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2023年 夢野香菜の今年観て最高だった映画10選

今年観た映画(今年公開された映画とは言ってない)
リバイバルとかも結構含めてるんでまぁ大丈夫でしょう、うん。
今年は色々な映画を観ました…。毎年それなりに観てるんですが。ですが今年はかなり豊作だったというか、良い映画に沢山出逢えた気がします。邦画・洋画、アニメ・実写、特に区別はないです。観た映画。ランキング形式ではないです。勿論面白さのベクトル的な度合いはそれぞれありますけど、そういうふうに順序付けれるようなもんでも無いなと思っているので…。あと、観た映画を全肯定する気はそんなに無いです。割とフラットに批評するかも。核心を突くネタバレはめっぽうしないつもりですが、語りたいところは語ります。あ、えっと比率的にはというか、まぁ今年公開された映画と名画座とかでのリバイバルがちょっと、あとはほとんどアマプラで見れるはずです(断じて回し者では無い)。ネトフリはどうだろう、今回は少なめかもです。ほんとに感想って感じなのでかっちりした文体とか考察とか無いです。拙文ですが…。すみません。割と長いので気になるタイトルのだけでも読んでって下さい…。


では、以下感想、紹介です。下に行けば行くほどニッチになっていく(アビス)

鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎

あそこで水木が紗代さんから目を逸らしたのがいけなかった!!!!!!!!!!!
あそこがどこのシーンかは是非御自身で御覧になって下さい…。犬神家の一族寄りな感じでした、設定とかが。写真が落ちるシーンとかそのままですね。全体的にロケーションの描き方が過度に美化されてない感じで、風景の「こういう場所あるよね〜」というリアリティが凄くあった。
ゲゲ郎の、世代継承のために〜ってくだりで泣いてしまった。あの時代単体で終わらせる映画じゃなくて、今の世代に繋いでいくという面も重視してる風に感じて、とても良かった。

ソナチネ

今年の夏ですね、池袋にある新文芸坐というところでリバイバルがやってまして、元から北野武映画には興味があったので、とりあえず観に行ってみようという気持ちで行ったのですが…
これが最高でした。多分人生単位でベストな映画かもしれません。死生観というものに対して正面から考えられていて、とても良かった。序盤の「やめてくださいよォ!」のシーンでもうレベルの高さを実感。その後沖縄の綺麗な風景の中で淡々と話だけが進んでいく姿は美しい反面とても怖かったです。エレベーターのシーンとかはもうちょっと笑っちゃいましたね、あそこまで極まってると。素晴らしい。音楽、メインテーマがめっちゃ良いな〜と思って調べたらかの久石譲氏でした。初めて知った。聞いてみてください。ソナチネの世界観を見事に掴んでる名曲だと思います。夏に観に行けたのが偶然ですけども個人的にとても運が良かったなと思いました。夏の暑さの地続きとして劇場で見ると、何かまた没入感が違うと思います。まだリバイバルをやってるかもなので、是非観に行って下さい。馬鹿野郎。

早く観に行け


その男、凶暴につき

夏、ソナチネを観たあとの夢野香菜はさらなる北野武映画を求めていた…そんな時、この映画があることを知る…。再び池袋に足を運び見たのは…北野武初監督作品のこの映画…。
はい。その男、凶暴につきです。こちらも新文芸坐にてリバイバルをやっていました。えーこれがまたね…すげー面白いの、これ。暴力描写が うわッ、これやられるのやだなあッ!っていうドンピシャのところを的確に突いてくる。子供とかが無邪気で可愛らしいものであるという概念をこの映画は真っ向から否定していて、人間って元々残虐で酷くて醜いよねというのをしっかりと映像で描ききってくる。直視しなければいけなくても見てこなかったものを、もう一度考えてみたりという思考のフェーズがあった。で、もう後半の方の陰鬱具合がね…。車で轢くところとか、コメディがとても面白いのですが、それと混ざって後半の空気感が本当に…。面白いけどつらい…。まぁソナチネっぽくてとても好きなんですが。なんか時折感じられる破滅願望みたいなのが心情的に闇が深い感じで共感できたし、怖かった。こちらもおすすめです。
「どいつもこいつも気違いだッ」

気狂いピエロ

気違いといえば…。そんなに気違いってわけでもないですが。こちらはかなり理性的で落ち着いている(いない)フランス映画です。この記事のトップの画像はこの映画。なんか有名だよね。「フランス映画とかゴダールとかうにゃうにゃ言ってる奴とかめっちゃめんどくせぇ文化かぶれの奴じゃん」みたいなふうには僕も思ってましたよ。実際初見で観た時かっこいいところ、綺麗な画面はあるもののストーリーがあんまり理解できなかったです。解説を聞いてはじめてなんとなくわかりました。「外部から解説聞かないとわからない映画なんて駄目じゃん」とか言いたくなるかもしれませんが、まぁちょっと待ってください。僕の場合必要だったのが“解説”であって、外部的な割とこじつけに近い感じの考察とかではありません。作中で完結してしっかりと全部描かれてるんです、全部。でも初見だと結構わかりにくいのでその手引として解説が要ったと…そういうわけなんですね。こればっかりはしょうがなくて、フランス映画とかいう慣れない体質のもんをいきなり観たらわからないところもある。翻訳系だと堅めのわかりにくさっていうのが割とありがちなんですよね。まぁ本の最後の解説みたいなものです。で解説を聞いてから再び見ると…なるほどと思った。これは凄い。腑に落ちた。端的に言っちゃうと「人と人のわかり合えなさ」のすれ違いみたいなのが描かれてるんですが、これがもう理解するとすごい共感できるんですよね。とにかくわかりにくいけど…。
で、あのラストシーンですよ。あれは本当に良かった。ソナチネと重なる部分もあるのかも。
割と有名なハサミのシーンが実は戦闘シーンであることを知って笑っちゃったり。
正直本当に面倒くさいしわかりにくい映画なので万人にはおすすめできませんが、もし興味がある方がいれば、映画を観たあとに解説もセットにするのをおすすめします。

PERFECT BLUE

こちらもリバイバル。なんか今年は広域でやってましたよね、パーフェクトブルー。それに便乗して行った感じです。パプリカとかは観たことがあってそれが良かったのでね、興味があって。
渋谷のそこまでデカくないところで観ました。良かった。最初のダンスシーンでめっちゃ人間味のある感じで動いてるアニメーションを見て衝撃でした。一人のアイドルに対して向き合ってる感じの1時間半で、とても面白く、アイドルという自分から離れた存在に対して感情移入できた。サイコスリラーは感情移入できたほうが楽しいから…。内田守の動向がなんだかんだ気になって仕方なかった。視聴者層が割とそちら側を想定して振られてると思うので…。
で、もうエンドロールがもう…たまらん。この映画に出てくる曲、全体的にかなりアイドルソングの成分が強めでとても良い。なんというか、あの感じの曲があることであの世界観のリアリティの解像度が上がると思います。
で、最後の台詞がね…
「私は本物だよ」 うわーッ!!もうこれ好き、大好き!

ゴジラ-1.0 

※ネタバレ多いかも!! あと個人感想の悩みをうだうだ言ってる

映像が本当に素晴らしかった。大画面で見るべき映画ですね。最初の方の戦闘機がゴジラに弾き飛ばされるシーンのあの戦闘機の浮遊感と落下のモーションで、早々にこれは凄い映画だぞと驚いた。海上での戦闘表現が素晴らしく、ジョーズっぽいところもありつつ、非常に高クオリティな映像で目が離せなかった。質の良いCGで日本でやるならゴジラが出るシーンは少なめなのかな…と思ったらバンバン出てきてとても良かった(KOMとかのバカデカ予算がおかしい)。見劣りしないとかそういうどころかリアリティとしての映像の表現はかなりトップクラスかも。
脚本もしっかり盛り上がりの流れを誘導してるんだろうなという感じがあった。全体的に精巧にできてる。
ただ、正直不満点もありました。特攻精神で解決しちゃっていいの…?というのは個人的に引っかかっている。初代はあの時代の技術的に割とどうする事もできないからオキシジェンデストロイヤというSF超兵器を使ったわけだが、やはり現代の我々はそれから何十年と経って、またSF超兵器で解決するわけにもいかない。SF的な夢があった時代ではなくそれこそ戦後それなりに経ってから振り返るフェーズでもあるから、それなりに現実的な解決策、アンサーを出さなければならないと思う。そのうえでの特攻だったのだが、脱出装置があるとはいえあれはちょっと違和感があった。特攻崩れの主人公に特攻まがいの事をさせて解決しちゃうっていうのも、「俺の戦争はまだ終わっていないんだ」モノにしてはちょっと強引かな、と思った。それでシナリオ的な盛り上がりは最高潮に持ってけるんだけども。

まぁ震電が滅茶苦茶かっこよく動いてたから全部どうでもいいぜ!!!と思ったりもしたんだけどね!!!!
よく対比で出されるし、ちまちま比べるのも良くないとは自覚しているのですが、シン・ゴジラだとその辺がしっかりしてたというか、国が起こした大きな傷、過ちに対するアンサーとして倒し方、事後の処理共にしっかりできていた気がする。
総評は、映画としては最高に完成度も高いし盛り上がり方もしっかりできていたのですが、戦争を終わらせると言いつつ再び特攻”精神”を持ち出すのはどうなんだろう…という個人的な悩み。これに関しては割とセンシティブだし面倒くさいこと言ってる自覚もあるし語弊もあると思うから議論は全然受け付けます。

全然どうでも良いんですけどvsヘドラみたいな映画ってもうやんないんすかね…vsシリーズそのものの血統はハリウッドの方に行ったけど、それとは別で割と異色なヘドラみたいな怪獣にまた来てほしいのだ…

機動戦艦ナデシコ -The prince of darkness-

ルリルリの成長を見られただけでとてもうれしい。あとブラックサレナが出てた。かっこよかった。テンカワ君がなんか大変な事になってた。
(ヒラコーのあとがき風)
時代的に僕がドンピシャで好きなあたりなので見てて楽しかった。アニメ版の脚本がかなり凄く出来てて好きだったのですが、なんか色々と皆変わったんだな…という気分になった。昔の友達を見た時のあの感じ。ルリルリの人気がほんとにスゴかったんだろうな…。

先述の通りいくつか北野映画を観てたら、なんと今年公開の映画があるということで観に行きました。すみませんねこの順番で。時系列的には ソナチネ→その男→首 なのでどうしても後の方になっちゃった。
感想は、ま〜〜ソナチネ時代が好きだったらちょっと賛否ははっきりしちゃうかなーとは思いました。自分はどうなのかというと「ソナチネほどのデカいインパクトは無いけどそれでも滅茶苦茶面白いじゃん!」という感じです。時代設定が戦国時代なので、当然バンバン人が死んでいく。戦国武将、武士、農民など多くの人がいろんな死に方をしていく中でそこから死生観を削り出していくふうに見えました。ビートたけしがやっぱり役どころをしっかり自覚して解ってて、「早く死ねよ!」のシーンとかはもうめっちゃ面白かったです。本人もインタビューなどで言ってるのですが、大河ドラマの戦国武将の描き方なんて美化されすぎてて実際はもっと汚ぇだろ!っていうのが出発点だったりして、がっつり織田信長の男色シーンが描かれたりする。そりゃそうだろうなとわかってても今まで見たことのなかった表現で、とても面白かった。ラストもそうなのですが、いろんな死があるんだなーということを北野映画でとても上手く魅せられた感じです。かなり人を選ぶと思うので、割と先述の映画などを見ておいた方が良いかも。

時計じかけのオレンジ

うわッ出たーっ!サブカルクソ野郎だっ!
いやちょっと待ってくださいよ…。キューブリック作品は全部狂おしいほど面白いでしょって…。誰も聞いてくれない…。
はい。時計じかけのオレンジ。画面が全部ビチッとキマっててかっこいい!最高!
雨に唄えばをあそこまで酷い使い方してる映画は初めて見ましたよ(称賛)。とにかく作中の空気感がどこかおかしくて、全ての構図が直線で仕切られてる感じ。
ルドヴィコ療法がね…。あれをバイオレンス含めた中でやることにとても意味があって、この映画の面白いところでもあると思います。
ていうかもう全部がかっこいい!キューブリック最高!!という…。(本当に感想文か?これ…)

デス・レース2000年

個人的には時計じかけのオレンジとちょっと似てるところもあると思ったので。似ててたまるか。
デス・レース2000年です。超Z級映画なのにシルベスター・スタローンが出てる。ヒット前だから…。あらすじとしてはアメリカの大陸横断レースで、途中で人を轢いたり殺したりするとポイントが入ったりするよ〜という最低(最高)の死のレースをするっていう感じです。とにかく登場するキャラクターが全員個性的で、ナチスモチーフのレーサーだったり、マシンガン・ジョー(←これがスタローン)、そして去年のレースの優勝者フランケンシュタイン etc… ギャグマンガ日和みたいなメンツです。
この映画、とにかくZ級で内容無しに楽しむものかなと思ってたら、なんか割と暴力的なものに対してしっかりとしたアンサーを出してて面白かった。そんな真面目なことをするのか。作中ではとにかく理不尽かつ無意味な暴力描写を無限にやってるのですが、それを止めるべくフランケンシュタインが動いたり…。という。映画で描かれる暴力性に対してオチをしっかりつけるんだなということで、Z級ながらとても良い映画だったと思います。

ちなみにリメイク版を昔見たことがあって(ステイサム主演)、今回、あっこれこっちの方が元なんだと気づくと同時に、じゃああのリメイクはダメでしょ…と瞬時に感じた あのリメイクはダメでしょ…

A KITE

かの梅津泰臣氏監督の結構有名なアニメ。
血液がしっかり垂れる!!!人がリアルに死ぬ!!!ガンアクションの質がめちゃめちゃ高い!!!!
どれをとっても一級品のクオリティ。素晴らしい。この作品ならではの特徴として自分は、作画やストーリー重厚感があることを挙げたいです。他の作画やストーリーの良いアニメであっても表現し得ない、この作品特有の空気感の重みというか、リアリティよりも理論としてしっかり理詰めをやって世界観を成立させている感じがあり、そこに重みを感じてとても良かった。
作中通して“癖”を究極に追求していて、どのシーンを見ても眼福だった。しかしながらがっつりえげつないNTRのシーンなどもあり、個人的には深手のダメージを負いました。だってあんな良い作画でNTRしちゃズルじゃん…。
いろんな意味で脳が破壊される映画です。

KILL BILL

数が大変なことになっちゃうんでvol.1、vol.2まとめてにさせて下さい。お願い…赦して…ビル…あなたの赤ちゃんが…
まぁタランティーノだからね、最高に決まってますよ。“いわゆる”映画に出てくるフェイク日本ってあるじゃないですか、ありますよね(まぁ要するにブレット・トレイン的なアレ)。KILL BILLの場合、弩級の映画オタクであるタランティーノの圧倒的な知識量を介して、「そこまでわかったうえでやっている」というフェイク日本をやっていて、とても良い!!
寿司屋で服部半蔵の最高傑作の刀を入手!!どでかい棘付き鉄球をブン回すセーラー服の女子高生!!!わかってるじゃん、それですよ、それ!それが見たかったんだ!!漫画的なキャラクターでありながら、実写としてしっかり映像に落とし込まれている。ヤクザ映画などのテイストでありながらそれらにはない圧倒的な突飛さを兼ね備えている。おかしいですよ…。だってタランティーノって普通に外国人ですからね、あそこまでフェイク日本であることを最強の武器にできるのは人を超えている。素晴らしい。
というのがだいたいvol.1までの話。で、vol 2。こちらはカンフー映画などのテイストが強めで、過去回想したり…という感じで、カンフーマスター、パイ・メイ(見るからにカンフーマスターで、それとしか形容できない)から厳しい特訓を受ける…とかのパートがあったりします。棺桶からの脱出シーンまでの繋ぎ方が素晴らしい。タランティーノ映画あるあるの雑魚キャラであるカリフォルニア・マウンテン・スネークとの対決が結構見ものです。
キルビルは今年観た映画だからここで挙げさせてもらいましたが、他にもタランティーノ作品は基本的に全部最高に面白いので見て下さい。初動のおすすめはパルプ・フィクション、レザボアドッグス、イングロリアス・バスターズ…いかんいかん、ずっと語ってしまう…。

ラブ&ポップ

大好き


大好き!!!!!!
大好き!!!!!!!(2回目)
エヴァの庵野監督(恒例の言い方)が撮った実写映画です。あらすじは女子高生がトパーズの指輪を買うお金を集めるために援交をしたりなんだり…というその過程を1日間描いたという感じです。平成女子高生を庵野監督が描くって最高に決まってるじゃないっすか。
エヴァTV版の最終回がちょっとオチなかったといろいろ言われたりの時代に撮られた映画ですが、個人的にはこのラブ&ポップでそれなりの落とし前をつけれたんじゃないの?!というふうに感じました。というのも最後の方で狂人の男(この映画に出てくる男はだいたい狂人)にラブホテルでスタンガンで襲われそうになった時に男が言った説教がかなり本質的なところを突いてるというか、それって作品づくり的なところにも言えるのではという説教があって、かなり腑に落ちるところがあった。この作品、所々に登場する人物やセリフにすごく刺さるものがあって、人生観として共感するところがあった。
エンドロールも結構衝撃的で…。「あの素晴らしい愛をもう一度」が流れながら東京のドブ川を歩いていく出演女優たち…。大好き!!!!
なんか世間的にやっぱりエヴァを前面に出したりする雰囲気がありますけど、個人的にはこのラブ&ポップもそのひとつに加えられるべきではという傑作。ちょっと変なカンジでわかりにくいけどね…。エヴァの精神的な部分(?)が好きな方は絶対観たほうが良いと思います。

タクシードライバー

ジョーカーなどを見て社会に対する怨念を溜め込んでいる人間にとってこの映画はさらに純度の高い厭世観をぶち込んでくれる。一昔前の時代設定で、タイトル通りタクシー運転手が主人公なんですが、これがもうえげつない。選挙立候補者を銃で撃とうとするところとか…厭世観を燻らせている人間が一歩違えばやばいことになるという。銃を出すカーテンレールのギミックとかオタクが好きそうだしね(偏見)。しかしひとつの行動が良いように誤解されて正義感のある行動として評価される…。そしてラストシーン、あれちょっとパーフェクトブルーと近いと思うんですけど、違いますかね…(謎オタク)
とにかく厭世観を燻らせてるヤヴァイ奴は見た方がいい。薬ではないですが…。

ビデオドローム

これは作中に出てきた気違いVRみたいなやつ

これはもう僕の大好物のタイプの映画でですね…。
脚本が夢野久作っぽかった。「人間レコード」っていう短編があるんですけど、それに近いかも…。現実と夢(幻覚)が交差して倒錯していく主人公…そしてどこまでが現実でどこまでが非現実かわからない不安…。着実に頭がおかしくなっていく過程が上質なSFXで演出されていっていて素晴らしい。(※SFXっていうのは要は特殊撮影、特撮です)やっぱりCGだと表現しきれない気持ち悪さとリアリティがあって良い。遊星からの物体Xのアレらとかもそうですね。のっぺりと、しかし脈打ちながら躍動する気持ち悪いグロ肉。腹部にビデオを入れる穴ができてしまう主人公…。この辺のSFXってどうやってるんすかね、マジで凄かった。あと銃が手に固定されていくシーン!!!あれはもう超名シーンです。
頭の中に腫瘍があって、それはもう別の脳なんだみたいな話はやっぱり現実世界を生きている時の居づらさというか気持ち悪さがわかる人だともうめっちゃ共感できると思いますね。
あれ系の倒錯モノに割とあるんですけど、「精神にとって肉体は不要、肉体を捨てよう」的な台詞が出てきて、やはり…と思いました。lainの後半の方で言ってたりもしてましたね。
ひとつひとつの演出がとても面白く、倒錯モノという枠を超えた良さがあるので、とてもおすすめです。

必殺!恐竜神父

観る前めっちゃZ級映画だと思ってました…。観たあともそう思ってるけど…。
本作は映画としての予算とクオリティが最底レベルなのですが、とにかくその制約の中で、いや制約すら超えて面白さが追求されている。最初の方の、効果音だけ鳴って「VFX. car on fire」と出てきたシーンには流石に面白さと困惑で衝撃を受けました。素晴らしい。エクソシスト…?と思ったら忍者(!)が出てきたり、はたまた本作の見せ場である恐竜のシーンはもう圧巻!いろんな意味で…。全体的な見栄えの悪さをむしろ鋭利な武器としていて、普通にコメディシーンが滅茶苦茶センスあってクオリティ高くて面白いので、見て良かった映画です。アマプラで見れます。おすすめ。

ムカデ人間

出ました問題作。僕はゴア表現とか苦手っちゃ苦手なのですが、本作はとにかくムカデ人間のインパクトをそのままに通し切っているので、苦手だけど面白いから見てしまう…というそんな映画でした。舞台は珍しくドイツで、所謂マッドサイエンティストのおっさんがムカデ人間を創るという感じのあらすじ。唐突に日本人の役者さんが出てきてびっくりしました。で彼がムカデ人間の先頭(!)になるという。なかなか珍しい。ヤクザである彼は作中の中でも異質ですが、最後の方で人間讃歌的な感動する台詞があったりと、結構見せ場があった。先頭だから台詞を喋らなきゃいけないんですよね…後ろには二人いるけど諸事情で口が塞がってるから…。後ろの二人が衰弱していく描写がかなり人間の尊厳に訴えるところがあって面白かった。面白がっていいのか…?いや、面白かったです。
2、3も観るか…?きついなー、面白いから観るけど。
面白い映画ですが、おすすめはしません(断言)。

機動警察パトレイバー the Movie

パトレイバーはいいぞ。いやまぁ2も滅茶苦茶面白いのですが…。とりあえず1作目の劇場版。個人的にセル画アニメで一番いい味がある時期の作品。一応OVA版を見ておくとキャラクター関係がわかってより面白いけど、逆に言えばキャラクター関係さえ調べておいてなんとなくわかっていれば十分楽しめます。いや、ただ1つお願いが…OVA版のopは是非是非是非是非見て下さい…。アル♪フォーンス♪ いやほんとにクオリティ高いんで…。レイバーっていうロボットが出てくる。これまたロボットとしてのサイズ感が丁度良いんだ…。
普及しつつあるOSの中に潜んだウイルスがレイバーを暴走させて〜とかでこう特車二課のメンバーが右往左往するという感じのあらすじなんですが(まとめるのが下手)、これ89年にやってるんですよ!!凄くないですか!!89年から想定した10年後という近未来SFなので、こう、未来予想的なのも入ってるんですが、これがなかなか興味深い。ヤバい開発者がOSの中に仕込んだウイルスとか、そもそもロボットにOSを入れるという発想とか、かなり先見の明がある。とても面白い。押井守監督の演出ももう最高にかっこいいんだな…。ただ、画面が所々非常に暗いので見やすい環境で見ることをおすすめします。

香貫花・クランシーがえっち

ファンタスティック・プラネット

禁断の惑星のMVで出てたりとかで何となく知ってはいたのですが、今年サブスク入りしたので見てみました。
絵のタッチが見たこと無い感じで良い。多分鉛筆かな?でアニメーションをやってて、あの時代だからもちろんアナログで。
ドラーグ族が瞑想してるあたりの設定とかはもうあれはLSDをやってるとかそういう文化系統じゃないと思いつかない発想だと思うのですが…。凄いです。おとぎ話のようで子供の頃親の部屋で読んだよくわからない怖い本の記憶だったりとかそういう域で、話の筋がしっかり立っているのに世界観が奇妙すぎて現実かどうかの判別がつかないような、そういった怖さと面白さがあった。あの世界特有の仕組みや小物がよくできてて、とても興味深い。教育装置だったりドラーグ族の議会だったり、オム族の決闘だったり。ユニークで奇妙な世界に強い力で引きずり込まれてしまう体験ができたので、とても新鮮な映画だった。

ガンヘッド

ガンヘッドを馬鹿にするなぁッ!!
はい。ガンヘッドです。サンライズと東宝映画が組んでるやつです。この作品何が素晴らしいかって、巨大ロボットが特撮で出てくるんですよ!!!セットがそれなりにデカい!まぁキャラクターの立たせ方がちょっと独特なのと、脚本がロボットが出てくるのに割と普通…とかまぁあるんですが、そんなことはどうでもいい!!!邦画でそれなりのデカスケールで特撮でロボットを描いたのがとても良い。世界観をそれなりに広げたSFっていうのが日本だと難しいんでね…(洋画はSF映画にかける予算が何桁か違う)そういう意味でとても珍しく、好きな映画です。

中野ブロードウェイにずっとガンヘッド特集が組まれてる当時モノの雑誌が売ってるので買ってみてね…。僕は買った。

ファニーゲーム

なんかファニーゲームって世間からの評価結構踏んだり蹴ったりなとこありませんか!?!?個人的にとても面白い映画だったためちょっとこれは由々しき事態ですよ…。良い映画じゃないっすか!対人関係の言語化出来ない不快さを描けていて、これよくよく考えたら他の媒体だと表現しにくいことなんですよ。映像媒体ならではの人間の仕草、言動の気持ち悪さみたいなのをとても上手に表現できている。これはもう最高。音楽も良いね…(悪い)。さらっと第四の壁が破られた時は凄いなって思いましたね。ストーリーだけで言えばなんの問題もない家族(むしろ上品で良質)をとにかく拷問するだけ、それだけなんですよね。でも、所々視聴者の予想を裏切る決定的なシーンとかがあって、視聴者まで含めたアトラクションになってる、リモコンのシーンもね。これって革命ですよ…。もっと評価しなさい。んでその前に観て下さい、とても面白い映画なので(周りに誰も見てる人がいない)。

やあ いたね(最悪)



計21映画

そんな感じです。10選……?そういやそんな事も言ってたな。あれは嘘だ。
ええ、こんな長々とした文章を最後まで読んでいただき誠にありがとうございます。ていうかこの記事を読む時間があるならさっさとここで挙げられてる映画を映画館にでも名画座でもサブスクでも見に行っちゃって下さい、多分そっちの方が素晴らしき人生の体験となると思うので…。すんません(弱腰)。いや、でも結構良い映画揃いなので本当に見て下さいね!本当に!!!
いやほんと長々とありがとうございます…。
では皆さん、まぁそして自分も。

2024年も良い映画ライフを〜〜〜

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