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13. 螺旋


螺旋階段、必死に上る。
何処までも続くと思えた。
必死にお父さんの手を追いかけて
置いていかれないように
やがて振り返って手を握ってくれる。
「ほら、一段ずつ一歩づつ登れば早い」
そうは言っても、私の小さな足では、一段に二歩づつでやっと
必死に登った先で見えたのは―
広く広がる海と空。
風が頬を撫でていた。


《 前へ * 次へ 》


30の遠い記憶 目次

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