西広海

腐葉土を蓄え、耕し、育てる。

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最近の記事

ポメラで取材し、豆思考する

私が使っているポメラの機種は、本格的な日本語キーボードを搭載しているDM200、DM250です。 持っているだけでワクワクするのは事実ですが、実際にどこで使うのか、となると、案外、困ってしまいます。 ポメラの画面サイズは7インチと小さいので、「長い思考に向いていない」と感じるのです。 Writing is thinking.  文章を書くとき、ちょうど図工の時間のように、考えているものごとを、スケッチしたり、削り出したりするような感覚になります。 どこまで対象の形を

    • 【読書感想文】シェイクスピアと『リア王』|道化ばかりの人生舞台

      世界を代表する劇作家といえば、シェイクスピアでしょう。 脚本執筆の目的を彼は、有名な『ハムレット』で、このようにハムレットに言わせています。 いつの時代にも通じる赤裸々な人間の姿を、演劇を通して提示しようとしたのが、うかがえます。 シェイクスピアのかざした鏡には、どんな人間の姿が映し出されているのでしょうか。 権力者の悲劇を描いた『リア王』から、探ってみたいと思います。 あらすじを紹介しますので、ご注意ください。 『リア王』のあらすじブリテン王・リアには、3人の娘

      • 【読書感想文】『カラマーゾフの兄弟』スメルジャコフは救われるのか

        ドストエフスキーの長編小説『カラマーゾフの兄弟』を読みました。 中でも陰の主人公だと思うのが、スメルジャコフです。彼の姿は、とても現代的な絶望を映していると思います。そこで、スメルジャコフの視点から、本作を読み解いてみたいと思います。 『カラマーゾフの兄弟』の登場人物、スメルジャコフは、カラマーゾフ家の屋敷に仕える料理人です。 敷地内に建つ召使い用の離れに、育ての親・グリゴーリー夫妻と一緒に住んでいます。 24,5歳の、「恐ろしく人付き合いの悪い無口な男」でした。

        • 金子みすゞの詩「薔薇の根」が好き。

          きれいに薔薇の花を咲かせた知人から、先日、写真が届きました。 家の庭中に薔薇を植え、丹精に育てている方です。 薔薇を見ると、いつも、金子みすゞの詩を思い出します。 金子みすゞは、「大漁」の詩などが有名ですが、私が好きなのは、「薔薇の根」です。 以前、薔薇を育てたことがあります。 結構大変で、カビがつかないように、頻繁に薬をまいた覚えがあります。 苦労した分、初めて咲いた時には、その美しさや香りに心が満たされました。 そんな薔薇のように、私たちが人生で初めて経験す

        ポメラで取材し、豆思考する

          ご飯と、海苔と、鰹節。

          私は海苔弁が好きだ。近所のスーパーで夕食に海苔弁を買ったあと、妻がどうしても寄りたい場所がある、と言う。 スーパーの向かいに開店したばかりの、ドラッグストアである。ポイント5倍の最終日で、見逃せない、今日、行かないと、一生、後悔する、と言う。そんなこと、いいじゃん、と思いながらも、仕方なく、ポケットに手を突っ込み、彼女の後を付いて店に入った。 おー。確かに、安い。ドラッグストアとは言いながら、弁当、惣菜類や生鮮食品も扱っている。バナナが他店の4割引、キュウリが5割引、キャ

          ご飯と、海苔と、鰹節。

          近藤康太郎さんの1日ライター講座

          近藤康太郎さんのライター講座に1日、参加した私は、終了後、部屋をそっと出た。質疑応答が終わり、まだほとんどの人が会場に残るタイミングで。 黙って、東京駅に向かう。山手線の座席にちょこんと座り、ボーッと車内映像を眺める。待合室に着くと、何度も自動販売機でペットボトル飲料を買い、飲み干した。 スパーリングで、デビューしたてのボクサーが、チャンピオンからボディーブローの洗礼を受けたような気分だ。 早朝に起床した時も、富山駅で北陸新幹線に乗った時も、会場に到着した時も、ワクワク

          近藤康太郎さんの1日ライター講座