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「ぼっち・ざ・ろっく!」は“ギャグ漫画”である。

本日6月4日からアニメ「ぼっち・ざ・ろっく」の総集編である劇場版「ぼっち・ざ・ろっく!Re:」が公開された。
2022年に放送されたアニメの中で覇権を取ったとも言えるほど高評価・人気の作品の総集編ということもあり、話題性はとても高い。
私自身も放送中に後追いでAmazonプライムにて視聴し、第5話でまんまとやられたぼざろファンの1人である。

さて、今回公開された総集編だが、事前に上映時間が92分という情報がでており、全12話のうちどこまでの範囲をまとめるのか気になっていた。
限られた尺と全12話という話数の中でちょうど良い区切りを考えると、5話のオーディション回だと予想していたが。。


【ここからネタバレを含みます】










表題の「ぼっち・ざ・ろっく!」はギャグ漫画であるは、漫画の担当編集である”殿”こと瀬古口さんが原作者のはまじあきに伝えた言葉らしい。(詳細ははまじ先生のYouTubeチャンネルをご覧ください。どの動画かは忘れました。。)
この言葉の意味がこの総集編を鑑賞した後ぐるぐる自分の中で回り続けている。

アニメで一番話題になったのはおそらく8話のライブシーンと、その後の虹夏ちゃんの独白とぼっちちゃんへかけた言葉「だからこれからもたくさん見せてね。ぼっちちゃんのロックを。ぼっち・ざ・ろっくを!」という一連のシーン・演出だろう。
今回の総集編はこの伝説とも言えるこの8話までをまとめて上映しているのだが、やはり92分という短い尺の中でこのシーンの良さは薄れてしまっているように感じた。
なぜか?
やはりこのシーンがここまで活きるのはそれまでの過程が重要だったのだと思う。

ぼっちちゃんがどれだけ努力をして、どんな醜態を晒しても最後にはしっかりと彼女らしくやり遂げる彼女の成長と、その彼女をしっかりと見てくれている信頼できるバンドメンバーとの関係性が非常に重要なのだ。

ぼっちちゃんはこれまでの青春の全てをギターに捧げ、努力してきた。(きっかけはチヤホヤされたいという邪な気持ちだったとしても。ただここに共感する視聴者・読者も多いはずだ。)
彼女の生来の性格故その実力を示すことがほとんどできていなかったが、視聴者・読者はそのことを知っている。
それが、アニメ8話のライブシーンで爆発し、虹夏ちゃんとのシーンへと繋がり、視聴者を共感・感動させた。
総集編ではそれまでの過程が短縮されてしまい、上手く感動を呼ぶことができていないように感じてしまった。
8話のライブシーンと虹夏ちゃんとのシーンの間に挟まれた居酒屋でのシーンは惜しくもほとんどがカットされ、ライブ終わりから虹夏ちゃんのシーンへと直ぐに移行してしまう。
やはりこの緩急、今までの過程(日常・ギャグパート)・ライブシーン・居酒屋シーン(日常・ギャグパート)・そしてクライマックス。
この流れや過程があってのクライマックスの盛り上がりなのだ。

これが”殿”がはまじ先生に伝えた「ぼっち・ざ・ろっく!」はギャグ漫画ですよ、の真意なのではないだろうか。
ギャグがあるから盛り上がるところが盛り上がり、視聴者はそのギャップにやられるのではないだろうか。
やろ時にはしっかりとやる。これが結束バンドであり、「ぼっち・ざ・ろっく!」の魅力の一つなのだ。

また、個人的にはぼざろはもう何十周と視聴しているので、アニメの流れ、つまりこのシーンの後はこのシーンというのが染み付いてしまっている。
その流れがカットされてしまうと少し違和感というか、残念に思ってしまった点も否めない。(ぼっちちゃんの「へい!大将やってる?」を見たかった。。)
この辺りの取捨選択がかなり難しい点だったと思うが、どうしてもギャグシーンよりも盛り上がるシーンやストーリー上カットできないシーンを多く入れ込む必要性があるため、緩急が弱く感じてしまう。

ギャグアニメ(漫画)ではなく、ストーリーを重視せざる得ない総集編という制約の中ではかなりハードな編集だったと思う。

もちろん総集編ならではの演出、例えばアニメ本編では流れなかった「ひとりぼっち東京」や「ひみつ基地」が流れるシーンや新規カットや新曲、オリジナルOP、映画館ならではの迫力のある音響でのライブシーンなどはグッとくるものがあった。
画面も大きく、背景の小ネタなども十分鑑賞でき、改めてよく作り込まれた愛の溢れた作品なのだと感じる。

斉藤監督をはじめ、多くのスタッフが多忙を極める中この総集編を制作していたと思うので、泣く泣くカットしたシーンも山ほどあるだろう。
総集編という制約、時間との戦いの中で、どう「ぼっち・ざ・ろっく!」を表現し、落とし込めるか、かなり試行錯誤していたかと思うと頭が下がる。

と、まぁ長々と書いてきたがやはり「ぼざろ」を見ると何かやりたくなるというか、元気をもらえるというか、かなりパワーがある作品であることには違いはない。
8月4日公開の後編はあの「文化祭」でのライブもある。
残り4話をどう編集するのか、そして多くのファンが期待している2期への伏線や発表はあるのか。
期待して待ちたいと思う。(10話でちょろっとだけ出演したヨヨコがどう扱われるのか期待、、!)

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