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居酒屋繁盛異聞 旅が好き〜列車居酒屋〜         P68

5.ロベルト・シュンク ヤーパン紀行⑨

「あ、あそこに各駅の数量限定メニューの屋台が有りますよ」
 黒田さんがとある屋台を指差す。
「へぇ…これが噂の……」

 私はまだキツネ人間ショックから抜け出られてはいなかったがとりあえず付いて行く事にした。
 誰か…誰か説明を!
 コレが日本では普通なのか?

 この場で日本人ではないのはジャンだけだ。
 私はジャンに救いを求める事にした。
「ジャン。店員がキツネの顔になってるのをどう思う?」
 ジャンは目を瞬かせ
「うん…理解はしがたいけど…なんとなく納得はできるよ」
 そう言ってジャンは日本独特とも言える混沌とした宗教観を軽く教えてくれた。
「……つまりね…日本のお盆は西洋でいうところの『ハロウィン』なんだよ」
「ハ…ハロウィン?」
「そう…お盆には御先祖様達が霊になって戻ってくると信じられているんだ」
「なるほど…だから仮装してるのか?」
 私は納得しかけたが…
「別に仮装が必須って訳じゃない」
と、ジャンは首を左右に振る。
「ただ…お盆の祭りは宗教行事でも有る。日本にはキツネをお祀りしている神社もあるから、そこから発想されたサービスなんだと思っている。マスクも活かせるし……」
 私はただただ頷いて彼の日本の知識に感心した。
 しかし…
「漫画からのうろ覚えの知識なんだけどね」
と、ぶっちゃけられる。
 ……オイ…!
 そこまでぶっちゃけなくても良かろうに……
 あああ……
 信ぴょう性がほとんど無くなった。

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5.ロベルト・シュンク ヤーパン紀行⑩ へ続く


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