2001年9月11日 ー 同時多発テロ
2001年の9月11日に、アメリカで同時多発テロが起こった。
テロが起こったとのニュースは、夜の短いニュースでチラッと見たのが最初だった。
毎日の通勤に疲れてしまう私は、夜寝るのも早かったので、そのニュースを見てすぐに寝てしまった。
映像がまるで映画のようだったので、本当に起こったことなのだとイマイチ理解していなかったので、「大変な事故だ」とは思ったが、まさか自分もその影響を受けるとは思っていなかった。
翌朝テレビをつけると、どのチャンネルも報道番組が放送されていて、昨日の夜見た映像が映っている。
それを見て大変な事が起こったのだと実感した。
この映像は作り物ではなく、本当に起こったことで、そのことの大きさにようやく気がついた。
朝の支度をしながらニュースを見ていると、私の通勤する米軍基地のメインゲートが画面に映った。
「え、どうしたんだろう?」と思っていたら、ゲートを閉鎖しているという。
テロリストが米軍基地を攻撃する可能性がある事を警戒して、米軍も厳戒態勢をとったのだ。
今日は通勤できるのか?と思っていたら、職場の人から電話があり、今日は自宅待機になったとのこと。
この先もどうなるかわからないので、次の連絡があるまでは自宅待機となった。
結局、数日は自宅待機を命じられたが、その後出勤となった。
しかしながら米軍の厳戒態勢は続行されており、ゲートでのセキュリティチェックは厳しくなり、日本人従業員の車両乗り入れはしばらく禁止されてしまった。
歩行も大分危なくなってきた私が車通勤できないのはピンチだった。
遠いアメリカ東部で起こった事件に私も影響を受けるとは思っていなかったが、世界で起こることは他人事ではないことを学んだ。
自宅待機解除の翌日は、アメリカ人の上司がゲート付近から乗せてくれたので助かったが、セキュリティチェックの強化によって、ゲートを通過するまでにものすごい時間がかかった。
朝もいつもより大分早く家を出なければいけないし、毎日上司に頼むのも気が引けるし、こうなったら杖をついて歩いて行くしかないなと思った。
先輩にも相談すると、一緒に歩いてくれることになった。
片手を先輩の腕につかまらせてもらい、もう片方の手で杖をつく方法で歩いた。杖を使うというのが、今思うと私にとって最初のハードルだったかもしれない。
杖なんて年寄りみたいで恥ずかしいと思ったし、杖をつく私を周りがどんな目で見るのかが気になった。
本当はとっくに使った方が良い状態だったと思うが、なかなか使えずにいたのだ。
でも911によって車通勤ができなくなってしまった今はもう使うしかない!
ということで、短い間ではあったが、杖と先輩にサポートしてもらって無事に通勤を継続することができた。
途中は疲れて息が上がってしまい、休み休み歩いていたので、時間も普通の人が歩く倍以上はかかったと思う。
それに付き合ってくれた当時の先輩には本当に感謝している。
そして杖をつく自分を周囲に見せることができたことで、私の中の変な執着からも解放され、少し気持ちが楽になった。
私はもう健常者としては生きていけない。
でも私は私のままだ。
私は私のスタイルで生きていけば良いのだと感じた。
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