見出し画像

ブレナム宮殿「戦場とバロック」展+映画「女王殿下のお気に入り」衣装

4月15日から6月19日までブレナム宮殿では初代モールバラ公爵 イギリスの将軍ジョン・チャーチル300年記念の追悼行事の1つとして「戦場とバロック」展を開催しています。

画像12

(⇑写真:緑の書斎には初代モールバラ公爵ジョン・チャーチルの肖像画が2点。暖炉の上はブレナムの戦いの2年後に描かれた絵で56歳、右は25歳、左のタペストリーは300年前に作られたブレナムの戦いのタペストリーの中で白馬に乗っているのが将軍ジョン・チャーチル。)


画像2

(⇑写真:緑の書斎に展示されているスペイン継承戦争の戦場で使われたドラム2個。左はブレナムの戦いで勝利を収めた英国軍がフランス軍より持ち帰ったフランス王室の旗を小さく複製した免状地代旗(Quit-rent standard)で、毎年1705年以来ブレナム宮殿から戦いの記念日8月13日前までに英王室に地代として献上され1年間ウインザー城内に飾られる。)


画像12

(⇑写真:イギリス国内で2番目に镸い部屋ロングライブラリー、大図書室に飾られている初代モールバラ公爵ジョン・チャーチルとアン女王の肖像画)


展覧会の内容

展覧会開催中、英国バロック建築のブレナム宮殿のステートルームには普段展示されていない貴重な遺品や肖像画、当時の資料、18世紀の英国貴族の食事を再現したテーブルセッティング、また映画「恋におちたシェイクスピア」「アビエイター」「ヴィクトリア女王 世紀の愛」でアカデミー衣装デザイン賞を受賞し数々の映画で衣装デザインのオスカーをノミネートされたイギリスの衣装デザイナー サンデー・パウエルが制作した、ヨルゴス・ランティモス監督の映画「女王殿下のお気に入り」The Favouriteで話題になった素敵なコスチュームが宮殿の各ステートルームに展示されています。

画像1

(⇑写真:フランス国王ルイ14世の肖像画がある第2ステートルームにずらりと並んだ素敵なコスチュームとカツラなど。)

画像3

(⇑写真:第1ステートルームのコスチュームとハープシコード。ハープシコードの演奏は展覧会開催中の週末だけです。)


画像9

(⇑写真:赤の客間には男性の俳優達が身につけていたコスチューム)


このイースターの週末はステートルームでは優雅にハープとハープシコードによるバロック音楽の生演奏が行われました。18世紀の英国にタイムスリップしたような英国貴族の暮らしを再現しており、ダイニングルームのサルーンでは初代モールバラ公爵夫人のサラ・チャーチルを演じる俳優が1シーンのストーリーを訪問者達に語りかけ、またロングライブラリーでは1891年にヘンリー・ウィルスが作った8代目のモールバラ公爵のメッセージが書かれているパイプオルガンの演奏とバロック舞踊家達によるバロック舞踊のワークショップが行われて展覧会を見に来た一般の方々誰でもが参加できるようになっており、イースターの週末は多くの人達がバロックダンスを体験され皆さん笑顔で楽しまれていました。

画像10

(⇑写真: ロングライブラリー 大図書室で行われてたバロックダンサー達によるバロックダンスの無料体験レッスン)


画像4

(⇑写真:ダイニングルームのサルーンで初代モールバラ公爵夫人サラ・チャーチルを演じる役者のレベッカさん。右後ろにはアビゲル役の女優エマ・ストーンが着ていたメイドの衣装。ちなみに映画の中で使用人達が着ていたコスチュームはセカンドハンドのデニムの古着から再利用したデニム生地で作られています。)


画像5

(⇑写真:ダイニングルームのサルーンでは18世紀の英国貴族の食事を再現されたテーブルセッティング。肉料理がメインでこれらのパイは偽物ですが宮殿のスタッフが自宅で制作したホームメイドです。裏向けにセッティングされたカトラリーは、間違ってセッティングされているのではなく正式なセッテイングです。また別の記事で説明したいと思います。)


この「女王殿下のお気に入り」のためにサンデー・パウエルがデザインし作った衣装は映画がイギリスで封切りされた2018年に映画撮影が行われたハットフィールドハウスで最初に展示されて、まるで映画の中の世界がそのまま体験できるような展覧会でした。日本でも2019年に東京で一部のコスチュームが展示されましたが、やっと待ちに待ったブレナム宮殿にサンデー・パウエル素敵な衣装の展示が2022年4月に実現!

映画の地代背景はブレナムの戦いの後アン王女から国家褒章として土地と建築費用をいただき宮殿は建築中でまだスペイン継承戦争中でしたが、ついに初代モールバラ公爵夫人サラ・チャーチルの肖像画の前に素敵な映画のコスチュームが展示され私達スタッフ全員もう感無量です。

ちなみに「女王殿下のお気に入り」の映画がイギリスで封切りした日に同僚と一緒に映画を見に行き、その3日後にもう一度別の視点で映画を見に行った私なのですが、撮影の行われた美しいハットフィールドハウスと素敵なコスチュームの美しさにうっとりし時々ユーモラスなイギリス英語の面白さと映像に爆笑させられました。でもストーリーの内容は、ちょっとこれはー!!と思える部分が多く歴史的には価値が薄いけれどコメディ映画として見れば美しいハットフィールドハウスとサンデー・パウエルが制作した素敵なコスチュームを堪能できる映画だと思いました。


画像6

(⇑写真:緑の客間に展示された女優レイチェル・ワイズが着ていた衣装黒のドレス。右後ろにある初代モールバラ公爵夫人のサラ・チャーチルの肖像画は二人の息子を亡くされ悲しみの中にいる喪中のサラ。)


画像7

(⇑写真:第3ステートルームに展示されているオスカー受賞女優オリビア・コールマンが身につけた映画の中で寝室にいるアン女王のコスチューム。)


画像8

(⇑写真:赤の客間には女優レイチェル・ワイズが銃を持ち狩りの練習シーンで着ていたあのカッコいいコスチューム。)


「戦場とバロック」展が開催中の週末はハープシコードとハープの生演奏でバロック音楽が楽しめますが、パイプオルガンの演奏は日曜日のみ。(*5月14日はプライベートイベントのため宮殿は閉まっております。)次のバロックダンスの無料体験クラスは5月2日と5月22日28日29日に行われる予定です。ぜひ次回の無料体験クラスには私も参加してバロックダンス体験してみたいなと思っています。(笑)

それでは、また

写真撮影&文 宮下ゆめ子


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?