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#掌編小説
【嘘】黒鍵とスキップ
子供のころは、ピアノの黒鍵の上をスキップをするように走っていた。
後ろから、綺麗な音楽がついて来るようになった。
すぐに追い抜かれ、大人になるとどこかへ行ってしまった。
スキップはもう、しばらくしてないな。
【嘘】記憶の中の黒板消しクリーナー
教室を思い出すといつも不安になる。
なにかが、変。ずっと。
違和感は最初から感じていた。
黒板が真っ黒なんだ。
確かにそうだ。本来、黒板は緑色のはずだったんだ。
あの黒板消しのせいだ。消しすぎた。なにもかもなくなってる。
早く黒板消しクリーナーを用意しないと。それもとんでもなく大きな。
一回、吸い込ませて綺麗にしよう、全部。
全部。
【嘘】この時期の仕事
今年のサンタクロースは、ソリの上から袋いっぱいに入れたビー玉を夜空へと撒く事で、まとめて子供の希望を配るそうだ。
望みの多様化に対しての対策らしいが、個人的にはとても嬉しい。
夜空にきらめくビー玉は、今から楽しみだ。
でもそうなると、去年夜空に撒いた色鉛筆を片付けておかないと。
天袋にしまった折り畳み式のソリの出番かな。
【嘘】っぽかったから
飲み方の席「幼い頃、勘違いしていたこと」という話題で「土星の輪っかは、誰かが輪投げで投げた物だと思っていた」と話しをした。
友達からは「可愛い子供だったんだな」とケタケタ笑われたけど、帰り道、空からは「正解!」と声が聞こえた。
やった、当たった。