見出し画像

【8/100】 目標を持たずに生きてきた人が、「目標を立てたい」と自発的に言い出すようになったプロセスに立ち会える幸せ

「目標、10年後くらいの、なんか、立ててみたいと思って・・・」

継続的にコーチングを提供させていただくようになって、1年とちょっと経った頃、セッションがはじまってすぐにクライアントがじぶんから言い出しました。

この言葉を聞いた瞬間、わたしは「おおおおおおお!!!!!!ついにこの時が来たかーーー!!」と心の中で叫びました。もちろん心の中でとどめず、目の前にいるクライアントにもこの喜びを丁寧にお伝えしました。

わたしが叫ぶほど嬉しい理由は、クライアントさん自身も分かってらっしゃるようで、本人も自発的に目標を立てたいという気持ちが起こったことをとても喜んでいる印象でした。


それこそ継続セッションを始めた直後は、モチベーションが保てない、将来に希望が持てない、これまでの人生で未来のことなんて考えたことがない、なるようになると思っている、というようなフレーズが頻繁に出てきていました。

実現したいことや欲しいモノを尋ねても、「特にない」「考えたことがない」というばかりでした。なんでそんな人がコーチングを受けているのか疑問に思うかもしれませんが、そうはいっても「このままの状態ではなんかよくない気がする」とはクライアント自身も思っていたそうです。

なんとか変わりたい、けど、どうしたらいいか分からない

そんな状況から脱したいという気持ちでコーチングを受け始めたようです。

コーチングは、目標を立て、そこに至るまでの最短のプロセスをコーチが支援するモノという側面が強いので、どうしても目標を立てることに焦点が当たり、それが目的になることがあります。

ただ今回のクライアントのように、目標を立てるまでには至らないけど、でもなんとかしたいという場合に、コーチ主導でむりくり目標を立てても、結局行動が伴わず、クライアントの自尊心が削られてしまい、継続コーチングから離脱してしまうという結果になることもあります。

じぶんの中から出てきた目標じゃなければ、続かないどころか、むしろリバウンドし、より一層目標を立てるエネルギーが下がってしまうことも多いようにわたしは感じます。

このクライアントは、自発的に目標を立てたいという気持ちが湧くまでに1年ちょっとかかっています。そのあいだセッションでなにをしていたかというと、ひたすら日常について話しました。

いまの状態をどう思っているのか
〇〇したときはどんな気持ちになるのか
〇〇を休んだ時はなにか変化があったか

主にこういったことをひたすら問いかけ続けます。そして可能な限り「わたしは」とクライアント本人が主語になった文章で話してもらうよう促します。

時折、コーチであるわたしが感じる様子をフィードバックします。もちろんクライアントにとって耳の痛いことも伝えます。忖度せず誠実にフィードバックすることがコーチの役割だと思っています。

繰り返し日常についてアウトプットし、自分自身や身近な人を多面的に観られるようになってきてはじめて、「今日」というブロックをひとつ積み上げることができます。

そうして、毎日毎日「今日生きている自分」を実感できてはじめて、少し先の未来のことが考えられるようになるのです。

今日を実感できていない状態の人にいくら目標を立てようと促しても、これまで「今日」というブロックを積み上げてきておらず、未来を積み上げる土台がないので、なかなかうまくいかないように思います。

今日生きている自分を実感できるかどうかは、意識のクセなので、ひたすらクセに気づいていく作業になります。いつも右足から靴を履く人が、意識して左足から靴を履くことでそれを習慣にしていくように、意識していなかったことを意識し直す作業を繰り返します。

もちろん意識するのを忘れちゃうこともあるし、意識してても元に戻ってしまう感じがしたり、じぶんの期待に近い状態になるまでには、コツコツと時間をかけていくしかありません。

コーチングを受けているのに、成果が出ないとか、達成感が味わえないという人は、未来を築く土台がまだまだ緩いのかもと思ったりもします。

コーチとしては、土台が固まってくるまでひたすら「見守る」だけです。クライアントのコツコツ作業に、トコトンつき合う、ただそれだけです。ただそれだけなんですが、このプロセスにお付き合いできることは、わたしにとって最高に幸せなことだとも思っています。



さいごまでお読みいただきありがとうございました。
スキで応援していただけると励みになります♡


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?