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社内向けプレスリリースで顧客課題を分析 ~ PdM座談会 第4回

セーフィーのPdMメンバーを成長させる座談会のこれまで

セーフィー株式会社第1、第2ビジネスユニットプロダクト部、デザインセンターの執行役員を務める植松です。
私の入社した2020年2月当時は企画職、所謂PdM(プロダクトマネージャー)的な仕事をするメンバーは2,3名だったのですが、この2年強で、会社の成長と共にPdMが10数名に増加しました。
そんな中、PdM育成の一貫として、他社のPdMの方に来ていただき、座談会活動を定期的に実施しています。これは様々な企業のPdMから学んだことをプロダクトに活かすことを目指しています。(詳しくは、第3回実施時のnoteを是非御覧ください)
今回で第4回となりますが、最初は継続的に実施することは考えていませんでした。しかしながら、初回の参加メンバーや座談会講師からも好評だったことと、弊社の様々なバックグラウンドを持っているPdMの前職や知人の方をたどるといろんな観点での座談会が出来るのではないか?と思ったことがきっかけで、2,3ヶ月に1度のペースで続けてみることにしました。更に、座談会運営を小さなプロジェクトと捉えると、その運営を行うことはプロジェクトマネジメントでもあり、育成にもつながると考えました。(弊社のPdMのJob Descriptionにはプロジェクトマネジメントが出来ることも要件として上げています。)
第1回はメーカー系の企業で商品企画やPdMをやっている方をお招きしました。
第2回もメーカー系の企業で商品企画をやってらっしゃる方に、実際に発売されているプロダクトを持参し実演いただきながら、そのこだわりポイントや、つぶされそうになったプロジェクトをどう突破しリリースに結びつけたのか?ということについて熱く語っていただきました。
第3回は前述のnoteに記載がありますが、マネーフォワードの方に来ていただいて組織マネジメントなどのお話を伺いました。

第4回はワークショップ形式、「Amazon流PRから学ぶ顧客課題分析」

さて、第4回では今まで対談形式だったのを少し趣向を変え、ワークショップ形式にしました。
講師は私の前職 Amazon Kindleコンテンツの部署でPdMを行っていた山下雅房さんです。
Amazonでは、プロダクトを企画する際に、まずは「社内向けにプレスリリースを書く」ことから行います。本来、プレスリリースは新商品発売時に社外向けに公式に発表する文書ですが、それを企画段階で「事前に」新しい商品やサービスを細部に至るまでイメージし、書き下すことで、

  • 誰が顧客か?

  • その顧客の何の課題を解決するのか?

をかなり精緻にすることが出来るようになります。
座談会の時間のみでプレスリリースを書くのは厳しいため、事前に参加メンバーにプレスリリースを仮想/実在のプロダクト問わず1つ選んで書いてもらい、それを山下さんに事前レビュー・赤ペンいただいた上で本番に臨みました。
当日は、数人のグループに分かれ相互レビュー、プレスリリースを書くポイントの講義などを行いました。
メンバーから多く上がった質問は、 プレスリリースに合わせて記載するFAQについてです。ポイントとして山下さんが上げられたのは、大きく2点ありました。

①「FAQを様々な人の視点で書く」
通常のプレスリリースは、社外発信をする目的のため、顧客向けのFAQとなります。しかし、今回のワークショップで行ったプレスリリースは“社内向け”も合わせて記載することで、社内のステークホルダーがプロダクトを企画するときにどういった懸念があるか、影響があるか?ということを想定できるようになります。また、答えたくない質問、触れられたくない質問を用意することで、リスクやプロダクトの考慮モレを事前に確認することが出来るようになります。このプロセスを一度踏むと、FAQは「仮設検証のためのツール」として非常に有効であることが実感出来ます。

②「様々な立場の方にレビューをしてもらう」
また、プレスリリースを書くだけではなく、それを営業、オペレーション、開発 などの担当の方に読んでもらい、実際にプロダクト化する時に気になるポイントを指摘してもらいます。

Amazonではこのプレスリリースを作成するだけで長い場合は実に数ヶ月をかけ、企画に磨きをかけていくという過程を踏みます。全社的にこのレビューは認知されており、誰でも協力してもらえる、という点も重要なポイントでした。
そのほかの質問では、このプレスリリースの話にとどまらず、ビジネスの進め方や、Amazonカルチャーの運用方法の話も出て盛り上がりました。

PdMとして「どの顧客の何の課題を解決するか?」を考える方法論は色々あり、例として、3C分析 / 4C分析、Lean Canvas、Value Propositionなどが上げられるかと思います。
今回のAmazon流プレスリリースは、1つの方法論であり、必ずしもこれにこだわる必要は無いとは思いますが、手法の手数を増やす、ということは発想の広さにも繋がります。また、様々な立場の方のレビューを通して企画を精緻にしていく過程が大事である、ということをPdMの方々に学んでいただけると良いな、ということを意図して企画しました。
また、前職では私はレビューをする立場でしたが、自分自身もAmazonにいたころよりも、PRを書くことの意義の解像度があがりました。実際に書いてみると企画が甘いとすぐに行き詰まってしまうので、まずはプレスリリースの文書を成立させ、一旦ドラフトを完成させるだけでも大体のビジネスボリューム、 課題を抱えている顧客像、顧客数がクリアになっていく実感がありました。そして、「本当にそれは課題なのか?」ということを改めて見直すきっかけにもなりました。

座談会は、第5回も企画中です。今まではtoC向けのプロダクトが主だったので、次回はtoB 向けプロダクトを扱っている会社の方に来ていただこうかと画策しています。

セーフィーのチャレンジングな環境に興味を持っていただいた方へ

弊社ビジネスにおいては、プロダクトとしての切り口が以下のように様々で、それが複雑さにもつながっています。

  • メーカーとして

  • ソフトウェア SaaSとして

  • プラットフォーマーとして

これはPdMとしての型が見つけづらい、ということにもつながっていると感じているのですが、こういった他社との座談会を通して、様々な観点を身に付け、実践に活かせる機会を提供したいと思っています。まだまだ仕組みも教育も力不足で行き届いて無いところがあると感じているので、座談会に限らず様々な取り組みを今後も実施していきます。

上記で述べたように、弊社ではプロダクトとしての複雑性からPdMとして求められることも多岐に渡りますが、その分様々なフィールドのプロダクトマネジメントに挑戦することが出来る環境があります。今までとは違ったプロダクトマネジメント領域に挑戦してみたい、様々なバックグラウンドを持ったPdMと一緒に働きたい方はもちろんのこと、まずはどういったことをしているのか興味がある、でも構いません。また、PdMに限らず、エンジニア、他職種でもセーフィーのビジネスに興味がある、などなど、お気軽にお声かけいただければと思います。
更に、このような座談会の講師となってくださる方、お互いに意見交換してくださる会社の方も大歓迎です!

最後になりましたが、講師の山下さん、座談会を仕切ってくれた高橋駿さん、また積極的に意見交換していただいた参加者の皆さん、本記事のレビューやタイトル画像作成を実施していただいた皆さん、ご協力ありがとうございました。この場を借りて御礼申し上げます。


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