見出し画像

おうちで楽しい!「音韻意識」の育て方

「発音をもっとはっきりしたいです」
「エレベーターがエベレーターになっちゃうんです」

このような相談を受けたとき、言語聴覚士としては”構音”の問題か?”音韻意識の発達”の問題か?を考えます。

例えば、「さかな」が「たかな」「ちゃかな」など、お口や舌の使い方が未熟な場合は”構音”の問題。

「エベレーター」やテレビが「テベリ」など、音が入れ替わっていたり、あいまいになっている場合は”音韻意識”の問題など。

(でも、一番最初に確認するのは”聴力”です。がそれについては別記事で。)

今日は、後者の「音韻意識」について書いていきたいと思います!


音韻意識とは?

音韻意識とは、「ことばの音の側面に着目する力」のことです。

例えば、来年の干支「うし」でいうと・・・

音韻意識とは ロゴあり

「うし」ということばが「う」と「し」の2単位(2文字)でできているということがわかる力です。

ちなみに音声記号で書くと/uɕi/となります。

「ɕ」は見慣れない記号かもしれませんが、日本語で「し」と発音するときの音声記号です。

どのように発達していくの?

大事なことは、音韻意識の発達は、「意味の理解が土台にある」ということです。

音韻意識の発達

教科書的には、4~5歳で音韻意識が発達してくるといわれていますが、発達障害や難聴のお子さん(の中でも補聴器装用or人工内耳装用か)では個人差が大きいです。

音に着目するには、

・聴力(耳の聞こえ)
・耳で聞いて覚える力
・人の話すことばに関心を持つ力
・覚えたものを頭の中で操作する力 など

様々な力が関わってくるので、実際の臨床場面ではそのお子さんの全体的な発達状況に応じて対応していくことになります。


音韻意識はなぜ必要か?

日本語は、ひらがな、カタカナ、漢字を使います。

特にひらがな、カタカナには、1文字1音と決まっていますが、それぞれには「意味」を持たないため、音に着目できるかどうかは、文字の読み書きに大きく影響してきます。

また、よくあるケースですが、例えば、「さかな」が「たかな」になってしまうお子さんの発音の訓練をする場合、「さ」と「た」の音の違いがわかっていれば、「さ」を言えるように練習をすればよいです。

しかし、「さかな」が「さ」「か」「な」の3単位に分解できない場合「さかなの”さ”の練習をしましょう!」と言っても、子どもからしてみれば「????」です・・・。

このような場合は、「さ」の練習をする以前に、音韻意識の発達を促していくことが優先されます。


音韻意識を育てる遊び

★「〇」から始まる言葉探し

・「あ」から始まることばをたくさん言ってみよう!
→言った言葉を書きだして一緒に確認したり、言えたことばの数で勝負!

・「あ」から始まることばの絵カードはどれかな?
→はじめは1枚だけ見せて「あいす」は「あ」がつくかな?など〇×ゲームでも良いかもしれません。
 大人が間違えてみせると子どもたちは喜びます(笑)※不安感の強いお子さんの場合は慎重に。

★しりとり

これは説明はいりませんね(笑)

公文のしりとりパズルは、手先の微細運動にも使えてお気に入りです。

★文字数すごろく

なるべくシンプルなすごろくのボードを用意して、めくった絵カードの言葉の文字の数だけ進めるゲーム。
はじめは、清音(濁点やちいさいやゆよなどがない文字)を中心に、2~4文字程度で始めると簡単で楽しめます。(「いぬ」「つくえ」など)
レベルアップで「しんかんせん」「サッカーボール」「しょうぼうしゃ」などを取り入れると、理解度UPにつながります。

★たぬきことば

「たぬき」の「た」を抜くと・・・? 音を抜いていきます。
お子さんの名前や、キャラクター名など喜ばれやすいです(笑)

★逆から言うとなーんだ

「ねこ」を反対にすると・・・? 「こね」
「つめき」を反対にすると・・・? 「きめつ!!」 
レベルアップでは4文字以上で取り組んでいきます。

★グリコのおまけ

こちらも説明はいりませんね。まさに音韻意識遊び。
じゃんけんのルール理解や、勝ち負け、身体を動かしながら遊べるのでお勧めです。
唯一の欠点は、大人が勝ち負けのコントロールが難しいことですね。偶然勝ち続けちゃった時は…(汗)

ほかにも、カルタ遊びや、歌詞に合わせて踊ったり歌ったり。一番大事なことは、お子さんが楽しめるかどうかです。

注意点!

音を聞く力が気になったときはまず「聴力」に問題がないか確認してください!(お近くの耳鼻科へ・・・)


聞こえに問題がなければ、次のステップです。

私たち人は、ことばを覚えるとき、まずは「音のまとまり」×「意味」で理解しています。

意味理解の段階にいるお子さんに「う!」「し!」と2単位に分けて話かけることはかえって逆効果になることもあるので要注意です。

よく子どもに”ありがとう”を言わせようとして「ほら、なんていうんだけ?あ・・・?」と声をかけているセラピストを見かけますが・・・。

確かに、”ありがとう”を言い出すきっかけにはなるかもしれませんが、それをするより「ありがとう😊」のまとまりで聞かせてあげたり、言いやすい場面を作ってあげるほうが良いかもしれませんね。


今日は「音韻意識」について書いていきました。お正月に向けてカルタやすごろくを手作りするのも盛り上がるかも・・・?!

最後までお読みいただきありがとうございました♪


サポートありがとうございます♪ お子さん・ご家族の支援のための教材・書籍などに使わせていただきます!