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居酒屋繁盛異聞 旅が好き〜列車居酒屋〜 P67
5.ロベルト・シュンク ヤーパン紀行⑧
ふと隣のジャンを見ると彼も貼り付けた様な笑顔で固まっていた。
…同志だ!
彼もやはりタコは食べ物ではないと思っているのだろう。
だが、彼の口から聞こえたのは…
「キ…キツネ?」
と、いう言葉だった。
どういう事だろう?
彼の目線はさっきまで接客をしていた女性店員さんだ。
他にもいる女性店員さん達は色とりどりの浴衣を着ていて、その浴衣には【列車居酒屋〜旅が好き〜】という文字が書かれている。
さらに帯には特急列車の絵が書いてあった。
そして…そして更に良く見ると感染予防のマスクには動物の口元のような絵が書いて有り、色もオレンジっぽい。
更に頭に動物の耳のような飾りをつけていた。
その耳はある程度の長さが有り明るいオレンジの耳だった。
つまりキツネの耳だと言われれば思わず納得するような…。
???…???……
……どういう事だろう?…???…
「食べ歩けないのが難点だね」
「感染症蔓延防止の為ですから仕方ありません」
日本人二人は店員さんの姿に違和感を持っていないのかタコ焼きを受け取って歩きだす。
「黒田さん、黒田さん」
「ん?」
「このお店は店員さんがキツネの顔なんですか?」
黒田さんは野崎課長と顔を合わせどちらからともなく「ブフッ」と吹き出した。
「違うよ。今日は夏祭り仕様だからキツネ人間(笑)になってるだけだよ。たぶんだけど」
「日本にはキツネを神様の使いとして祀ってある神社があちこちにあるんだ」
「実際の夏祭りの屋台は普通に人間が接客しているよ。この店ならではの演出なんだろうね」
辺りをよくよく見回せば浴衣で接客をしていたり盆踊りの映像の周りで踊っていたりベンチに腰掛けて何やら飲んでいるのはキツネ人間のコスプレをしている人ばかりだ。
居酒屋繁盛異聞 旅が好き〜列車居酒屋〜
5.ロベルト・シュンク ヤーパン紀行⑨ へ続く
https://note.com/yumeoka_ayako/n/n170498a1e0b8
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