60.公正な採用選考をお願いしたい

公正な採用選考とは

いまだ失業中の身ですので、失業認定のため、ハローワークには最低でも4週に1回は通っています。

私は障害者雇用で仕事を探している関係上、専用の窓口に行くのですが、その窓口に行くまでの通路に、しつこいくらいに貼ってあるポスターがあります。

その内容は
「その質問 不適切かもしれません」
「その質問・・・「面接」で必要?」

というものです。

内容としては、
「適性・能力に関係のない事項を応募用紙や面接等で聞かないように」
というものです。
例えば家族構成や出身地、家庭環境や人生観、宗教等について、聞いてはいけないという事です。

詳しくはこちら↓

しかしながら、現状としては、コンビニ等で売っている履歴書の書式にも、いまだに「配偶者の有無」「扶養家族の人数」を問う欄がついていますし、私が以前webからダウンロードした履歴書の書式(word形式)も、その欄はついていました。

私も不適切な質問を受けました

私自身は、現在の家族構成について、「配偶者の有無」「扶養家族の人数」くらいは、別に事前に把握されても嫌ではないので、そのまま使っていますが(むしろそこを選考基準に入れて、「小さい子供がいるからダメ」とか「家庭の主婦はダメ」とかって決めつけて落としてくるような企業はこちらからお断りですね)、面接まで進んだ場合にその記載内容の確認程度にとどまらず、「本来面接で聞いてはいけない内容」にまで踏み込んでくる面接官が、いまだにいることには驚きます。

ある企業の面接では、面接官が、面接の最初に「答えたくない質問には答えなくてよい」と言ってきたにもかかわらず、面接内で家族構成についてしつこく聞いてきました。
私としては履歴書に記載の事項(配偶者の有無と扶養家族の有無)くらいは、確認程度に聞かれる分には別に構わないですし、履歴書に書いてある通りに答えるだけで終われば別にそれで良いのですが、その時は
「誰と一緒に住んでいるのか?お母さん?」などと聞かれたり、さらには「現状一緒に住んでもいない実の両親との関係性にまで踏み込んでくるような質問」をぶつけてきたりなど、不適切極まりないと思うようなことを聞かれました。

そこで私は面接官に対し「その質問をする意図」について逆に尋ねてみたところ、
「精神障害の人は急に会社に来なくなったり、連絡がつかなくなったりすることがあるので聞いている」
「体調の悪い時にケアしてもらえる環境かどうかを確認している」

といった企業側の意図を聞くことができました。

ただ、そのような意図であるならば、最初から
「体調の悪い時などに、急に会社に来なくなったり、連絡がつかなくなったりすることがあると会社として困るが、その点は大丈夫か」
等と質問すればいい話であって、何も執拗に家族構成や、実の両親との関係性まで深堀りする必要はないと思うんですね。

おそらくここの会社では、過去に「ある日突然来なくなる」とか「一人暮らしの人が家で具合が悪くて動けなくなってどうしようもなくなった」というような事例が実際にあったのではないかと思います。そのようなことになれば会社としても困るというのは理解できますので、「そのようなことを会社側が心配するのは無理もない」と思えますが、それにしても「質問の仕方に配慮がない」という風に感じました。
そしてこのやり取りを通じて、私には、その面接官が「実の両親との関係性が悪い人は、採用後もうまくいかない場合が多い」と決めつけたようなものの見方をしているように感じたんですね。
また、質問に対して素直に答えず「質問の意図」を探ろうとしてきた私に対して、相手は良い印象を抱いていないだろうな、というのもなんとなく感じ取りました。
(あくまで、「私がそう感じた」というだけですが)

個人的にはそんなところはさっさと断って次にいった方がいいと思っていますが、企業側が、私の面接での受け答えについてどういう判断をするか知りたかったので、とりあえずこちらからは断らずそのままにしておいたら、後日不採用の連絡がきました(笑)
私にしてみれば、まぁそうでしょうね、という感じでしたけど。
(なおこの会社については、後日ハロワに出向いた際「面接で不適切な質問を受けた」ことを報告し、その会社の管轄のハロワから指導を入れていただきました。)

履歴書のフォーマットを見直すことに

質問の仕方に配慮がない会社というのは、おそらく入った後も、色々と配慮面で問題が起きそうな気がするので、個人的には、そういうところは断る方向で就職活動を進めていますが、もしかしたら私の履歴書に「配偶者の有無」「扶養家族の人数」を書く欄がついていて、それを書いているから、そういうことを聞いてもよいと思って聞かれるのではないか?と最近思い始めてきました。

それで、そのような欄のないフォーマットを探したところ、なんと厚生労働省のサイトにありました。

上記リンク先にもPDF版、エクセル版がありますが、リンクがちょっと見つけづらいのでハロワのサイトもあげておきますね。

上記リンク先ページの下の方、「厚生労働省履歴書様式例」というところにPDF版とエクセル版の両方がついていました。
エクセルなら私のように手書き面倒くさい民でもPCでガンガン打ち込めるからいいですね。

配偶者の有無や扶養家族の人数といった情報は、入社後の人事手続き上必要となるものなので、実際に入社が決まった後に、人事手続き上必要であるという事を伝えたうえでその情報収集をするという形にするべきで、採用選考時に聞く必要はまったくないのです。

厚労省がこのような形で、採用時に集める必要のない情報を集めなくていいように支援している、というのは今回調べてみて初めて知りました。
市販のものでも、もしかしたらもうこれに近いものがあるのかもしれませんが、私の家の近所でいくつか見た限りでは、見当たりませんでした。
いずれ、こちらの方が「当たり前」になるような社会になってほしいと願っています。

余談

中学・高校を卒業してすぐ職に就く場合に使用する履歴書の書式も上記厚労省のサイト「公正な採用選考の基本」にありましたが、やはり家族構成等を問うような欄はなかったです。
が、実際の面接の現場では、聞かれることもあったりするようです。
下記は大阪労働局のサイトですが、やり取りの事例が載っています。

企業の面接官と学生とのやり取りの例ですが、これ、相手が学生でなくてもこういう面接の仕方をしている会社って結構あるんじゃないでしょうか。
特に「アンケート」や「作文」という形式で、さりげなく家族構成や家族との関係性を探ろうとする会社とか。

そしてなぜ私が、現在の家庭の家族構成ではなく、実家の家族構成を聞かれたり、実の親との関係性を探られたりすることに強い抵抗をしているかというと、やはり「実の親との関係性がよくないこと」というのが一番にあります。
上にも挙げた通り、世間的には、まだまだ「実の親との関係性がよくないこと」について、否定的な考え方をする人がいるので、私は話したくないのです。

私の持論は「子は親を選べない」です。
(「子は親を選んで生まれてくる」的な考え方の人もいることは理解はしていますが、私はその考え方についてはどうしても受け入れがたいです)
うまく表現できないのですが、例えば本人が精いっぱい努力しても「子供のころの家庭環境が悪い」「親との関係性が悪い」というだけで、マイナスの評価をされたら、やはり悲しいです。子供のころの家庭環境については子供本人の努力だけでどうにかなる問題ではないですし、「親との関係性がうまくいかなかった」というだけで「その他の人との関係性においてもうまくいかないだろう」と決めつけられたら、たまったものではありません。

でも世間的にはそういう考え方をする人ってまだまだたくさんいる、と私は感じているので、「なるべく話したくない」のです。

いまは家庭環境、家族構成も多様化が進んでいると私は思っていますので、いわゆる「両親そろった、経済的にも安定しているあたたかな家庭」で育った人ばかりではないという事についても、もっと社会の理解が進んでほしいと思っています。

そして「どんな家庭環境で育ってきたか」にかかわらず、本人がこれまでに努力してきたことや積み重ねてきた経験、スキルについて、正当に評価される社会であってほしいと願います。


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