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【東京工業大学2020年度前期入試数学第4問】何の変哲もない回転体の問題

次の問題は回転体の問題です。誘導問題のことでまた小言が出そうです。笑

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東京工業大学 本館
2011年5月19日、03撮影、Wikipediaより

[問題] n を正の奇数とする。曲線 y = sin x  ((n-1)π ≦ x ≦ nπ) と x 軸で囲まれた部分を Dn とする。直線 x + y = 0 を l とおき,l の周りに Dn を1回転してできる回転体を Vn とする。
(1) (n-1)π ≦ x ≦ nπ に対して,点 (x, sin x) を P とおく。また P から l に下ろした垂線と x 軸の交点を Q とする。線分 PQ を l の周りに1回転させてできる図形の面積を x の式で表せ。
(2) (1) の結果を用いて,回転体 Vn の体積を n の式で表せ。

この問題、(1) があったところで害はないと言えばないのでしょうけど、必要かと言われれば全く必要がないと言わざるを得ません

ここは大人の扱いで小問なしに「このとき,回転体 Vn の体積を n の式で表せ。」でよかったのではないでしょうか。あくまで印象の問題ですが。

もちろん、解答すると自然に (1) を行うことになりますので、易しくなるわけでも難しくなるわけでもないのですが。

まず、点 P を通り l に垂直な直線の方程式を求めておくと、Y = X - x + sin x となります。ですので、Q の座標は Y = 0 を代入して Q (x - sin x, 0) が得られ、l との交点R は Y = - X を代入することで、R ((x - sin x)/2, (-x + sin x)/2) が得られます。

ちなみに、x - sin x は単調増加であることを確認しておきましょう。実際、(x - sin x)' = 1 + cos x ≧ 0ですので、x が増えると点 Q および R は原点から遠ざかります。

ということで、直線 PR と y = sin x の交点は P のみであることは重要です。

(注) もし l の傾きが -1 より小さい場合、異なる P に対して R が同一になることがあるので、この確認は大変重要です。なければ大幅な減点となるでしょう。

以上のことから、PR^2 = (x + sin x)^2/2 かつ QR^2 = (x - sin x)^2/2 であるので、求める面積は π × (PR^2 - QR^2) = π × (2x) × (2 sin x) / 2 = 2π x sin x となります。

(2) は OR の長さを t をおくと、t = (x - sin x)/√2 となります。ここで、先ほど確認したことから t は x の増加関数であることに注意してください。

x = (n-1)π のときの t の値を t1, x = nπ のときの t の値を t2 とおくと(具体的には t1 = (n-1)π/√2 と t2 = nπ/√2 になります)、求める体積Wn は

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となります。dt/dx = (1 - cos x)/√2 であるので、

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が導かれ、求める体積は √2 (8n - 3)π^2/ 4 となります。

この問題は (2) の答えまで一本道で特に難しくはないですが、丁寧な議論をする必要があると思います。さもなければ減点される可能性が高いでしょう。

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