Pride 遥海　エッセイ

彼女はいつも真っ直ぐに笑いかけてくる。
その表情は柔らかく、その裏にある覚悟は固い。

「元カレ結婚したらしい」
店内に流れている音楽は洋楽かな、
なんてそんな事を思えるほど、私との沈黙が続いた後に、彼女は突然話し始めた。

元カレーーー。
彼女は素晴らしい事に、私よりもはるかに恋愛経験が多く、元カレと呼べる人は片手には収まらない。

それはその筈。

"恋は盲目"
この言葉を表している女性こそ彼女だ、と言えるほど、真っ直ぐに一途さを表している。これは優しいからこそ持っている力だ、と私は思う。
愛さるほど深く、傷付けられれば同じだけ深く、彼女の心は傷を受ける。

彼女はいつも真っ直ぐに笑っている。
まるで汚い事は何も知らないかのように。

一見、笑い話をするかの様に話す彼女は
元カレの話をする時、笑えていない。
いや、これはきっと彼女だけではない。私も元カレの話をする時は上手く笑えていない筈だ。

だが、私はよく知っている。元カレから今カレに変わるまでの間の彼女の様子を。

まるで、雨が降る中に夜明けを待つかの様に、そっと待ち続けている。
ただ、待っている間の彼女は強い。
強いまま生きている。そう思わされるほど、彼女は、強い。
努力を、感謝を忘れない彼女だからこそ、つまずいても、立ち上がれるのだと。
そのちっぽけな想いや誇りが、彼女を闇から光へ導く事が出来るのだと。

人を好きになり、その人に好きになって貰うほど難しく、怖いものはないと私は思う。
彼女はその困難を、たとえ怖くとも立ち向かい、自分自身にとって良い未来を願い、乗り越える為に歩んでいる。

変わらないものなど無い、きっと彼女はそんな事を理解している。
それでも尚、変わらないものがあるとすれば、彼女が相手を想う気持ちの大きさだ、と
私は彼女の笑顔を見て、今日も思う。
例え言葉や行動で心が傷んでも、彼女は想う気持ちを、未来を守り、その為に戦い続けるだろう。
それが、きっと彼女のプライド。

彼女はいつも真っ直ぐに笑い続けている。
心に勇気を、明日やこれからも、彼女が今以上に幸せになる夢を抱き続けるている。

この姿は私が見習うべき志。

恋は盲目。
この言葉をいい意味だと思わせてくれたのは彼女のおかげである。

これからも彼女に幸せや夢が訪れるように。
彼女自身が分からなくとも、彼女が相手に対して想う気持ちの素晴らしさを理解できる人と
繋がっていけますように。
彼女がこれからも、私に真っ直ぐ気持ちを伝えてくれる対等な関係の、心の友であります様に。

止まない雨の中　夜明けを待ち続けた
寄せては返すあの波のように
強いまま生きていたい
変わらないものなど無いことを　知っても尚変わらず居たいと願う
震える心に宿った　ちっぽけな誇りが　闇を照らす
胸に勇気を　明日に夢を
つまづいたって　立ち上がって　光を探す
どんな言葉も　どんな嵐も　邪魔できない私の未来
守りたいもの　マイ・プライド

歌:遥海
リリース:2020
作詞：TomoLow, Yui Mugino
作曲：TomoLow, Yui Mugino

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