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2023 旅日記 島修行編 1

始まった、大学4年の夏休み。
私は毎年夏に、インターンシップという名の社会人修行に出ている。
去年は島根県温泉津町、一昨年は隠岐島。職場は宿泊業の現場がメインで、期間は2-3週間ほど。一応ゼミ活動として行くことになっていて、毎年先生に斡旋してもらう。本当は4年生になったら行かなくてもいいんだけど、知らない土地で働いたあとに眺める景色はなんとも言えない気持ちになるし、それが大好きで最後にもう一度インターンに行かせてもらうことにした。

今年のインターン先は、関東のとある島。島暮らしは2年ぶり。海や山など自然が美しく星空が綺麗に見えるらしい。

まずは新幹線で東京に移動する。ここ最近先生のお手伝いをさせてもらうために、よく東京に来ていた。
先生は観光について研究してて、中身がとっても若いおじいちゃん。隔離された田舎娘の私に色んな世界を見せてくれた恩人。

船の予約は先生が取ってくれたのだけど、その時先生は実に面白いことを言っていた。

「あの船は"ナンパ"船だから、電話が来たら、部屋は女性専用に変えてもらって。」

先生が言うには、どうやら男女共用の部屋だと"クズオ"の襲撃に合うらしい。田舎娘の私にとって、ナンパだとかそういうのは縁遠い話であり、ナンパ船て...笑 なわけ!と思っていた。だけど、寝る時に女性専用室の方が静かだと思って、一応部屋は変えてもらった。

一人船に乗り込む22:40。キャリーケースが重い。
船には若い人達の集団が数組乗っていた。集団が近づいてきたり、とすれ違ったりすると一人でいるのがなんだかちょっと恥ずかしい気持ちになる。
暇だしすぐ寝ようと思ってたけど、ここでちょっと試してみたいことがあって一人デッキに立った。

先生。ここが本当にナンパ船だったら。笑
ちょっと興味があった。大学のある街の駅では、たまにナンパだったりガールズバーの勧誘だったりがあったけど、この船はどう違うのかな。そもそも、本当に声なんてかけられるのかな?

デッキに上がって、写真撮影してる楽しそうな集団をぼんやり一人眺める。どんどん離れていく東京の夜景が綺麗。風も気持ちよかった。写真を撮ろうとスマホを構えた時、ふと声をかけられる。

「お姉さん一人で来てるの?」

衝撃。先生、ほんとでした。思わず笑って返事をする。
大学のある駅で声をかけてくる人より若め。話を聞いたら歳が同じだった。友達とゼミ合宿で来てるらしい。しばらく話してたら、もう一人男の子が来て、お前やってんなー!とか言いながら楽しそうに彼を回収していった。

思わぬ結果にちょっと満足しながら、私も写真取って部屋に戻ろうとデッキの端へ移動してカメラを構える。一枚写真を撮った瞬間、ふと声がかかる。

「お姉さん一人?」

振り返ると、缶ビールを持ったお兄さん。声のかけ方がさっきの人と同じすぎて、思わず笑ってしまった。お兄さんも同い年。目的地も同じだった。話すと意外に盛り上がり、部屋から少しのおつまみとサワーを一缶持ってきてくれた。楽しんで連絡先を交換したら、お互い部屋に戻った。危ない人ではなかったので安心。

私は女子にしては身長が高めで、目が大きいとか、可愛らしい顔つきではないけれど、こういう機会があるとなんだか、少し自分に自信がつく気がした。駅での声掛けは怖くてほとんどスルーだったけど、船での出会いってなんだか少しロマンがあるなと思った今日の収穫。
危ないこともあるだろうから、警戒しないといけないけれど。

その夜は船のゆるやかな揺れと、お酒のおかげで気持ちよく眠りについた。

スタートから冒険多めな島修行。
明日からはいよいよ島生活が始まる。

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