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【一橋大学2005年度前期入試数学第1問】絞り込みと列挙

今回は一橋大学から2005年度に出題された整数問題を取り上げたいと思います。

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一橋大学 兼松講堂
2008年9月20日、Wiiii撮影、Wikipediaより

この問題は以下のサムネイルだけで解き始め、解き終わってから動画を拝見しました。(youtubeでは必ずそうしています。)

結果的に解を絞り込むという意味で方針は一緒でしたが、正直 youtube の方が解法がスマートだと思いますので、ぜひご覧になっていただけたらと思います。

ここでは私が初見で何を考えていたかが参考になればと思います。

[問題] k は整数であり,3次方程式 x^3 - 13x + k = 0 は3つの異なる整数解を持つ.k とこれらの整数解をすべて求めよ.

この問題を見たときにまず考えたことは、「3次方程式が3つの実数解を持つとき、解の範囲は限定される」という事実です。

これは3次関数をグラフに書いてみればわかるかと思いますし、のちほど図で示そうと思います。

ですので、解の範囲が狭かった場合、候補となる整数解を全列挙して k の値を求めればいいと考えました。ちなみに、解の範囲が20くらいであれば余裕で列挙します。笑

ここまで理解したら、さっそく解答を始めたいと思います。

まず、k = -x^3 + 13x と考えて、f(x) = -x^3 + 13x のグラフを描きます。増減表も添えておきましょう。ちなみに、f'(x) = -3x^2 + 13 です。

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さて、増減表から f(x) は x = - √(13/3) のとき極小値 f(-√(13/3) ) = -(26/3)√(13/3) をとり、x = √(13/3) のとき極大値 f(√(13/3) ) = (26/3)√(13/3) を取るわけですが、これを利用して k = ± (26/3)√(13/3) のときの f(x) = k の解のもう一つを求めておきます。

k = (26/3)√(13/3) のとき、f(x) - k = - (x + 2√(13/3) )(x - √(13/3) )^2 となるので、f(x) = k は x = -2√(13/3), √(13/3) (重根) を解に持ちます。

k = -(26/3)√(13/3) のとき、f(x) - k = - (x - 2√(13/3) )(x + √(13/3) )^2 となるので、f(x) = k は x = -√(13/3) (重根), 2√(13/3) を解に持ちます。

さて、グラフからわかる通り、もし f(x) = k が3つの異なる実数解を持つとき、解 x はすべて -2√(13/3) < x < 2√(13/3) を満たす必要があります。

(注) もし x ≧ 2√(13/3) のとき、k ≦ -(26/3)√(13/3) となり、f(x) = k は高々2個の実数解しか持たない。また、x ≦ -2√(13/3) のときも同様に f(x) = k は高々2個の実数解しか持たない。

ここで、2√(13/3) = √(52/3) = √17.3... であるので 4<2√(13/3)<5 ですから、f(x) = k が3つの異なる整数解を持つとき、3つの解いずれもは -4, -3, -2, -1, 0, 1, 2, 3, 4 のいずれかになります。

ここまで来たら各解に対する k の値を求めてあげればいいだけです。

f(-4) = -(-4)^3 + 13×(-4) = 12
f(-3) = -(-3)^3 + 13×(-3) = -12
f(-2) = -(-2)^3 + 13×(-2) = -18
f(-1) = -(-1)^3 + 13×(-1) = -12
f(0) = -0^3 + 13×0 = 0
f(-x) = -f(x) より f(1) = 12, f(2) = 18, f(3) = 12, f(4) = -12

ということで、f(x) = k が異なる3つの実数解を持つのは k=12のとき x = -4, 1, 3 および k = -12 のとき -3, 1, 4 のときとなります。

youtube では k > 0 のときに 3つの解の最大値が 3 であることを求めて、そこから k = 12 と残りの解 x = -4, 1 を求めています。k < 0 のときは f(-x) = -f(x) から k = -12, x = -3, 1, 4 が求められます。

どちらにしても、この問題を見たときに解が狭い範囲にあることを見抜けるかどうかがカギとなります。それが分かれば簡単な問題です。

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