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【嘘】珈琲と公園

土曜日には必ず、公園で珈琲を飲む。
珈琲自体を好きなのもあるが、公園で飲むというのが大事なのだ。飲む場所によって珈琲は味を変える。公園によっても少しずつだが風味が違ってくる。
遊具が沢山ある子供だらけの公園、芝生が広がる大きな広場のような公園、マンション横に義務として作られた味気ない公園・・・・・・、それぞれ特有の味わいを楽しめる。
美味しい珈琲を、ぴったりの場所で飲むのが最高なのだ。

昨日散歩をしていて見つけた公園は、ベンチが一つの他には、黄色くて芸術的なオブジェが立っているだけでなにも無い、砂利だらけの場所だった。
静かな住宅地の中にひっそりと、だけどオブジェだけが奇妙な存在感を放っていた。遠目には上を向いたキリンだと思ったが、近づいてよく見ると、どうやら生き物モチーフですらない。
そのヘンテコリンな物体のせいで、正直あまり居心地の良い所では無かった。

それからはもっぱら、その公園で飲む珈琲について考えている。その奇妙なオブジェに合う珈琲はどんなものだろうか。こういうのは、感覚で味を合わせるのが大切なのだが、ちっとも良い珈琲が見当たらない。オブジェの強烈な味わいに珈琲が雑味となってしまいそうだ。
いっそお湯を持って行って、それでも、オブジェの味わいだけで珈琲になるのではないかと感じている。


ありがとう