生きにくい理由がわかった気がする
(福祉施設利用者のひとりごち)
昔から朝起きるのが苦手だった。学校に遅刻するのはもちろんのことながら、バイトを始めてからもあまり変わらなかった。
夜早く寝てないからでしょと言われるものの、9時に寝ても8時に寝ても変わらないし、ひどいときなんか明日こそはと思って1時間ごとに起きる始末だった。
言いたいことを言うのも苦手だった。我慢しすぎて気づいたら倒れて保健室にいることがしょっちゅうで、そのたびに「どうして早く言わないの」と言われては、責められている気分になった。
そんな自分が嫌だった。
そして自分自身を傷つけるようになった。
それが当たり前だと思っていた。
みんなそんな風に生きているんだと思っていて、それが病的だとは知らなかった。
成人してからもそれはおさまらず、それどころかより一層深刻に、そして重苦しく自分にのしかかるようになった。
どうやら精神的な問題を抱えているらしい。
そうわかってからでさえ、特段何も変わらなかった。
このままいずれ死ぬのだろうな。
そんな予感を抱えながら、変われない自分にうんざりし、だましだまし暮らしてきた。
変われないし、変わらない。変わることなどない。そう思い込んで生きてきた。生きようとした。
普通には働けない。「普通」ってなんだよ。
私は普通じゃないのかよ!!!
そう思って世間を憎み、羨みながら暮らしていた時、福祉施設のことを知った。
縁がない世界だと思っていた。自分は「普通」だと思っていたから。
障害(障がい)を抱える人がお世話になる場だと認識していて、自分がその"障害"に当てはまるなんて思ってもみなかった。
何かが決壊した。まさかじぶんが。
そんな思いと、藁にもすがるような思いが交差した。
その後、私は就労継続支援B型にお世話になっている。
障害(障がい)は他人ごとではない。
突然事故にあうこともあり得るし、私のようにずっと違和感を抱えながら生きてきて自分ですら気づいていない場合だってある。
どこか排他的な差別のある障害者(障がい者)という言葉に阻まれ、私は私に必要な支援を今まで逃してきた。
どうかこれからの世界では、多様性を掲げるのであれば、「多様な性質を持つ人々が共生していることが多様性なのだ」ということに立ち返り、必要な人に必要な支援をいち早く届けることができるようになってほしいと思っている。
2022.04.07.木
ユメグミ とある一利用者
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