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Web編集者の読書癖

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本がないと生きていけない。
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2021年7月の記事一覧

私の夏と、夏の読書感想文

#夏の読書感想文 というハッシュタグを見て、反射的にモヤっとしてしまった。 なぜなら、コロナがなければ私は夏に読書をしていないはずだからだ。なんてったって、ここは沖縄。夏めいた気候はだいたい5月ごろから訪れて、毎年やれビーチパーティだの、離島巡りだの、ビアフェスだの、花火大会だの、仕事終わりのオリオンビールだのって、とにかく楽しいことが盛りだくさんな地なのだから。 この夏、ひたすら読書をすることにした。だけれどこの夏、私はひたすらに読書をしている。速読術などは持ち合わせて

雑誌POPEYEに学ぶ、企画・文章のつくりかた

私は沖縄住まいのローカルガールでありながら、シティボーイ御用達の雑誌POPEYEを定期購読している。 シティボーイに憧れているわけではない。むしろ興味がない。なのに圧倒的に企画と文章が面白くて、あまりにも毎回”つい”買ってしまうので、もう観念して定期購読することにしたのだ。 ターゲット層から著しく外れるはずの自分がこんなに惹かれるなんて...と思いつつ、ひとつ疑問に思うことがあった。そもそもPOPEYEでは戦略的な企画をあまり見ないことだ。「確実に当てに行くネタ」よりも「

いい文章を書くために文章術の本を後回しにする私のおすすめ10冊

何度かブログでも書いたけれど、私は文教術の本をほとんど読まない。 正確に言うとライター1年目くらいから読まなくなった。 読まなくなったのは自分の文章に自信が持てるようになったから...というわけではなく、むしろ逆で、どうしてもうまくなりたいから読まなくなったというのが正しい。 文章術の本がためにならないと思っているわけではない。単純に、もっと読むべき本があると思っているのだ。 というのも、いつからか私は「読みやすい文章だね」と言われることが誉め言葉ではなくなった。読み

行き先に迷うすべての人に。現在進行系の人生を描く「ぼくにはこれしかなかった。」を読んで

誰かの人生の「転機」に興味がある。 転機の何がおもしろいって、転機って人生において結構重要なシーンなのに、そのほとんどが「今」その時に転機だと思えてはなくて、むしろ本人にとってはどん底あたりだったりすることが、往々にしてあるということ。 「全裸監督」で黒木香も言ってた。『サインはきっと絶望の近くにある』と。 今日はそんな「転機」についてを実直に、ときに苦しみながら綴られた本『ぼくにはこれしかなかった。』について書きたい。 実は自伝が苦手だった転機に興味があると言いつつ

脚本家・坂元裕二に学ぶ「書く」姿勢

もうね、大好き。ほんとに大好き。脚本家・坂元裕二さんの作品が。 カルテットで大ファンになってからの、今回の大豆田とわ子と三人の元夫でもう坂元愛が爆発してしまって。ここ1ヶ月くらい、緊急事態宣言で多くの取材が延期になったのをいいことに、坂元裕二脚本ドラマを見まくったのでした。 で、ビンジウォッチングだけでは飽き足らず、ついに坂元裕二の集大成感がプンプン漂う本「脚本家 坂元裕二」を購入。 これ実は2018年に初刷が発行されてて、その当時買おうかどうしようか相当迷った一冊だっ