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【名古屋大学2021年度前期入試数学(理系)第3問】結局力業の確率問題

名古屋大学の理系の問題も第3問。確率の問題ですが、いろいろ考えるよりも力業で行くのが速いです。

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名古屋大学東山キャンパス
2016年4月17日、DrKssn撮影、Wikipediaより

問題

1 から 12 までの数字が下の図のように並べて書かれている。以下のルール (a), (b) と (終了条件) を用いたゲームを行う。ゲームを開始すると最初に (a) を行い,(終了条件) が満たされたならゲームを終了する。そうでなければ (終了条件) が満たされるまで (b) の操作を繰り返す。ただし,(a) と (b) における数字を選ぶ捜査はすべて独立な試行とする。

(a) 1 から 12 までの数字のどれか 1 つを等しい確率で選び,下の図に置いて選んだ数字を丸で囲み,その上に石を置く。
(b) 石が置かれた位置の水平右側または垂直下側の位置にある数字のどれか 1 つを等しい確率で選び,その数字を丸で囲み,そこに石を移しておく。例えば,石が 6 の位置に置かれているときは,その水平右側または垂直下側にある数字 7, 8, 9, 10, 12 のどれか 1 つの数字を等しい確率で選び,その数字を丸で囲み,そこに石を移しておく。
(終了条件) 5, 9, 11, 12 の数字のどれか 1 つが丸で囲まれ石が置かれている。

ゲームの終了時に数字 j が丸で囲まれている確率を pj とする。以下の問に答えよ。

(1) 確率 p2 を求めよ。

(2) 確率 p5 と p11 を求めよ。

(3) 確率 p5, p9, p11, p12 のうち最も大きいものの値を求めよ。

解答解説

本番では、この問題を読み始めてから、p1 ~ p12 を全部求めることを覚悟するまでにどれくらいの時間がかかったかが勝負だったと思います。

ちなみに私は読み終えた瞬間に全部求めることを決めました。それ以外に手がないと。

実際には p8 を求める必要はないのですが、そういう戦略のために思考時間を使うくらいならば、何も考えずに全部求めた方が速いです。

ということで、小問に入る前に p1 ~ p12 まで求めます。

i を 1 ≦ i ≦ 12 を満たす整数とし、i の水平左側もしくは垂直上側にある数字からなる集合を P(i) とおき、水平右側もしくは垂直下側にある数字の個数を n(i) とおきます。

i に石が置かれる可能性は次のいずれかになります。
・(a) で i が選ばれる;
・j ∈ P(i) に石が置かれ、j から確率 1/n(j) で数字 i が選ばれる。

これらが排反事象になっていることが重要で、したがって

pi = (1/12) + Σ_{j ∈ P(i)} (pj) × (1/n(j))

によって pi が求められます。原理が分かれば、あとはひたすら計算するだけです。
・p1 = 1/12
・p2 = (1/12) + (p1)/7 = (1/12) × (8/7) = 2/21
・p3 = (1/12) + (p1)/7 + (p2)/5 = (2/21) × (6/5) = 4/35
・p4 = (1/12) + (p1)/7 + (p2)/5 + (p3)/3 = (4/35) × (4/3) = 16/105
・p5 = (1/12) + (p1)/7 + (p2)/5 + (p3)/3 + (p4)/2 = (16/105) × (3/2) = 8/35
・p6 = (1/12) + (p1)/7 = 2/21 (=p2)
・p7 = (1/12) + (p2)/5 + (p6)/5 = (1/12) + (2/21) × (2/5) = (35 + 16)/420 = 51/420 = 17/105
・p8 = (1/12) + (p3)/3 + (p6)/5 + (p7)/3 = (1/12) + (4/105) + (2/105) + (17/420) = (35 + 24 + 17)/420 = 76/420 = 19/105
・p9 = (1/12) + (p4)/2 + (p6)/5 + (p7)/3 + (p8) = (1/12) + (8/105) + (2/105) + (17/420) + (19/105) = (35 + 116 + 17)/420 = 168/420 = 2/5
・p10 = (1/12) + (p1)/7 + (p6)/5 = (2/21) × (6/5) = 4/35
・p11 = (1/12) + (p2)/5 + (p7)/3 + (p10)/2 = (1/12) + (2/105) + (17/420) + (2/35) = (35 + 8 + 17 + 24)/420 = 84/420 = 1/5
・p12 = (1/12) + (p1)/7 + (p6)/5 + (p10)/2 = (1/12) + (1/84) + (2/105) + (2/35) = (35 + 5 + 8 + 24)/420 = 72/420 = 6/35

ということで、次の通りとなります。

(1) p2 = 2/21 (2) p5 = 8/35 と p11 = 1/5 (3) 最も大きいものの値は p9 = 2/5

感想

この問題は途中に書いた式が出てくるかどうかがすべてで、式が出てきたらあとは必要な確率を求めるだけです。しかし、実際にはすべての確率を求める状況になります。

強いて言えば、p5 + p9 + p11 + p12 = 1 なので、(p9 の計算にのみ必要な) p8 だけは計算しなくても問題を解くことはできますが、それでどれほど簡単になるかを考えると、最初からすべての確率を求めた方が話は早いです。

一応確認しておくと、p5 + p9 + p11 + p12 = (8/35) + (2/5) + (1/5) + (6/35) = (14/35) + (3/5) = (2/5) + (3/5) = 1 で、確かに p5 + p9 + p11 + p12 = 1 となります。

計算間違いがあるかどうかを確認するためにも、この計算はしておいて損はないと思います。

難しさのかけらもない、つまらない問題ですが、計算間違いをしそうで怖い。(実は、計算ミスが多いので嫌いなんですよね、こういう問題。笑)

難しさのかけらもないといいつつ、実際には pi の計算式が出てこない受験生も多そうで、そうなるとこの問題は (1) を除いて白紙になりそうです。

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