夢をかなえるスマートフォン⑦1時限目の3〜仕事に対する考え方

「ま、それが一般論だよね。それは普通の人の答えだ。
でも、どうだろう?その仕事が好きではなくお金のためにやっている人と、その仕事が好きでやっている人とでは、どちらが良い仕事をするだろう?
例えば、薬屋に行ったとして、店員が本当はDJになりたいんだけど、仕方なく薬屋の店員やってるって言う人と薬が好きで、薬屋の店員やってる人とでは、どちらから買いたいと思うだろう。」
「やっぱり、好きなことをやってる人の方が、いろんなこと知ってそうだし、信用もできそうですよね。」
「私もそう思う。でもね、もっと上があるんだよ。」
華苗は何かわからないが、わくわくするような、ドキドキするような興奮を覚えていた。
「仕事を好きな人より、仕事が得意な人こういう人がいるんだよ。そういう人は天性のようなもので、その仕事を何故か簡単にできてしまう。羨ましいことだがね。
好きというだけでは顧客のためにはならない、まだ自己満足の域だ。得意の域に入って初めてお客さんのニーズに応えられるレベルに達するんだよ。」
「好きの上は、得意なんですね。」
「そういうこと。でも」
「でも?」
「でも、仕事が得意な人も、仕事を楽しんでいる人にはかなわない。楽しんでるというのは仕事をしている、という感覚ではないほどだ。無意識の領域だね。ここまでになると、仕事をしていても疲れないし、わくわくしてくるんだ。」
「あ、そうだ、この前タレントさんが、テレビで話すことが楽しい~って、言ってました。」
「そうなると、ギャラが云々という世界ではなくなってくるんだね。
でも、本当にすごいのが、まだあるんだよ。」
「え、まだ上があるんですか?」
「仕事を愛している人には、どんな人もかなわない。
亡くなってしまったが、アップルコンピュータの創設者のスティーブ・ジョブズが、アップルコンピュータを解任されたとき、めげずにNextコンピュータという新しい会社を創ったのも、彼がコンピュータを愛していたからだ。
だから解任という辛い仕打ちにも耐えられたんだよ。そして、その時のNextコンピュータのOSがiOSとしてアイフォーンで活かされているんだ。愛の力は本当にすごいものだね。その仕事を愛してるということは、究極のことなんだよ。
早い時期に天職に巡り会えればいい。そうでなくても、一生かけて自分の愛する仕事をみつけるということが大切だと思う。」
話が壮大になってきて、ついていくのが大変になってきた。
「お金のため→仕事が好き→仕事が得意→仕事を楽しんでいる→仕事を愛している、ということですね。
なんだか私にはまだピンと来ませんが、あ、すみません。」
「いいんだ、頭と心の片隅にちょこっとでも覚えておいてくれれば。いつか分かるときがくると思うよ。
ずいぶん脱線してしまったが、宿題はわかってるね?」

なんだか華苗の意思が無視されて話が進んでいるみたいだ。いつやるって言ったんだっけ?
「来週もこの時間でいいね?
わからないこともいっぱい貯めておいてくれていいよ。
じゃ、がんばって!!」
与志宮はスマートウォッチで時間を確認すると、さっさとパソコンをバッグにしまい、立ち上がった。
華苗は何も言えないまま、取り残された気分で、会釈するしかなかった。
顔が引きつっていたのを与志宮は気が付いただろうか。

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