ポメラで取材し、豆思考する
私が使っているポメラの機種は、本格的な日本語キーボードを搭載しているDM200、DM250です。
持っているだけでワクワクするのは事実ですが、実際にどこで使うのか、となると、案外、困ってしまいます。
ポメラの画面サイズは7インチと小さいので、「長い思考に向いていない」と感じるのです。
Writing is thinking.
文章を書くとき、ちょうど図工の時間のように、考えているものごとを、スケッチしたり、削り出したりするような感覚になります。
どこまで対象の形を捉えたのか、どこまで削り出せたのかを確認するために、前後の思考を視覚化したいわけです。
ところが、画面サイズが小さいと、思考の範囲もその範囲に限られてしまい、肝心の前後が確認しにくいと感じます。
「画面サイズの小さな思考」では、奥行きが出ないと気づきました。
ポメラは「天才」の使うもの?
全て脳内で長い思考を組み立てられる方なら、ポメラで記事を書き切れるのかもしれません。
しかし、そんな人は、ちょうど、スケッチせずとも、頭に完成形の絵画が浮かんでいて、それをキャンパスに落とし込めばいいだけの人でしょう。
私は、そんな人を「天才」と呼ぶだろうと思います。
モーツァルトは、曲の全貌が頭に思い浮かび、あとは譜面に落とし込むだけだったと聞きます。
まぎれもない「天才」でしょう。
また、ドストエフスキーは、原稿を口述筆記で仕上げたと聞きます。
頭の中に文章の構造が始めからできあがっていて、それを口述すれば完璧に近い文章ができる、なんて芸当は、天才の仕事ではないかと感じてしまうわけで、私には、とてもできません。
※口述筆記は、現代の「音声入力」に当たるわけですが、これについては、また機会を改めて書きたいと思います。
また、原稿化する時には、結局、ネットで事実関係に間違いがないかなど、調べながら書きます。
私の場合、調べた事実に影響を受け、文章が変化していくこともザラです。
ネット環境に接続できないため、思考のメイン機としてのポメラは、ポジションの微妙さを感じてしまうわけです。
「豆思考マシン」ポメラ
ポメラで「思考」することにこだわるのであれば、全文が、7インチ画面に収まるように書く、という方法もあるかもしれません。
一画面に何文字入るのか。
先達の挑戦によると、縦書きで1000文字、横書き2分割で1200文字まで書けるようです。
ということは、1000文字までの豆思考であれば、ポメラの一画面内で書けることになります。
この1000文字の豆思考を、日頃から書き付けておくのはどうでしょうか。
現在の私は、職場でも自宅でも、基本的に机に向かっています。
ポメラのキーボードが、いかによくできている、といえど、日頃使っているロジクールMXシリーズのキーピッチや、心地よいタイプ感には及びません。
大画面のモニターが設置され、一覧性にも優れています。
ポメラを使わず、すぐに目の前の画面でWorkFlowyを立ち上げて書けば済む話です。
したがって、日頃、ものを考えるために文章を書くときには、どうしても、ポメラの出番が少なくなります。
しかし、どうしても書く内容が思いつかないとき、外出して、日頃と違った環境で書くことで、違うアイディアが湧いてくることがあります。
この、違う場所での思いつきを捉えるのに、ポメラは使えるガジェットなのです。
ポメラは、ネットにつながりません。
だからこそ、ネットに左右されない、自分の感情や思いを、拾いやすいガジェットだと感じます。
自分と向き合うためのノートに近い感覚です。
取材に使うポメラ
また、ポメラの使い道として多いのが、「電話取材やセミナーのメモ取り」です。
私は、鉛筆で紙に書き付けるのが遅いため、どうしても書くのが追いつかず、十分なメモに残せないことが出てきます。
また、せっかくメモを取っても、あとから見直すと、何が書いてあるか分からなかったり、面倒になって記録が生かせなかったり、ということもしばしばでした。
ポメラでメモをとれば、原稿化する際にも、あらかじめテキストデータになっているので、使い勝手がよいと感じます。
電話しやすい小部屋にポメラを持ち込み、Bluetoothイヤホンでスマホにつなぎ、聞いたことを、ポメラにひたすら打ち込んでいきます。
「音声データをnottaなどで文字起こしすれば十分なのでは?」と思われるかもしれませんが、専門用語が多かったりすると、音声データの品質によっては、文字起こしの質が左右され、修正が必要になります。
手直しの手間を考えると、ポメラに打ち込んでおいた方が、便利なことが多いのです。
また、録音禁止のセミナーでも、ガシガシメモが取れるのは便利です。
長時間のセミナーなどでも、パソコンと違って、電源不足を心配することもありませんし、メモした内容を、スピーディーに原稿化できます。
現時点では、「豆思考」と「取材」のガジェットとして使うのが、ポメラの最適解ではないか、と感じています。
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