見出し画像

DU缶物語02「消えたリンゴの謎」

Ⅰ.果樹園の大事件


ある日、果樹園から大切なリンゴが盗まれる事件が発生しました。
果樹園の持ち主のモグラのモールさんは
ここ数日姿が見えず、
村人はどうしたもんかと大騒ぎ。

村の大人たちが話し合った結果、
ポジティブで前向きなキリンのキリリンと、
名探偵でアイデアマンのゾウのハントが村長さんに呼ばれ、事件の解決を依頼されます。

「聞きましたよ村長さん!
僕に任せてもらえればすぐに解決しますよ!」
「喜んで協力します!私にお任せください!」

謎解き大好きな2人はやる気満々。
快く依頼を引き受けました。

Ⅱ.調査開始


現場に着いた2人は早速調査を開始。
キリリンはリンゴを盗まれた木の枝をじっくり観察しました。
「リンゴを取るには枝から落とさないといけない。
だけど地面には一切リンゴが残ってない。
こんなに綺麗に盗れるのかな?」
ふと周りを見渡すと、
果樹園の周りに高い木があることに気が付きます。
「もしかしたら、盗みを働いたのは木に登れる動物かもしれない!」
キリリンは上からリンゴが運ばれたのでは?と考えました。

一方、ハントは地面に注目して事件を考えました。
地面に残されたいくつかの足跡。
「犯人は確実にリンゴの木の前に来ている。
でもそこから先の足跡が見当たらない。
何でだろう?」
犯人の不可思議な痕跡。
「犯人は何か特別な道具で運んだのか?」
ハントもある可能性に気が付きます。
犯人は道具を使う事が得意な人物なのでは?と。

Ⅲ.聞き込み


「僕はウグイスのウグに話を聞いてみるよ」
「オッケー、私はサルのマイキーに話しを聞いてみる」
「どっちの推理が正しいか競走だね」
「今日は負けないぞ!」

彼らはそれぞれ自分の推理を信じて、聞き込みを行いました。

「いや、知らないなぁ。昨日の夜はグッスリだったから、心当たりもなくてね…」
「ごめんね、分からないや。
 でも昨日は他の仲間とも一緒にいたから、
 そんな器用なことができる人は他にいなさそうだけどね…」

意気揚々と聞き込みに行ったものの、
2人ともあてが外れてガックリ。
トボトボとまた現場の果樹園に戻って来ました。

Ⅳ.2人なら


「落ち込んでなんかいられない!次の可能性を探すよ!」

気を取り直して捜査を再開しようとするキリリンに
ハントが提案をします。

「今回の事件は難問だ。まさか2人とも推理が外れるなんて今までなかったからね。
 1人1人別々に考えてたんじゃ事件は解決しないかもしれない」

これまで村で起こった事件は必ず2人が解決して来ました。
その2人が揃って推理を外すことなんて前代未聞。
でも残念ながらこの事件は1人の力では無理、
そうハントは考えたのです。

「この名探偵ハントに解けない謎があるのは悔しいけど、
 村長さんのためにも今回は一緒に考えないか?」
「わかったよハント。勝負は一旦お預けだね。
 僕たち2人が力を合わせれば百人力だ!」

Ⅴ.進む推理


「やはり足跡が消えているのがおかしい」
「リンゴを取った後に木に登ったのかな?」
「となるとやはり、犯人は木を登れる人物?」
「ひょっとしたらそのまま飛んだ可能性もあるよ」
「う〜ん」

などと、2人はあらゆる可能性を探ります。
最初は勝負がお預けになって少しガッカリしていた2人ですが、
次第にお互いの意見を交換することで、推理がどんどん捗るのが楽しくなって来た様子。
難しい問題に挑戦しているはずなのに、2人ともニッコニコ。

Ⅵ.突然の出来事


「いやー、難しい」
「でもこれを解いたら、正真正銘の私たち名探偵だよ」

先程まで真上に登っていたお日様が、山の向こうに沈む時刻。
これまで考えついたアイデアを片っ端から試そうと
2人は果樹園の調査を続けていました。

すると突然、地面から大きな音が!!

「ガラガラガラッ!」

突然地面が崩れてしまい、2人は大きな穴に落ちてしまいます。

「危ない!」
「捕まれ!」

2人はお互いを守るべく、穴に落ちながらを相手を庇います。

「ドスン」

地面に叩きつけられながらも
幸い擦り傷と打ち身だけで済んだ2人。
しばらく身を屈めながら様子を伺っていると、穴の奥から聞き慣れた声が…。

Ⅶ.影の主


「キリリンとハントじゃないか?こんなところで何をしてるんだい?」
「えぇ!?あなたは!!!」

2人は驚きました。
声の主はモグラのモールさん。
この果樹園の持ち主です。
さらにモールさんの後ろには
盗まれたはずのリンゴがたくさんトロッコに積まれていたのです。

2人は事の経緯を話し、
自分たちが村長さんに頼まれてリンゴを探していたこと。
調査中に地面が崩れて穴に落ちてしまったことを伝えます。

モールさんはそれを聞いて「すまないな」と、
これまでの経緯を話してくれました。

Ⅷ.真相は


リンゴを移動させた犯人はモールさん本人。
彼はリンゴの収穫のため何日もかけて果樹園の中に穴を掘り、
昨夜の間にリンゴを運び出していたのですが、
それを村人が泥棒と勘違い。
さらに偶然にも調査中の二人が、
その穴に落ちてしまったのです。

「すまないね、丁度お気に入りのサングラスを壊してしまって、夜しか作業ができなくてね」
「リンゴを集荷場に運ぶために、穴に落としてトロッコに積んでいたのさ」

「犯人はまさかのモールさんだったんだね」
「それは推理できるはずないよ。まさかリンゴの持ち主が泥棒だなんて思いつかないからね」

Ⅸ.2人の答え


キリリンとハントは穴から出てきて、
事件の真相を村長さんたちに伝えました。
みんな早とちりだったと大笑い。

「ねぇハント。謎は解けなかったけど、違う謎は分かったよ」
「私もさ。今まで1人でなんでも解決して来たけど、2人で協力する事で2倍にも3倍にも推理が進む。
 あと、何よりも楽しいって分かったよ」
「勝負もいいけど、大変な謎の時はまたよろしくね」

こうしてリンゴの盗難事件は幕を閉じ、
無事村に平和がもどりました。
リンゴがもたらした大きな答えは、これからも2人の助けになるでしょう。



おしまい

⚫︎あとがき


ポジティブで前向きなキリリンと、アイデアマンで名探偵のハントの物語。
いかがだったでしょうか?
「ライバルがいる楽しさ。協力する楽しさ」を知ってもらえたらと思い、このシナリオを書きました。

このシナリオはyoutube「ユメひろびろ」で公開予定の、オリジナルシナリオ「DU缶」第2弾となります。
「ユメひろびろ」では、オリジナルシナリオの他にも、世界の童話の読み聞かせなど、幅広く活動予定。
是非応援してもらえたら嬉しいです。

それではご覧いただきありがとうございました。
また次回の記事もよろしくお願いします( ´ ▽ ` )ノ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?