夢蒟蒻

星新一が好きです。 小川洋子が好きです。 ドラえもんの秘密道具の仕組みに想いを馳せ、…

夢蒟蒻

星新一が好きです。 小川洋子が好きです。 ドラえもんの秘密道具の仕組みに想いを馳せ、宇宙の端っこでぶら下がり懸垂をします。

マガジン

  • 嘘にまみれる毎日

    毎日一つ嘘をつきます。誰も傷つけない嘘を。

  • メモ日記

    日記とは名ばかりのメモ集

  • 戯れ言

    何を言っているのか己でもわからない

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    言葉と遊ぶ遊び

  • とても短いお話

    超短編小説。気が向いたら書きます。

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ランドセルに木の枝が入っていた。 何の木かはわからない。長さは10cmくらいで、先が二股に分かれいる。にぎるとヒンヤリと冷たい。少し強く握ると暖かく、微かに生命を感じた。ただ、それは手のひらの温もりである事はわかっていた。 デコボコとした表面はかさぶたが固まったようでもあり、恐竜の皮膚のようでもあった。恐竜を思わせるさわり心地を気に入り、僕はそれを勉強机に飾る事にした。 勉強机にはいくつもの先客がいる。 母の旅行土産のクッキーが入っていた空き缶と、そこに入れた鉛筆たち。消

    • 【嘘】夜空へ

      便利さや合理性と逆行する魅力が、味わいとして確立している。そんなこと、大昔からずっとそうだ。 不便で面倒で大変で、手間も時間もかかる。 だからこそ愛着が湧き、愛おしく想う。 天の川銀河へ行くために、わざわざ鉄道に乗ったのも、それが一番趣深いからだ。

      • 【嘘】空の絵

        雲の上で出会った、そこで暮らす少年に「空の絵を描いてください」とお願いをしたら、満面の笑顔の自画像を描いてくれた。

        • 【嘘】走って、回す

          空高く、うんと高く。 巨大なハムスターがパラシュートを付けてゆっくりと落ちている。 空を覆うほどのジャンガリアンハムスターだ。 手足をぱたぱたと忙しそうに動かしている。 ぼすん、と大きな音をたて、雲の上に無事着地したハムスターは、そのまま一目散に走りだした。 ハムスターが走る。 すると、瞬く間に夜になる。 ハムスターが走る。 あっという間に朝がくる。 ハムスターは走り、宇宙が回り、そして疲れたら、とまって、そして、ゆらゆらと揺れる。 宇宙も揺れる。ゆらゆらと揺れる。 ひ

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        記事

          【嘘】アラスカの空より

          オーロラはカーテンのようだ、とはよく言われている。 まあ、実際にカーテンなので、良い観察眼だと感心はするが、もう少しだけちゃんと見て欲しい。 光が空に向かって垂れているのはわかるかな。 本当はちゃんと床まで伸ばしたかったのだけど、採寸を誤ってね。ちょこっとばかりつんつるてんな格好になってしまったのだ。 妻には「どこがちょこっとなのよ」と怒られた。 実は間違えて出窓用のを買ったのだ。とは、いまさら言えないな。

          【嘘】アラスカの空より

          【嘘】嘘はバレる

          友人と話している最中、急に雲の形が気になって、ちらっと空を見てしまった。 どうやらその仕草が心理学的に嘘を付いている所作だったらしく、友人からは厳しく追求されてしまった。 実際に嘘を付いていたので仕方がないのだが、心理学とはなんとも適当なものだ。 そんな事を思っていたら、後日また嘘を付いていると、急に雲の形が気になってきた。 そして気が付いた。 嘘を付くと雲は猫の形になる。 こうして嘘はバレるのだな。

          【嘘】嘘はバレる

          【嘘】空が青い

          意識の殻に穴が空いた。 ちょうど頭の一番上のところ。 意識は一気に雪崩出て、希釈され世界へ溶け込んだ。 だけど身体はいまだ形作り、自分として存在している。 己と世界は曖昧に混ざり、それでも変わらず命は続いてる。 空想も想像も夢も、今はすべてがなんとなく世界と等しいが、ただ、急に空が青くなっていった気がした。 前からだと言われたら、そうなのかもしれないけれど。

          【嘘】空が青い

          【嘘】バネに夢中

          ボールペンをバラしたらバネが出てきた。 指先で潰したり、伸ばしたり、くるくる回しながら螺旋を辿ったりとしていたら、気が付くともう休み時間になっていた。 書き途中のノートには「ラクダよりもペンギンの、かさ」とだけ書かれていて、続きを確認しようにも黒板はもう綺麗に消されていた。 なんだかよく分からない。 今日の授業の内容はテストに出ないといいな、と願うと、バネがぴょんと跳んで、「気にするなよ」と言っている気がした。

          【嘘】バネに夢中

          【嘘】黒鍵とスキップ

          子供のころは、ピアノの黒鍵の上をスキップをするように走っていた。 後ろから、綺麗な音楽がついて来るようになった。 すぐに追い抜かれ、大人になるとどこかへ行ってしまった。 スキップはもう、しばらくしてないな。

          【嘘】黒鍵とスキップ

          【嘘】記憶の中の黒板消しクリーナー

          教室を思い出すといつも不安になる。 なにかが、変。ずっと。 違和感は最初から感じていた。 黒板が真っ黒なんだ。 確かにそうだ。本来、黒板は緑色のはずだったんだ。 あの黒板消しのせいだ。消しすぎた。なにもかもなくなってる。 早く黒板消しクリーナーを用意しないと。それもとんでもなく大きな。 一回、吸い込ませて綺麗にしよう、全部。 全部。

          【嘘】記憶の中の黒板消しクリーナー

          今年の抱負を連ねた文章を書いていたけれど、達成しようとする事が嫌になってしまった。 気の向くままに暮らす一年にしよう。

          今年の抱負を連ねた文章を書いていたけれど、達成しようとする事が嫌になってしまった。 気の向くままに暮らす一年にしよう。

          【嘘】茄子ロケット

          茄子を詰めたロケット。 それを太陽へと打ち上げる。 これでよし。 大晦日は遅くまで起きている人が多い。 そのため、どうしても多少は夢の提供が混み合ってしまう。 対策として、幾分かの夢を似通ったものにする事で、ある程度の負荷を低減させている。 幸い、おめでたい夢として共通の認識が広まっているので、それに則っておけば不満や不信は出にくい。 ロケットに詰めた茄子は、初日の出の共に夢に現れるだろう。 最近はなんでか、初夢は元日の夜に見る夢だなんて言われてるけれど、そんなのは面倒

          【嘘】茄子ロケット

          【嘘】大きさ林檎と小さな喜び

          家を出ると、また、玄関の目の前で巨大な林檎が回っていた。 今日のは、おおよそ2m前後の大きさだ。 芯を軸に横方向に高速回転し、ブウウンと低い音を上げている。 回っているのは良いことだ。 急いで家の中へ戻り、キッチンから果物ナイフを手に取り、林檎へと向かう。 高速で回転していることを利用すれば、皮を剥けるはずだ。 背伸びをして、果物ナイフをそっと林檎の上の方へ添える。 キュルキュルと細長く赤色の帯が誕生する。 腕を持って行かれないよう、両手で踏ん張る。 丁寧に角度を調整し、

          【嘘】大きさ林檎と小さな喜び

          【嘘】この時期の仕事

          今年のサンタクロースは、ソリの上から袋いっぱいに入れたビー玉を夜空へと撒く事で、まとめて子供の希望を配るそうだ。 望みの多様化に対しての対策らしいが、個人的にはとても嬉しい。 夜空にきらめくビー玉は、今から楽しみだ。 でもそうなると、去年夜空に撒いた色鉛筆を片付けておかないと。 天袋にしまった折り畳み式のソリの出番かな。

          【嘘】この時期の仕事

          【嘘】朝の新聞紙

          朝、起きたらゴミ出しに行く。 これはいつもの日常。 だいたいいつも寝ぼけ眼で、うつらうつらしながらゴミ捨て場まで、パンパンの袋を両手にふらふら歩いていく。 今日は資源ゴミの日。 プラゴミの袋を入れ、ふと足元を見る。 新聞紙の塊が四つ積まれて置かれている。 新聞なんてここ何年も読んでないな。 ちらっと見てみる。 なんだこの新聞。 一面に「もももももももももももももももも」と「も」という字で埋め尽くされている。 もももももももももも ももももももももももももももももももも

          【嘘】朝の新聞紙

          【嘘】朝ご飯の準備

          朝から食パンが空を飛んでいる。 今日は特に多い。くるくるくるくると、空を覆う勢いだ。 窓を開けて、布団叩きを長く長く伸ばしたら、ベランダから身を乗り出して食パンを落とす。 ぱんぱんぱん! 三つ取れた。 お、大麦粉入りか。いいね。

          【嘘】朝ご飯の準備