同棲をさせてもらった時代に得たもの
同棲することになって行った先は結構キレイなアパートでした。
実家の一軒家にずっと住んでいた私はアパートやマンションに少し憧れていたので「わー」と嬉しくなりました。
私が来る前日まで女の子が一緒に住んでいたらしいけど、家事も掃除もしないしお小遣いを度々欲しがったし食べ物は注文して寝っ転がりながらゲームをしたり遊び歩いていたりしていたそうで、それなら私はまだマシなのでは…と少しホッとしてみたりしていました。
キッチンも結構真っ黒だし部屋も布団しきっぱなしで(おお)と思ったけど嫌悪感より好奇心が勝ってワクワクしていました。
彼(一応彼と書きます)は気にしてくれたのか布団を畳んだりしてくれたので一緒に軽くお掃除をしました。
持ち物は少ないので一応ある程度は持ってきていましたが、なんでも勝手に使っていいよと言ってくれたので、毎日料理を作っていいか聞きました。
家ではキッチンを使うのが怖かったので料理を自分のペースで作るのが楽しみだったのです。クックパッドを見ながらですが。
了承してもらい、道具や食材もまあまああったので朝昼晩を毎日作り、彼は朝から夕方くらいまではお仕事なので昼は大好きな麺類を作って食べていました。
料理というほど凝ったものは作れなかったけど、シチューとか煮物とか味噌汁とか魚焼きとか、クックパッドを見て毎日作っていたら美味しいと食べてくれるので余計料理が楽しかったです。
買い物も毎日行って時々歩けるくらいだけ散歩とかもしてみたり、お昼寝をしてみたり、自分の時間がすごく楽しかったです。
何日かしたら余った料理を彼がお弁当にして持っていくと言ってくれて持っていって食べたりもしていました。
帰る時間に合わせてご飯を炊いたりして暖かいごはんを食べてもらって美味しいと喜んでもらえて、幸せな家庭ってこういうものなのかなとほのぼの暮らせました。
部屋とキッチンの間にはドアがあるので、彼が女の子とチャットや通話したいんじゃないかと気を使ってみてキッチンにこもった時があって、どうせだからとキッチンの掃除をしたら真っ黒だったキッチンが新品みたいにピカピカになって、楽しいし自分がなんか出来たとすごい嬉しかったこともありました。
料理も手作りだし近場の安いスーパーで買うし、昼は茹でて戻す麺類で安いし、服とか化粧品とかも家で買い物をしたら嫌に思われていたので個人的な買い物も無いし、遊びに行く予定も無いしで、前の女の子と比べてまったくお金を使わないので逆に心配されて、当時発売したWiiを買ってくれたり食料代毎日渡さなくて大丈夫?と心配されたりしていました。
化粧品も私はファンデーションしか持っていなかったので一式買ってくれると言われましたが「いや、化粧品って高いんだよ」っと言いながら一緒にイオン系の化粧品売り場に行って化粧してもらって、使ったやつ全部いくらか聞いたら「使うのだけ買おう」と少し減ったけど買ってくれたりもしました。
毎日凝った料理を作って頑張ってた母に比べると全然頑張れていないのになんて優しいんだろうと思いました。
時々食べ物のお店に連れて行ってくれたり、生まれて初めてバーというとこにも連れて行ってもらいました。(小さい個人経営のバーですが素敵でした)
そんな幸せと言っていい毎日でしたが一つ問題もありました。
彼の家に来た初日の夜、彼に電話がかかってきて部屋で話していて電話先の声も丸聞こえで男の子の友達だったのですが、その相手が「〇〇結婚しそうだよな、お前はどうなんだよ。札幌の子と〇〇の子とどっちにするんだよ」と言ってて同時期にもう一人付き合っていた女の子がいたらしいと知ったのです。
しかも相手は女子高生で次の年に卒業したら東京に住んで声優の学校に行きたいから泊めて欲しいと言われていたそうです。
私はまったく怒らず、むしろ(そうだよな私のこと好きって言っても他のかわいい若い子の方がいいよな)と妙に納得してしまいました。
次の年までは住めるけどその先は無理なんだとそっちの方ですごく落ち込みました。
でも泊めてもらっているから性的行為も頻繁ではないけど求められたらなんとか楽しんでもらえるように無理して嫌がってないようにやってみたり、あまり女の子のことは言わず恋人みたいな夫婦みたいな感じで住まわせてもらいました。
二人で歩いている時に不動産の前で「一人暮らし用じゃなくてもうちょっと大きい家に引っ越そうかな」と言っていた時も、もう一人の若い彼女さんが来るからだろうなとしか思いませんでした。
ある日起きたら体調が悪くなって声が出なくなった時がありました。
彼はすごい心配してくれましたが、家では病気の時は「寝てろ」と言われ食べ物も飲み物も与えられなく放置されていても大体治ってきていたので、仕事行けと送り出しました。
辛いけど動けるだけ動いて洗濯や洗い物をして昼寝をしたら、夕方前に玄関が開く音がして起きたけど動けなくて、ドアが開いたら彼が買い物袋を持って帰ってきていました。
「食べるの辛かったらこれ飲んで」とウィダーゼリーを渡され、はじめて飲んだけど喉が辛くてもスッと飲めました。
それからキッチンにこもっておかゆも作ってくれました。(しょっぱすぎたし見た目もちょっと汚かったけど)
多すぎたので残りは食べてもらいました。
普通の家はこうやって看病してもらえるものなのかな、いいなーと思いました。
そしてその心使いが有難かったです。
でも本命は女子高生の方なんだろうなぁ、私はそのうち出ていかないといけないんだよなと思っていました。
次の日も声が出せないので病院に行ったのですが保険証を持ってきていなかったので高かったです。
それがきっかけで一度実家に帰ることに決めました。
丁度バレンタインデーだったのでチョコを冷蔵庫にこっそり入れて家に帰りました。
父も含め、家族全員特に酷いことは言わなく家に受け入れてくれて、しばらく実家に住みました。
精神内科も正直めんどうくさいし怖いけどまた行きはじめました。
数日後、彼から電話がきて「いつ帰ってくるかわからないし、一人で家にいるのはつらいから別れよう」と言われました。
やっぱりなと思いつつ、一緒に過ごしててすごく安心出来たし普通の家庭の優しさも体験出来たしで泣いてしまいました。
正直自分では彼が好きだったのかは今でもわからないのですが、平穏な生活を送らせてもらえ、私自身が料理洗濯掃除買い物をちゃんと出来ることを知れたこと、人と暮らしてもイライラさせないで喜んでもらえること等、今後の自信に繋げられる日々をくれました。
女好きで性的行為好きで自意識過剰ではあったけど、とても優しい良い人だったなと今では思います。
あと当時私が30代前半で彼が20代前半だったのですが、背が高くてラグビー体型の人だったからか、ずっと本気で年下として見てくれててかわいいと言ってくれてたのも有難かったです。実際自分はかわいいと思ってないので言われてた当時は嬉しさより気をつかってくれて申し訳ないし逆に気持ち悪いなという気持ちしかなかったですが。
よくアダルトチルドレンは見た目も若い傾向があると聞くので言動もそういう感じだったのかもしれません。
今は白髪が増えて白髪染めもしていないので多分若く見られないとは思いますが。
この時の家事の経験が「自分は一人暮らしをしてもなんとかやれそう」と思えるきっかけになりました。
そしてより一人暮らしに憧れが強くなりました。
もしかしてもっと自分に自信があって、もっと一緒に住みたいって我儘言って、彼のことを本気で好きになれていたら結婚出来ていたのかなと妄想しては惜しかったと思ったりします。
経済的に安定してたので。
ここまで読んでくれた方有難うございました。
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