+短歌「北の薔薇」

何処より飛来せしもの部屋隅に佇む黄金の翼持つ椅子

これは白泉社の雑誌『MOE』1993年12月号の文藝コーナーに掲載された17才のわたしの作品です。初投稿・初掲載だったと思います。
そのときの選者、小林恭二さんのコメントは次のようなものでした。
「どこがどうというわけではありませんが、北のロマンを感じさせます。わたしは常々思うのですが、北の方で生まれた詩はロマンティックな風合いを持つことが多いよ

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