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なぜ、下級生は廊下を直角に歩くのか?

私の2冊目の著書「なぜ、下級生は廊下を直角に歩くのか?」
少しずつアップしていきます。

2014年に出版した2冊目の著書ですが、お陰様で書店やAmazonなどでは実際の本はもう売り切れてしまいました。
私の手元に少し残っているだけです。
しかし、このnoteに出会い、これから少しずつアップしていきたいと思っています。マガジンにしていきますので、よろしければちょっとずつでも読んでください!

はじめに

こんにちは。元宝塚歌劇団星組の桐生のぼるです。
宝塚歌劇団は、大正三年(1914年)に宝塚少女歌劇の第一回公演が開始されてから、平成二六年(2014年)で100周年を迎えます。
私が在籍した1971年~83年の12年間は、宝塚歌劇団史上最大のヒット作『ベルサイユのばら』(1974年初演)が誕生し、鳳蘭、安奈淳、榛名由梨というトップスターが光輝く、まさに黄金期といわれる時代でした。

その中にあって、私も代役公演『ベルサイユのばら』のオスカル役で「特別賞」を受けた後、娘役に転向。関西テレビ『ラブパック』の準主役・夜叉姫を演じるなどして、『オルフェウスの窓』のアルラウネ役を最後に退団しました。宝塚黄金期とともに駆け抜けることができた幸運を感じています。

現在私は、(株)PETIPAの代表として、研修・講演活動などで経営者のみなさんや幼稚園・保育園の園長先生にお話をする機会が多いのですが、私が宝塚歌劇団出身ということもあり、必ず聞かれる質問があります。

「本当に下級生は廊下を直角に歩くのですか?」      
「トップスターでも舞台以外は年功序列って本当ですか?」

いわゆる歌劇団特有のエピソードです。
私は正直にお答えします。
「本当ですよ」
すると多くの人が「え、まさか」と驚きます。
虚構だと思っている人も多いようですが、テレビ番組や雑誌などでおもしろおかしく誇張されてはいるものの、伝えられているエピソードは事実であることが多いんです。
「しかし」
と、さらに話を続けます。
すると、相手も身を乗り出してきますね。
そこで、こうお伝えします。
「もちろん、理由があるんですよ」

宝塚は女性だけの劇団として多くの人に夢を与え続けて100年。 
歌劇団のエピソードは、宝塚のブランドを支えてきた数々の理由の一つであることは間違いないと信じています。

「宝塚はなぜ○○○○なのか」
「その理由は、△△△△だからです」

これらの理由には、組織の維持やブランド力向上に悩む多くのみなさんにとって、役立つヒントがいっぱい詰まっています。

ビジネスのヒントとして、また、楽しい会話や営業トークとして活用し、みなさんの仕事や日常生活に生かしていただけることを期待しています。

なお、本書では、宝塚歌劇団に所属する劇団員を「生徒」と表記しています。また、本書に登場する宝塚スターの名前については原則として敬称を略しています。

第一章「男役」「娘役」

男役はなぜ、あれほど格好良いのか

世界でただ一つ、女性ばかりの劇団、宝塚歌劇団。
そこには「男役」が存在し、「男役」に寄り添う美しい「娘役」がいます。この「男役」と「娘役」という存在が宝塚の魅力でもあります。
なぜ、男役はあれほど格好が良いのでしょうか。
それを演じるには、並々ならぬ努力があったのです。

女性が演じる理想の男性。それこそ「男役」

宝塚ファンの中には、男役を「理想の男性以上の存在」と感じているという人も多いですね。
私は小学校五年生で宝塚の舞台を見た瞬間に心を奪われ、中学卒業と同時に宝塚音楽学校に入学したものですから、当時は「理想の男性」とまでは行き着きませんでしたが、ファンのときも、入団してからも、とにかく「男役は格好良い!」の一言でした。

私は約十二年間の劇団生活の中で八年目から男役から娘役に転向し、ぜいたくにも男役と娘役の両方を経験しました。この経験から「男役」「娘役」についてお伝えしましょう。
女性が男性を演じるのですから、そこには相当な努力が必要になってきます。
もちろん憧れて入団したのですから努力することは当たり前のことで、むしろ楽しく自分の夢に向って一歩ずつ近づいていくのです。

                          つづく・・・