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【ことば×文脈】コミュニケーション上手は文脈を示す

みなさんは「今日、食事は?」と問われたとき、なんと答えますか?


今日は、「ことばは文脈で生きる」ということについて書いていきたいと思います。


「今日、食事は?」は何の質問なのか

先日、病院受診で採血のために検査室に入った時のこと。

「今日、食事は?」と問われて戸惑った。

(今ちょうどお昼12時過ぎ。今すごいお腹空きすぎてお腹鳴りそうだな~って考えていたのがバレた?!あれ、どうして今食事について聞かれているんだろう?血糖値のこと?朝ごはんは食べたけど、珍しくお米じゃなくてパン食べたんだよな~。で、なんて答えたらいいんだ?)

と、一瞬で考えてしどろもどろにになりながら「朝ごはんですか?」と質問返ししてしまった・・・。

文脈にとって答えが変わる


この「今日、食事は?」の質問の意図は何だったのでしょう?

結論から言うと、

「今日(の朝ごはん)、食事は(何時頃にとりましたか)?」が正解でした(笑)難しい・・・。

この時、以下のような文脈でした。

①場所は病院
②自分は患者で、相手は検査技師さん
③今、お昼12時で、これから採血をする

そのため、私は、採血にかかわる文脈で質問されていることを理解して、受け答えることが求められていた、というわけです。

(でもこのケースは少しことば足らずかな…)



では、違う場面で考えてみましょう。

①ここは自宅
②自分は親で、相手は大学生の息子
③今、朝8時で、息子はこれから大学に向かおうとバタバタしている

その文脈で「今日、食事は?」という言葉は、何を意味するでしょう?

きっと、「今日の夕飯いるの?」とか、「今日、朝ごはん食べてないけどご飯は食べなくていいの?」とか、「(いつもお弁当を持っていくのに)持っていかないの?」とか、色々なパターンがあると思います。



このように私たちの会話では、

文脈や、その人との関係性、文化的背景などを考慮して、その言葉の意味を解釈しています。


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文脈によってことばの持つ意味が変わる

子どもがことばを覚える時も、自然とその文脈と結びつけて様々なことばの使い方を吸収しているんです。

同じことばでも、背景によってことばの意味は変わってきます。

言語学や発達について学ぶ場では「語用論」と呼びますが、ことば本来の持つ定義的な意味ではなく、文脈を共有できている前提で、ことばの意味を理解していく。


友人との会話で「明日は晴れるといいな〜!」と言われたら?

その人は、晴れてほしいという願望や希望を呟いたのではなく、「明日何かあるの?」と聞かれたいかもしれません。

もしかしたら「明日晴れるといいな」のことばの意味は、(明日はデートなの!)とか(明日はどこ行こうかな!)とか。あるいは梅雨の時期なら(今日も雨だけど、明日こそ、晴れてほしいな!)かもしれません。


コミュニケーション上手は文脈を示す

自閉症や難聴のお子さんの中には、ことばの「文脈」を捉えるのが苦手な子がいます。

支援の場では、シンプルに視覚的に示したり、分かりやすい言葉を使って、理解度を確認しながら話を進めたりします。


これは、夫婦関係でも同じ。

「あれ、やっといて!」で通じることもあるかもしれませんが(笑)何を、どのように、どの程度やって、完了した状態がどのような状態なのか、をすり合わせて伝え合うことは結構大事です。

曖昧さを減らすのは心地よいコミュニケーションの基本かもしれません。



今日はことばの文脈の関係について書いてきました。

みなさんも日常のなかで「文脈」を意識しながらことばを使ってみてください♪



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