「世界で一番幸せ」を感じる瞬間は、喫茶店と風呂にあり
別にこれしかなくて寂しいという意味ではない。
人より長めの人生経験を経ていましみじみ想う実感である。
今日は小春日和、いつもの珈琲屋さんで、フレンチコーヒーを楽しんでいる。
いつもは昼食にトーストを注文するのだけど、今日は出がけに手製のアンパンを食べたのでお気に入りのクッキーのみにしておこう。
初めてここのチーズトーストを食べたとき、舌に衝撃が走った。
チーズのとろみ具合、焼き加減の絶妙さ。最後に振りかけられる香辛料が、この店にしかない仕上がりにまとめている。
天井付近から音符の粒子が、キラキラと降り注いでくるようなヴィバルディの調べに目を閉じる。
立ち昇るアロマとトーストも加わって極上の協奏曲。
ここが銀座の真ん中であることをすっかり忘れる。
思わず「私は今、世界で一番幸せ…」
と声に出そうになる。
わたしには、もう一つ極みの瞬間がある。
お気に入りのフレンチサスペンスを見終わり、英会話のルーティンをキッチリ終えたあと。
少しだけ熱めの温度に調整されたたっぷりの湯船に、首筋まで身を沈める。贅沢な分量を入れた乳白色の温泉の香り。
身体中すべての筋肉を完全にときほぐし、これ以上ないほどのリラックス感に身を委ねる。
たとえどんなに思い通りにいかない一日だったとしても。すべては湯気とともに消えてゆく。
ここでも再び
「私は世界で一番の幸せもの…」ことばにならない深〜い吐息。
明日もまたいい一日が訪れるように、ポジティブな想いに包まれたまま、布団に入ることとしよう。
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